見出し画像

2023年6月5日 坂本サトル Tour2023 with 佐藤達哉「In my STUDIO」東京公演ライブレポート(セットリスト・ネタバレあり)

坂本サトル Tour 2023 with 佐藤達哉
「In my STUDIO」東京公演
*会場:渋谷 La.mama
*時間:open 18:30 / start 19:00
*料金:全席自由前売¥5,000 (1drink別)
*出演:坂本サトル、佐藤達哉(ピアノ)、鹿嶋静(バイオリン)
*ツイキャスプレミアライブ配信 料金:¥3,000


’23年坂本サトル全国ツアーのファイナル公演

4月9日の仙台公演を皮切りに、4月30日弘前、5月22日大阪と続いてきた、坂本サトルさんと佐藤達哉さんとのデュオツアー「In my STUDIO」。
6月5日、ツアーファイナルの東京公演が渋谷La.mamaで行われました。

会場の「渋谷La.ma ma」は、1982年にオープンした老舗のライブハウス。
サトルさんがJIGGER'S SONでデビューした’92年当時ももちろん存在しており、サトルさんもデビュー当時から、「いつかラママでライブをやってみたい」という気持ちがあったそうです。

ラママの入り口
地下に降りる階段

ツイキャスプレミアでのライブ配信

東京公演は入場チケットがSold Outということで、ラママ制作によるツイキャスプレミアでのライブ配信が行われました。
6月19日(月)までアーカイブが視聴可能です。
視聴期間に間に合えば、レポを読むよりアーカイブ視聴をぜひ!!
ライブかっこいいので!!

ライブレポート

※以下、東京公演のセットリスト、ネタバレを含むライブレポートです。ご了承の上お読みください。
※配信ライブのアーカイブと照らし合わせてみると、多少違っている箇所があるかもしれません。私の思い出のレポートということで、笑ってお許しくださいませ。

*********************

道玄坂という地名に位置するだけあり、渋谷駅から坂道を登ってたどり着くライブハウス『渋谷La.mama』。
数々のミュージシャンはもちろん、近年ではアイドルのライブも行われたり、お笑い芸人の新人の登竜門としても名を馳せる老舗です。
地下へ続く階段を降りると、配線やダクトがむき出しの天井、ステージに配置された幾多の照明…これぞライブハウスという風格が堪らない!
今回のライブは着席スタイルということで、会場には所狭しと丸椅子が配置されていました。観客同士がぎゅっと寄り添い、ステージとの距離も近い。こういった密の雰囲気を味わうのも、コロナ禍以降とても久しぶりです。

ステージ上には、ギター2本と、ライブハウスの雰囲気には若干似つかわしくない大きなグランドピアノ。本日のライブでは、佐藤達哉さんの生ピアノが楽しめ、さらに東京公演だけのゲストミュージシャンとして、坂本サトルバンドの一員でもあるバイオリニスト鹿嶋静さんが参加するという、贅沢な一夜となりました。

午後7時。会場が暗転し、ブルーのライトがステージを照らします。
観客の合間を抜けて、鹿嶋静さん、佐藤達哉さん、そして坂本サトルさんが登場!
ステージに立つなり、「拍手に力を貰えるから」と観客の拍手を煽り、さっそく会場の熱気を盛り上げるサトルさん。今年6月1日にデビュー31周年を迎えたベテランだけに、ステージでの観客煽りもお手のものです。

1曲目「コーンスープ」。達哉さんのピアノとサトルさんのギター、それにに重なる静さんのバイオリンが、歌の世界観をぐっと広げてくれます。サトルさんの歌声も、太く力強く、そして温かい。
1曲目から、今日のライブは絶対良い時間になると確信できる、すばらしい演奏でした。
2曲目「愛の言葉」も同様。1番Aメロはギターで、サビからピアノが加わり、2番ではストリングスが重なっていき、歌の情景が豊かに広がっていきます。Cメロ(♪燃え上がる火は~)はよりドラマチックに、大サビ(♪高く晴れ渡る春の空は~)はより明るく壮大に聞こえてきます。
ラララ…♪は観客とサトルさんの掛け合いで。最高。

