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始末のいい暮らし(海南鶏飯、鶏だしうどん)|酒と肴 その三十八

有難いことにたくさんの持ち物に囲まれて、阿呆らしいことにその管理に汲々としてきました。

それなら買い方を変えればいいと気づき、ここ何年かは必要の7割を心掛けています。残る3割のうち、2割は手間暇や工夫でどうにかなりますし、解決しない1割は縁が無かったと諦めます。

おかげで近頃は少しずつ物が減ってきました。使い果たさず処分すれば話は早いのでしょうけれど、ケチな上に感情移入するタチなので、片付くにはまだ時間がかかりそうです。

衣類や消耗品、身の回りの品はそんな具合に落ち着きましたが、食材の管理は今も試行錯誤が続きます。ストックが少ないと不安ですし、多ければ食べ頃を逃します。とは言え、粗末にしたらバチがあたると信じているので無駄にはできません。

ですから萎びた野菜で味気ない料理を作っては、優秀な選手たちを使いこなせない自分にがっかりすることもしばしば。シーズン途中で交代させられる監督の気持ちです。

そんな降格圏内の私ですが、采配がぴたりとはまり、無駄なく食材を使い切れる料理があります。それは海南鶏飯。シンガポールチキンライスやカオマンガイとも呼ばれるヤツです。

主な食材は鶏肉、パクチー、ネギと生姜。炊飯器でまとめて調理がお手軽ですが、私は鶏ハム風に作って煮汁を活用するスタイルです。

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これだとパクチーの根っこ、ネギの青いとこ、生姜の皮などを余すことなく使えます。特にパクチーの根っこは香りが出て、それっぽい感じに仕上がります。

茹で汁はジャスミン米を炊くだけでなく、そのままでも美味しいスープですし、フォーやうどんにも発展するオールラウンダー。チームに一人は欲しい人材です。

さて、今回は海南鶏飯とうどんにしました。

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まずは海南鶏飯。
花椒を効かせた麻辣なタレと、おろし生姜にサラダ油と塩を混ぜたジンジャーソースの2種類で頂きます。麻辣タレだと中華風な味わい、ジンジャーソースだと東南アジアの雰囲気です。当初3食分の予定でしたが、ビールと泡盛によくマッチしてスープしか残りませんでした。

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続いてはスープを使った鶏だしうどん。
冷蔵庫にあったおつまみの残り(ネギ塩豚、万能ネギの和えもの、もやしのナムル)をトッピング、レモン汁を絞って頂きます。さっぱり塩味。おかげで休み明け、二日酔い気味な在宅勤務も無事に乗り切れました。

ところで「解決しない1割は諦める」と書きましたが、実際この歳になると手指から脂っ気が抜けるせいか、色々手を出しても掴みきれないのが現実です。
不思議なもので、諦めたものほどいずれ手に入る機会が訪れるもの。あれもこれもと欲張るよりも、その時に備えて少しくらい「空き」を残しておく方がいいのかも知れません。名将の余裕を身に付けたいものです。


メニューと材料
・海南鶏飯(鶏むね肉、ジャスミン米、パクチー、ねぎ、生姜)
・鶏だしうどん(うどん、豚肉、ねぎ、万能ねぎ、もやし、レモン)
・麻辣タレ(醤油、酢、中華だし、ニンニク、生姜、ラー油、花椒)
・ジンジャーソース(生姜、サラダ油、塩)

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