現代の問題と心理学
新型コロナウィルスの影響はまだまだありそうである。現代において、心理が働きすぎて行動に移してしまうことが多々あるため、問題解決のためにも心理学の観点から人の行動分析をしていこうと思う。
第一章 目次
1.高齢者が踊らされた
2.差別はおさまらない
3.マスク問題
4.具体的な方法が示されると信頼度が上がる
1.高齢者が踊らされた
新型コロナウィルスの問題で、ドラッグストアの前に列を作ったのは高齢者が多かった。
一般的な群集心理の他に、高齢者特有の心理がプラスされたのだ。
高齢者は重症化するという報道により、一気に恐怖を煽った。
さらに権威のある人の言葉を信用する「ハロー効果」が、特に医者を崇める高齢者に、手にいれなくてはと強く思わせたのである。
過度な報道もプラスされて、このような事態を招いたのである。
2.差別はおさまらない
パニックに陥っていたり、不安な人は、早く安心したいという思いから、すぐに答えを導きがちである。
きっと◯◯に違いないと決めつけ、他人を非難し、責任を押しつけて、心の平穏を得ようとする。
集団のもつ特徴の一つで、異質なものを排除して、集団の質を均一に保とうとする「黒い羊効果」が働いてるのである。
医療従事者が保育園の受け入れを拒否された例も同様で、不安を解消しようとしたからである。
3.マスク問題
SNSやネットニュースでは多くの情報が発信される時代になったが、あっという間に拡散されることがある。
今回のコロナでは、信頼性の高いメディアが発信した誤解を招く記事情報を、世間が認知しかけた事例があった。
医療現場での感染防止にマスクは向かないという論文が大々的になったのだ。
これはSNSでかなり拡散され、大きな話題となった。
根拠があったとしても、趣旨が変容する可能性は高いので注意していきたいところである。
4.具体的な方法が示されると信頼度が上がる
息を吸って10秒我慢出来れば感染していないというデマを信じて、Twitterで拡散されたニュースも話題となった。
◯◯なのかな?という疑問が、会話などを通じて◯◯らしいに変化する。
次に伝わる時には◯◯もそうだからと、
伝わるごとに憶測、根拠が追加されていくのである。
具体的な数字が入ると、真実のように思えてくる。
確かな情報をつかむまでは、安易な気持ちで拡散しないようにすべきである。
現代の問題の中には様々な人の心理が潜んでいる。特に最近では、新型コロナウィルスの影響で人の心理が動かされることが多かった。さらに現代の問題に対する心の動きを探っていく。
第二章 目次
1.事実と逆
2.それらしい話
3.印象に残る表現
4.起こりうる異常事態
1.事実と逆
新型コロナウィルス流行の際には、デマが拡散することが多かった。
体温が上がれば免疫力が上がるというのも一つ。
体温が下がると免疫力が落ちるなら、逆の場合なら免疫力が上がるだろうと論理がすり替えられたのだ。
結果として、体調が悪くなった人が長時間入浴しさらに悪化したという人が頻発した。
噂を聞いて、その逆をすればと期待してしまうのは大きな間違いなのである。
根拠が正しいかをまずはしっかりと見極めよう。
2.それらしい話
ビタミンは新型コロナに効くという噂も広がった。
これはインフルエンザ=コロナみたいな図式に当てはめてしまい、根拠として示されてしまったのだ。
人が信じやすい噂は細部までリアルな物が多い。
具体的な内容が盛り込まれることで、信じる確率が上昇する心理学効果が働くのだ。
それらしい話に根拠が乗っかっていくと、厄介になることが多いのだ。
3.印象に残る表現
同じことでも、言い換えるだけで与える印象を変えることが出来る。
新型コロナでも、感染者の2割が重症化するという報道により、不安に思う気持ちが深く浸透していった。
メディアによる情報という権威付け効果が繰り返し伝えられたことにより、不安を煽ったのだ。
高齢者が重症化するという点ばかりが報道され、若者は感染しないという誤った意識も広まってしまった。
ネガティブな言葉の方が伝わりやすく、広まりやすいのである。
4.起こりうる異常事態
特定の石が効果があるという噂も広がり、通販で高額で売られることもあった。
人づてに噂が広まり、あの人が言ってたからと信じてしまう人もいた。
ここまでくると、もはや異常事態である。
新型コロナウィルスに挑む
思いがけない話である分、もしかしたらと思わせる心理作用が働いてしまったのである。
信じられないと思っていても、大勢が集まることで信頼されてしまうケースもあるのである。
人は噂に翻弄されることがわかってきた。特に世間の流れと共にマスコミ、メディア、SNSの影響は大きい。なぜ人は噂に踊らされるのかを考えてみよう。
第三章 目次
1.正しい情報を信用しない
2.みんなと違うと不安
3.残忍性を発揮する時