コロナ禍期間は一度も東京でライブを開催できず、2019年の7月以来、約4年ぶりの開催となった東京公演。
そんなコロナ禍の2020年に達哉さんと一緒に行った配信ライブ「In my STUDIO」を、スタジオを飛び出し、達哉さんともに各地に届けるというのが、今回のツアーコンセプトでした。
本当はもっとこまめに回りたかったものの、達哉さんのスケジュールが抑えられず、3週間おきの開催となってしまってしまった。さらに、この日は鹿嶋静さんも加わり、当日初めて合わせた楽曲なども多々あり、スリリングなセッション感も楽しめる共演となったそう。

そんな事情もあって、「今の心境にぴったりの曲!」と紹介された3曲目「やぶれかぶれ」。2番の後半サビにストリングスの音色が入ることで、より明るく前向きな未来を描ける印象を受けました。
続いて「4月3日に生まれて」も、イントロから3つの音色が重なり、楽曲がドラマチックに聞こえてきます。
「♪どこかに向かう道の途中で なくしたものばかり数えてしまう」のフレーズの箇所は、サトルさんの感情ののった歌唱表現に心が揺さぶられました。

MCでは、東京の友人の伊藤多賀之(ブリーフ&トランクス)さんや松本英子さん、大石ゆりかさん、山寺宏一さんらが前日からのサトルさんの動きをサポートしてくれたことなどを話し、人生で一番長く過ごした東京(川崎)に、サトルさんを待っていてくれた人たちがたくさんいたことに感動したとお話されていました。

達哉さんと静さんは宮城出身で、なおかつ同じ多賀城高校の先輩後輩という間柄。サトルさんも大学時代を仙台で過ごし、宮城との縁が深い3人。
そんな宮城の誇る偉大なアーティスト・稲垣潤一さんの楽曲「夏のクラクション」のカバーを披露。イントロの印象的なフレーズをピアノのほか、バイオリンでも演奏し、楽曲にまた違った表情を与えていました。サビの「♪In my Heart」のところを、切なく歌い上げるサトルさん歌声が素敵です。
続いてもカバー曲「Woman”Wの悲劇より”」。
女性曲のカバーも得意とするサトルさんの歌声が創り出す、切ない世界観。演奏の素晴らしさもさることながら、ピンク色の照明が幻想的で新鮮でした。サビでの後光のような照明は、神々しさをも感じさせるようでした。

「君に会いたい」「木蘭の涙」は、達哉さんのピアノのみで。サトルさんはギターを弾かずにボーカルに集中します。
「君に会いたい」ではサトルさんはブルースハープも披露。
目をつぶって、気持ちをのせて歌われる2曲。時折顔をのぞかせるハスキーなボーカルが、より一層切なく響きます。声の掠れすらもコントロールして歌唱しているのだろうと思います。歌だけに集中して魅せるボーカルの迫力。圧巻でした。
前半終了。

前半の撮影タイム。

休憩をはさみ、後半の始まりは達哉さんと静さんによる演奏から。
おふたりは「silent sugar」というユニットを組んでいます。
本日は達哉さんのソロアルバム『Confession』より、「松島ラグ」「Longing for Home」を演奏。(「松島ラグ」は1回やり直してました)
体を揺らしたくなるような軽やかなピアノのメロディにのせて、ステージをピョンピョン動き回りながらバイオリンを奏でる静さん。とても楽しい。うっとり聞き入りました。

サトルさんの後半1曲目は、2022年制作の楽曲「猫と踊る」
今回のライブグッズのモチーフとしてもあしらわれている、サトルさんの愛する飼い猫「グリコ」との日常を切り取ったという曲。
忙しい中、グリコちゃんとのひとときが癒しの時間となっているサトルさん。そんな気持ちが表れているかの様に、歌声も温かく優しい。サトルさんのブルースハープも素敵でした。
MCを挟まずに続いて「半月」。「やぶれかぶれ」もそうですが、「半月」は、サトルさんの今の歌声、歌い方と歌がとても合っている1曲だと思います。間奏およびアウトロの、ブルースハープやギター、ピアノとのセッションが凄まじく、サトルさんは目をつぶり頭をぐらんぐらんと回しながら、没頭するようにギターを奏でます。グランドピアノの音もまた、地面から音の振動がビンビン伝わってきて、身体全体で音楽を感じられるような迫力でした。

