昇格(ハンターハンター 二次創作)7話

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「赤星ぃぃぃいいいっ!京ぉぉお平ぃいいっ!」
 リングアナウンスの入場コールが会場に響き渡る。オレンジのゆったりした柄シャツに赤髪で短髪の京平がポケットに手を入れたまま入場する。

京平 「なんでこんなことに、、、」

 山崎が京平の出場手続きを、あっという間に済ませてしまった。
 オーディションが必要であると言われ、運営サイドの前でシャドーをするように言われた。
 山崎が寺の境内でしていた型を見せれば大丈夫だと横から助言した。京平は言われた通り、いつもやっている空手の型をすると、運営は大丈夫ですと答え、その日のうちに試合が組まれてしまった。

「水野ぉおお!康ぉぉおおニぃいいっ!」
 対戦相手としてボロボロの道着を着た小柄な男が出て来た。ボサボサの頭に虚な目をしている。
少しうつむき、ブツブツと何かを唱えている。京平とはリングに上がっても一切目が合わない。

京平 「こいつ、、、」
 京平は相手が強いと察した。

 運営側は京平のオーディションをした時点で、能力者としてしっかり戦える人間であると判断していた。それ相応のマッチメイクが行われた。

 対戦相手の水野の背中からゆったりとオーラが立ち上る。一気に歓声が沸く。ゴングが鳴った。
 京平も構える。服装に似合わない、しっかりとした体幹、腰を落とし、一目で素人ではないと伝わる空手の構え。指先まで行き届く美しいオーラ。
 会場がさらに湧き上がる。

 観客席の山崎が口を押さえ、くくっと笑う。

 水野は京平との距離を詰める、フェイントを入れながら、いきなり飛び込もうとする様子もある。

京平 (タックルに来るか?コイツ寝技が得意か?)

 水野は京平の襟を取ろうとした。京平はそれを手で払う。同時に京平は半歩、距離を取った。襟は掴めない距離に一時的に回避。しかし、追いかけるように水野の前蹴りが京平のみぞおちに突き刺さった。

京平 「くっ!!」

 動きが止まる京平。水野はこのチャンスに畳み掛けようとする。水野のラッシュが飛んでくる。すぐに頭部をガードする京平。
 4発パンチが飛んできたが丁寧にガードした。その度にオーラが弾け、会場が沸いた。
 みぞおちに入った蹴りのせいで一瞬動きが止まったが、その後の追撃はガードしたため京平は回復し、脚に力が入った。今度は大きく距離を取る。一歩半分後ろに下がった。
 水野は逃がすものかと追いかけようとしたとき、京平は前方に飛んだ。下に潜り込むように動いた京平を水野は目で追った。視線は下に向いたが、次の瞬間、京平の蹴りは上から降って来た。胴回し回転蹴りだ。

 追いかけようとした分、カウンターで蹴りが水野の顎にヒットした。水野はその場に崩れ落ちた。

 レフェリーが止める。試合終了のゴングが鳴った。京平の強烈な一撃。

 歓声は鳴り止まなかった。

15
 控え室でスポーツドリンクを飲む京平。ガチャっとドアが開く音がした。振り返ると山崎がいた。

山崎 「お疲れ」
京平 「強くてびっくりしました」
山崎 「予想よりかってだけだろ?」

 京平はそうかもしれないと思った。結果的には開始30秒で失神KO勝ちだ。油断さえしなければ負けない試合だ。

山崎 「次の試合の準備しろ」
京平 「えっ?!すぐですか?」
山崎 「会場が複数ある。12試合までなら1日にできるそうだ。いい機会だ。強くなれ」

 同じランクの人間同士でマッチメイクをしているらしいと言うことを山崎は説明した。しばらく実績を積んで、このランクじゃないと判断されると声がかかり上のランクに昇格するようだ。

山崎 「ランクは全部で5段階だそうだ」
京平 「俺は今どのランクで戦ってるんですか?」
山崎 「レベル2。下から2番目だ」

 最初に見た石井武史はレベル1だったようだ。どこまで行けるだろうか?

京平 「とりあえずレベル5に行きます。強いヤツとやってみたいし」

 京平は余裕の表情をする。水野の攻撃を防いだ両腕がジワジワと痛むのを感じた。

15
 4日後、京平はレベル3に昇格した。そして、さらに15日間、戦い続けた。毎日、12試合をこなした。合計240人を倒した。そのうち210人は3分以内に、18人は5分以内に倒した。10人は10分、2人は15分かかった。ただその全てはKOであり、負けることはなかった。あっという間に地下闘技場の人気者となった。

 合計20日間戦い続け、240人目を倒した直後の京平の控え室に運営のスタッフがノックをして入って来た。

「赤星京平様、レベル4に昇格とさせていただきます。今後とも宜しくお願い致します」

 控え室には、元々着ていた柄シャツとワイドパンツ、スニーカーは辞め、トレーニング用のハーフパンツのみ、裸足に上半身裸の京平がいた。細身ではあるがしっかりとした肩幅と、バキバキに割れた腹筋が目立つ。
 連続する試合で身体は痛み、腕と足はテーピングだらけだ。
 試合後、汗だくで息切れしている。全身はあざだらけだ。右目は腫れ、半分塞がっていた。

京平 「遅えよ、ふざけんな」

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