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【プレイオフを振り返る】#2 ルカのマッチアップメイキング(Game1後編)

前回に引き続き、Game1について見ていきます。

今回は、クリッパーズのドンチッチとの向き合い方を探るべく、「MM-A / MM-M」と「R-FGA / R-FGM」という2つのスタッツを作ってみました。



ルカのマッチアップメイキング


選手ごとにカウントした場合

LAC vs DALでは、ルカによるズバッチへのアイソ攻撃が恒例行事です。どれくらい恒例かというと、楽天NBA公式の広告で「日々生まれる!」という謳い文句とともにこのマッチアップが紹介されるくらい恒例です。ズバに恨みでもあるのでしょうか。


画像1 公式広告でのズバッチの扱い


今回は、ルカがP&Rやアイソレーションでギャップを作る際に、どんなマッチアップを作っているのか探るべく、筆者にて集計してみました。
(なお、集計は基本的に筆者が映像を見て手作業でカウントしているため、間違っている可能性はご容赦ください。。。)


表1 ルカのマッチアップメイキング

表1のスタッツは、公式スタッツであるFGA・FGMと2点ほど異なるものとなっています。

「MM-A」は(Matchup Making - Attemptと筆者が勝手につけただけです笑)、ルカがLACのマークマンを相手にギャップを作ろうと試行した回数をカウントしています。ルカがシュートを打った回数ではなく、「ルカがズバ相手にアイソして、DFが収縮したところでポルチンギスにパスをしてポルチンギスが打った」場合も、ルカのMM-Aにはカウントしています。つまり、「ルカが誰を相手にギャップ作りをしたか(結果として誰がシュート打ったかは問わない)」を数えています。逆に、他の誰かがギャップ作りをして、ルカがC&Sを放った場合は、MM-Aにはカウントしていません。

「MM-M」は、Matchup Making - Madeですが、FGMと違いFoulを獲得した場合もMM-Mにはカウントしています。いわゆるFGMは、シュートファールを受けて外して2ショットになった場合はFGAにもFGMにも加算せず、シュートファールを受けた上で決めてアンドワンになった場合はFGAにもFGMにも加算される理解で、これはオフェンス側のシュート力を表現するスタッツゆえの処理だと思います。
今回は、DFが成功したか否かを知りたかったので、ズバッチがシュートファールをした場合は「ルカのオフェンス成功、LACのディフェンス失敗」とカウントしたく、FoulもMM-Mにカウントした次第です(もちろんMM-Aにもカウントしています)。

このスタッツは、周りのシューターがシュートを外してもルカの実績になるので、MM-MよりMM-Aが重要度が高いと思われ、ルカが誰を好んで攻めているか知る指標として活用したいと思います。

また、アイソではなくピックを使った相手は、ルカにとってあまり直接対決したくない相手とも言えそうなので、ポジョ、バトゥムを避けている傾向にあるでしょうか。

その横で、ズバッチは9回中9回アイソレーションという金字塔を打ち立てています。これがオフィシャル餌食たる所以でしょうか。

合計すると、

表2 ルカのギャップ作り成功率

結果的にルカのギャップ作りは18/28(64%)で成功しており、これが効率的であることは言うまでもありません。なお、ピンクの「31P,10R,11A」は普通の公式スタッツです。

また特徴的なこととして、カワイが一度もマッチアップしておらず、LAC側もマークにつけようとしていません。おそらくシリーズを通してGame1だけの出来事で、カワイの体力を温存しながら、ティロン・ルーがGame1を様子見に使っている根拠の一つになるかもしれません。
ちなみに、カワイはTHJやフィニンスミス、ポルチンギス等をマークしていました。


マークマン別、Q別にカウントした場合

次に、上記のデータを「誰が正規のマークマンで、Q毎にどうなっているのか」をまとめてみました。

表3 マークマン別、Q別

左側:Original MatchupがLACが用意したマークマン、右側:Match-up Makingがルカが実際に攻めた相手で、正規のマークマンは青、そうではない場合(=ルカがミスマッチを作りに行った場合)を黄色で示しています。右上に「5i」とあったら、そのマークマン相手に5回アイソレーションした、という意味です(pならピックを使った、です)。

ちなみに、正規なマークマンを認識するのは難しくて、例えばATO(アフタータイムアウト)だけカワイがルカをついてみたり、トランジションシチュエーションで偶然ズバッチがついたりもあるのですが、そういったノイズは除いて集計していますので、ここはかなり主観があるかもです。またルカがドライブする前に早々にLAC側がトラップに行き生まれたギャップは、ルカが作ったというよりLAC側が進んで作ったものとして、加算していません。

右下に吹き出しでつけている「share」は、マークマンを攻めている回数と非マークマンを攻めている回数を比較したものですが、マークマン以外で61%を占めており、如何にルカがミスマッチを攻めているか、DALがマッチアップメイキングを大切にしているかが伺えます。ルカのお好みは、ズバッチ、イバカ、レジーといった感じですね。

ルカが好物の選手をハンティングし、良いようにやられてしまっています。Game2でどのように改善されていくでしょうか。



ルカと、ルカ以外のバランス


『【プレイオフを振り返る】#0 概観』で触れた通り、DALはルカのP&R+アイソと、ルカ以外のSpotupシュート”攻撃の両輪”で、どちらも非常に効率的です。

そこで、各Q毎に、誰がシュートを打って決めているのか集計してみました。

表4 ルカとルカ以外のシュートアテンプト


これまた「MM-M / MM-A」と似たような形で、シュートファールを受けた場合はAttemptにもMadeも数える方式で「Reviced-FGA」を作り、シュートファールを受けたらオフェンス成功とみなして「Reviced-FGM」というスタッツを作ってみました。純粋にシュートを放った回数を集計したかった趣旨です。また、R-USGr(Reviced USGr)は全シュートに占めるシンプルにルカがシュートを打った割合を示していて、TOを含む場合のものも別途作っています。

後半、LACがトラップを採用したため、ルカが周りの選手にパスを供給する機会が増加し、ルカのR-USGrは第4Qでは19%まで低下、その結果Spotupシュートやカウンタードライブも含めルカ以外の選手の攻撃成功率も70%を超えています。ルカが休みがちな2Qは若干効率が落ちるのも、彼の凄さを物語っています。

まだGame1だけのスモールサンプルですが、Game1ではDALの攻撃の両輪である「ルカのアイソ/P&R」も「ルカ以外のSpotupシュート」もどちらも止められなかった、ということが浮き彫りになってきました。

ちなみに今シーズンのDALもすごいですよね。ルカだけでなく、THJもブランソンもフィニンスミスも非常に魅力的です。シリーズを通じてパウエルにも良い仕事をされてしまった印象もありました。


終わりに


今回も長文ご覧頂きありがとうございます。

次回はGame2について、主に#1,#2で太字にしたキーポイントがどのように変化していくか見ていこうと思います。
ルカか、ルカ以外か、LACはどちらかを止めなければなりません。

今回もお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました!!!
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