小説「彼女は狼の腹を撫でる~第28話・少女と関所と針鼠~」
人間は地面に縛られる生き物だ。
空を飛ぶことも水の中を泳ぎ続けることも出来ないせいで、縄張りだとか領地だとかそういうものに拘らざるを得なくなる。
安心して暮らせる場所があれば他人にも優しく出来るし、自分の土地に価値があるとわかると他人を必要以上に虐げる、そういう愚かな生き物が人間だ。
もし人間が鳥だったら土地問題なんて不毛な争いは地上から消えてなくなると思うけど、人間はどこまでいっても人間だから、空の上でまでくだらない争いにご執心なままかもしれない。
私と旅の相棒のファウス