ジガーズサンライブのお話。ジガーズサンのライブは、東京では2017年以来行われていないということもあり、サトルさんひとりのギター弾き語りによる「缶ビール」を披露。17才から25才ごろまでの自分が描かれているという、ジガーズサンの名曲です。

達哉さん、静さんがステージに戻ってきてMC。
サトルさんが静さんのあだ名を暴露し(ここには書かないのでアーカイブで確認してください)、静さんが若かりし頃、ジガーズサンのラジオを聞いてその楽曲を耳コピしていたという話…の途中でサトルさんの足がつる緊急事態に!
歌声はへたらないが疲労の蓄積には抗えない56才。
達哉さんと静さんのMCで繋ぎ、サトルさんもなんとか復活。
「ツアー最終日なんだからもうどうなってもいいんだよ!」
(ブルースハープが床に落ちているという観客からの指摘に)
「だから何だよ!?」と荒くれ者の一面も顔を出し(もちろんすぐに「ありがとう」と訂正)若干カオスな様相を呈しつつ、達哉さんからの「サトルくん、大丈夫ですか?」という掛け声からの、流れるような12曲目「大丈夫」! 出来過ぎたような展開でした。
心躍るジャズアレンジのバージョンに、静さんのバイオリンが華やかさを添えます。観客の「♪大丈夫」コーラスも「ボリュームを2つあげてみよう!」×4で大合唱に。
会場の熱いムードをさらに盛り上げる「カルカロドンメガロドン」!
達哉さんが観客席まで降りてクラップしたり、静さんもステージを飛び出し客席を練り歩きながら演奏したりと、自由な大人たちがかっこいい!

「4年ぶりのツアーで不安もあったけど、各会場に待っていてくれる人がいて、改めてライブって楽しいと思った」と締めの言葉を添えて、「集まってくれた皆さんへの応援歌」として歌われた「アイニーヂュー」。Bメロは観客も一緒に歌います。
そして最後の曲ですと紹介された「天使達の歌」。
サトルさんの奏でるギターの音色に、ピアノ、バイオリンが、曲の世界観に寄り添うようにそっと、そして力強く音を重ねていくのが素晴らしかったです。

大きな拍手に包まれ、ステージから退出することなくそのままアンコール。
東日本大震災から10年を迎えた2021年に制作された「10年後の僕ら」が歌われました。音源には、達哉さん、静さんも参加されています。
大きな災害があって悲しい出来事があって、「日々を大切にしよう」と思うのに、時が過ぎていつの間にかそのことを忘却してしまう。そして次の何かが起こったとき、また同様に思い、また忘れてしまう…その繰り返しであることを痛感し、「忘れてしまう」ことに対するメッセージが、この歌のテーマの一つにもなっているとお話されていました。

後半の撮影OKタイム。観客の腕に光るサイリウムは
観客のおひとりが全員分ご用意してくれたもの

ライブ終演後は、CD、グッズ購入者へのサイン会も実施。
約4年ぶりの東京公演ということもあり、サトルさんとの久しぶりの再会を喜ぶ姿もありました。
きっと全国各地の会場で、サトルさんとの再会を待ちわびていたファンの歓喜の瞬間が、たくさんあったのだろうなと想像できます。

*************************

東京公演ならではのゲストたち

客席には、松本英子さんやブリーフ&トランクスの伊藤多賀之さん、声優の山寺宏一さん、ギタリスト古川昌義さんなど、サトルさんを慕うミュージシャンや著名人の方々がたくさんいらっしゃっており、東京ならではのスペシャルな空間となっていました。
伊藤さんや松本英子さんはツアーTシャツに身を包み、物販をおこなったりサトルさんのフライヤーを配ったりするなどスタッフ業務も手伝っており、サトルさん愛されているなぁと思いました。
そして、関西のテレビ番組でファンを公言し、「坂本サトルさんにもっと有名になってほしい」と発言した、狩野英孝さんもご来場!
サトルさんに「ライブに行きます」と宣言し、ご多忙な中、約束どおり来場してくれたことに会場からも拍手喝采でした。

