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00: prologue

はじめまして、まめ子です。自己紹介がいいのかね。最初はね。

小さい頃から文章に、というか言葉の持つ機微に繊細なもんで、綺麗な文章を読みたくて、書きたくて、それから文章のうしろにある感情や意思もおもしろいから知りたくて。気づいたら哲学という道を選んで歩くようになっていた。実は最後に日本語で勉強したのは高校なのだけれど、あえて日本語で何か書こう、と思ったのは、わたしにとって大きな大きなテーマである「感情」は、それから感情の細かな揺れ動きだとかは、日本語のほうが隅々まで表現できる気がしているから。わたしの人生の半分を占めるその言語は、4月の朝ランドセルを背負って家から踏み出しておおいぬのふぐりが咲いた芝生の上を歩くような、夕暮れ空に見え始めたばかりの星たちのような、電車の音が聞こえる田んぼ道を自転車で走り抜けるような、そんな言語なのである。元気かな、といつも思うのだ。わたしが忘れてきた街は、人は、歌は、きらめきは。何か爪痕のようなものをどこかに残しておきたいから、文章でも書くか、と思った。先程も言ったけれど、やっぱり好きなのよね、書くことがね。言葉って生きてるからね。生き続けるから、個人の先にも。あえて自分がいちばん使い慣れた言語で思想を綴るだけでもよかったのだけれど、日本語という、わたしにとってノスタルジアと、一度は隠そうとした若い感情たちのかたまりであることばで、哲学的文章ともただの日記とも違う、物語を綴りたいと思った。誰が読んで何を思うかはわからないけれど、何かが誰かの中に小さくうまれてくれれば、嬉しい。

そんな訳なので。きっとゆっくりだけれど、丁寧に言葉を並べたいから。はじめまして、こんにちは、これからもよければ見ていてね。

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