巡礼者たち【詩】

　橋の上から異常なおんなが死國を巡礼している人々を眺めている。四国ではない。どうして死國なのか、と尋ねてみたが要領を得ない。ただシシシシシというだけだ。

　パーカーが似合いますね
　ある日、そう言ってみた。ところがニコリともしない。ノーベル賞受賞式の受賞者だってもう少し反応するのにと、ふくれているとおんなは橋の上から身を乗り出した。危ないので止めようとするが、おんなは無視して必死な形相で指を指している。その先にあるものは……