そして、’23年6月6日のサトル部(ファンクラブ)限定配信「シューイチラジオ」によると、この日の音響は、サトルさんがジガーズサン時代から親交の深いベテラン音響スタッフ・茅原浩司さん(セプトワン)が担当してくださったのだそう。
老舗ゆえに若干オールドな音響機材ながら、茅原さんの手腕により、すばらしい音で音楽を届けることができたのだそうです。
サトルさんの31年の音楽活動、そして人間性が結実した東京ライブでもあった、と仰っていました。

「In my STUDIO」に込められた思い

「In my STUDIO」は、コロナ禍でライブが次々と中止になった2020年、青森にあるサトルさんのプライベートスタジオ「studio mode key blue」から行われた、佐藤達哉さんとの配信ライブのタイトルでした。
その模様を収録した同タイトルのライブアルバムが’21年12月に発売されており、今回のツアーは、そのアルバムの再現ライブという意味合いが込められていました。

私は以前、ライブアルバム「In my STUDIO」のレビューを書いたことがあり、その中で、このアルバムの選曲について、
「アルバムの全13曲中(ボーナストラックを除く)実に8曲が、大切な人を喪失していたり、別れを予感させる歌となっている」と記載しました。

今回、ライブでそれらの楽曲を聞いて、考えを新たにしたのは、
サトルさんが「In my STUDIO」で歌い続けていたのは、
「(コロナ禍で)突然会えなくなった人たちへの、”君に会いたい”という思い」
「会えなくなった人たちへの、”それでもあなたを想っている”という気持ち」
だったんだな、と思い至りました。

今回のライブでは、『In my STUDIO』収録曲以外の曲として、
「4月3日に生まれて」が歌われています。
サビで歌われる「♪君に会いに来たよ」というフレーズが、
コロナ禍でずっと会うことができなかった全国各地のファンへ向けて、
やっと再会できた喜びを伝えているようでした。

今年6月17日(土)、18日(日)には、
自身が主催する青森の大きな音楽イベント
『HOMETOWN MUSIC LIFE2023』を控え、
その準備期間と重なり、超多忙な中での開催となった今回の全国ツアー。

サトルさんとの再会を待ち望んでいたたくさんのファンとの出会いが、
サトルさんにとっても大きな力となり、
イベント成功のエネルギーとなると信じています。

全ツアー完走、お疲れさまでした!


■セットリスト

セットリスト
01 コーンスープ
02 愛の言葉
03 やぶれかぶれ
04 4月3日に生まれて
05 夏のクラクション(オリジナル:稲垣潤一)
06 Woman”Wの悲劇より”(オリジナル:薬師丸ひろ子)
07 君に会いたい
08 木蘭の涙(オリジナル:スターダストレビュー・サトルさんカバー曲)
~休憩~
〈佐藤達哉さんの演奏〉
01 松島ラグ(with 鹿嶋静)
02 Longing for Home(with 鹿嶋静)

09 猫と踊る~シューイチラジオのテーマ~
10 半月
11 缶ビール
12 大丈夫
13 Carcharodon Megalodon
14  アイニーヂュー
15 天使達の歌
~アンコール~
16 10年後の僕ら(10 for 10 TOHOKUセルフカバー)

2023年6月5日「In my STUDIO」
東京公演セットリスト

■会場写真

ステージ(開演前)
サンドウィッチマンからのお花
佐藤竹善さんからのお花


(画像と関係ないですが)渋谷ラママで、2007年12月31日に浅森坂カウントダウンライブをやるはずだったものの、火事になって急遽チェルシーホテルに変更になったとお話されてました。

日々の営み(2007年9月~2008年2月6日)[閲覧のみ] (sakamotosatoru.com)

■関連アルバムなど

ライブアルバム『In my STUDIO』

前述の配信ライブのCD。今回のライブで演奏された曲がほぼ網羅されています。

■ライブアルバム『4月3日に生まれて』

『In my STUDIO』と同時発売された、バンド編成のライブアルバム。
同じ曲でもバンド編成とアコースティック編成でこんなに違うのか!という音楽的ワンダーを楽しめるので、ぜひ対(つい)で聴いてほしい1枚。

■佐藤達哉『Confession』

佐藤達哉さんの初のソロ作品。
聞いていて情景が浮かぶようなピアノの音色が心地よいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?