花に水を(ハンターハンター 二次創作)11話

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 入り口で荷物を預けるよう指示を受けた。
 山崎はリボルバーと荷物を指定されたロッカーに預け、鍵を受け取った。
 警備員が、あっ、という顔をした。

山崎は「モデルガンさ、好きなんだ」と答えた。

 持ち込もうとしたわけでもなかったので、それ以上は何も言われなかった。

山崎 「スマートフォンもかい?」
警備員「はい、撮影も禁止させていただいております」

 プロレスラーのようなデカい警備員が丁寧に受け答えをしていた。荷物を全て預けた後、ボディチェックをされた。

 ロックが掛かった分厚い扉を2枚抜けると美術品が並ぶ部屋に出た。窓も強化ガラスが二重に入っていた。

 建物は体育館ほどの大きさだろうか。クラシックの音楽が流れ、人はまばらだった。空調がしっかり効いていて涼しい。

 山崎は館内の美術品を見て回った。
 有名な作品が多く並んでいるのかもしれないが、正直、芸術は分からないと山崎は思った。

 ふと、目についたのは一本の日本刀。

山崎 (絵画が多いと思っていたが、こうゆうのも置いてあるのか、、、)

 手入れされた刀は冷たく光り、まるで水に濡れている様に見えた。作品名には「雨」と書かれていた。

山崎 「これは、、、」

 刀は妖艶に光り、蒼白いオーラを発していた。どこかの天才が作った作品だろう。

 カタン、と音がした。山崎が振り返るとそこには作業着を着た初老の男性がいた。白髪を綺麗な7.3に分けている。お腹が出ているが清潔感のあるデカイ爺さんだ。館内にある観葉植物に水をあげていた。

山崎 (清掃員か?、、いや、)

 作業着の爺さんが前を通ると、警備員が小さく一礼した。返す様に爺さんも小さく一礼を返した。
 山崎は、その爺さんの方に歩いて行き、声をかけた。

山崎 「もしかして、館長さんですか?」

 爺さんは振り返ると照れるように笑った。やや、カーネルサンダースに似ている。

館長 「ええ、一応、、こんな格好ですいません」
山崎 「いえいえ、植物の世話もされるんですね」
館長 「はい、枯らしてしまうのは可哀想なので」
山崎 「この施設はどれくらい前からあるんですか?」
館長 「30年くらい前からですね」

 館長は愛想良く、笑顔でなんでも答えてくれた。

山崎 「私は芸術に疎いのですが、どれも高価なものなのでしょうか?」

館長 「いえいえ、ピンからキリまであります。無名のものもありますし、たまにここからオークションに出展されて高額で引き取られていくこともありますが、稀ですね」

山崎 「オークションに出るのは一部なんですか?」

館長 「美術品は美術館の持ちのもではなく、それぞれオーナーがいるんです。金持ちのオーナーが作品を美術館に飾っているイメージです。オーナーが手放したいと思ったらオークションに出展されます」

山崎 「なるほど」

 ここにある作品一つ一つに持ち主がいるようだ。家に置いておくのではなく美術館に飾っているのか。

山崎 「ちょっと聞きたいことがありまして、この男、ここに来ませんでしたか?」

 山崎は霧生の写真を取り出した。館長は写真に写る霧生をじっと見た。

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