4.リアルが加わると
1.正しい情報を信用しない
SNSで、デマが広がることが多い。
デマに気づいた人などが、訂正の情報を流したとしても、問題のデマほど拡散されないことが多い。
訂正情報が広がらない原因として、「敵意帰属バイアス」という現象が働いている。
敵意帰属バイアスとは、相手の言動を敵意から生まれたものと考えてしまう心の傾向のことで、キレやすい人に多いと言われている。
相手の言動に悪意があるものと解釈してしまうので、正しい情報を素直に受け入れることが出来ないのである。
2.みんなと違うと不安
正しい意見でも、少数派は主張することが難しいことがある。
世論や選挙の中で、優勢だと感じた側の声が大きくなり、劣勢だと感じた側は孤立を恐れて声を上げづらくなり、優勢側の勢いがどんどん増していくという「沈黙のスパイラル」という概念がある。
一つのデマでも、特定のコミュニティで根強く語られ続けることもある。
コミュニティの中で沈黙のスパイラルが発生し、デマを否定する声がコミュニティのメンバーに届かないことが多いのである。
3.残忍性を発揮する時
関東大震災の際に、朝鮮人が放火しているという噂が広まり、虐殺した事件があった。
虐殺したのは各地で自警団を結成した、一般の人だった。
アメリカで行われた「スタンフォード監獄実験」では、看守役は囚人役を様々な方法で虐殺ようになった。
看守という役柄を与えられただけで、普通の人でも残忍になってしまったのだ。
与えられた環境によって、人はいくらでも残忍になれるのである。
4.リアルが加わると
話に具体的な内容が盛り込まれると、聞いていた相手が信じる確率が上昇する。
ある実験では、具体例を織り交ぜて話すことで、信憑性が32%高まることがわかった。
災害や感染症で広まる噂も、デティールが増えることで、信憑性が上昇するのである。
こうした拡散により、信じてしまう人が増え、さらに間違った情報が広まるという現象が起こっているのである。
噂が噂を呼び、事が大きくなるのもしばしば。便利な世の中だけに、これは避けて通れない道なのかもしれない。なぜ話が知らないところで膨らんでいくのか。そんな心理状態を考えてみよう。
第四章 目次
1.情報+主観
2.誰かが言っていた
3.あの人も言っていた
4.みんな言っている
1.情報+主観
戦前の日本には言論の自由がなく、言いたいことが言えない状態で、噂という形で流れていくことが多かった。
戦時中や災害後には、社会が大きな危機に直面していると多くの噂が流れたのだ。
戦争の際は、戦争を続けることに意味があるのかを疑問視している人が多かったが、口にすることは出来ない。
したがって噂という形で、世間の意識や意見が広がっていったのだ。
噂の中にも、人々の意見や願望が含まれているのだ。
その名残は今でもあるのだろう。
2.誰かが言っていた
人は根拠がないものでも、噂を信じてしまう。
直接本人から聞くよりも、第三者を通じて聞いた方が信憑性を感じてしまうことを「ウィンザー効果」と呼ぶ。
また、「フィキシングソリューション効果」という心の動きも、もっともらしいと感じてしまう働きがある。
内心思っていたことを他人から言われると、確信に変わり思い込みが強くなるのである。
誰かが言っていたということで、根拠が増殖していくのである。
3.あの人も言っていた
プレゼンの時などに使うテクニックとして、他人の権威を利用することがある。
◯◯さんも愛用しているなど、有名人や専門家を利用するもの。
実は世間に出回る噂やデマも同じようなことが言える。
専門家が言っているから間違いないと信じ込んでしまうことが多々ある。
世間の人はまだ誰も知らないけど、これは本当に違いないと、噂やデマに根拠があるように思ってしまうのだ。
権威が噂やデマに根拠を与えて、人に信用させてしまうのである。
4.みんな言っている
噂やデマの信用度を与える根拠として、みんなが言っているというものがある。
多くの人が信じることで、信憑性が増すのだ。
多くの人が信じ、行動することで予言が現実になってしまう現象を「予言の自己実現」という。
根も葉もない噂やデマでも、予言が本当に実現してしまうこともあるので注意していこう。
たとえ予言が間違ったものでも、多くの人が信じて行動することで、予言が本当のものになるのだ。
まとめ
噂やデマには根拠が出来たり、人から人へのマンパワーで膨らみ、事実のように伝わっていくことがある。
また、現代ではSNSの拡散という恐怖がある。
情報伝達のスピードが早く便利な世の中にはなったが、逆に人を恐怖におとしめる恐れもある。
デマや噂を信じるも信じないも自分次第。
確かな信念をしっかりと持ちたいものである。
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