可愛いお節介

最近リニューアルしたスーパーで、豆乳鍋の材料をレジかごにポンポンと入れていた。

豚肉、木綿豆腐、白菜、白ねぎ、えのき…えのきの横にある椎茸。うーん…平台の上の二種類の椎茸を見つめて迷う。例に漏れずやっぱり高いなあ、まあこっちにしよか、と手に取ろうとしたその時、ガラガラと野菜を乗せた移動台が真横に止まり、ちょっと待って!と声がした。
私の手は椎茸パックの手前で伸びたまま、横を見た。白髪が少し混じった髪をひとつに括った小柄な女性のスタッフさん。ちょいちょいと手招きをしてる。訝しげな私の顔を見ると、椎茸ならこっち、と小さな声で言って後ずさりしながら手招きを続けてる。
どういうこと?と心の中で思いながらついて行くと、冷蔵棚の1番上の端っこに、オーガニックと書いた椎茸パック。お値段も手頃、そしてきっと新しい!ほら、こっちのだとほぼ同じ値段で2パック買えるよ、どれがいいかなーと背伸びしながら奥の方も探してる。あっこれなんかいい椎茸よ、と見せてくれたのはマッシュルームのように丸くて厚みがあって見るからに美味しそうな椎茸!ありがとうございます、教えていただいて嬉しいです、これ戴きますね、と伝えると、いたずらっ子のような表情で、私はいつもここで買うからねーと言いながら仕事に戻られた。
きっとこのお仕事好きなんやろな、そしてお客さんにも美味しいもの届けたいんやろなあ。

可愛いお節介と少し鳶色掛かった瞳が、今日いちにちの中で一番印象に残った出来事でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?