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人生は呼吸で決まる~最高の呼吸

広島でヨガと栄養学をこよなく愛する美月です。
今年もあとわずかとなりました。

人類はなぜ鼻呼吸をやめてしまったのか。
その原因に18世紀以降の産業革命が関係しているとしたら? ジャーナリストの著者が、古代人と現代人の頭蓋骨を比較することで口呼吸への移行期を明かすとともに、神経系を活性化させる理想的な呼吸法について探索する。
全米77万部突破、40ヵ国で翻訳 世界的ベストセラーが、ついに日本上陸!

最近の一番の学び。生きていることは息をする事。
「呼吸」の重要性についてお届けします。

外から取り込む物質の8割は空気

私達は1日にどれくらいの水を摂取するのか?
2リットル飲んだとしても、それは2kgという所。
しかし1日に肺を通過する空気は約13~20kgと言われ水や食事をしのぐ重要なもの。

健康になる鼻呼吸、病気になる口呼吸

産まれたばかりの赤ちゃんは、母乳を吸うために鼻で呼吸をしているが、成長するにつれ言葉を発するようになると、口呼吸ができるようになる。しかし、注意しないと口呼吸が癖になってしまう。
鼻は空気中の異物をブロックする防御機構に優れているが、口にはこの機能がない。さらに細菌が入ってきた場合は、鼻の繊毛細胞がこれを察知し、細菌を破壊する抗菌物質や一酸化窒素(NO)を放出してこれをやっつける。また鼻呼吸をするだけで一酸化窒素の血管拡張作用働き、血圧が下がるというメカニズムも持っている。
犬が口で「ハーハー」しているのは体温調整のためで、ほとんど肺に酸素
は入ってゆかない。動物の体の構造上、口呼吸はできないようになっている。人間は進化の過程で言葉を発するようになり、その調整能力が裏目となっているのだ。

鼻気道内の障害物や鼻炎により鼻呼吸が行えない際に生じやすい口呼吸

病気の7割は口呼吸が原因

口呼吸の習慣は体を酸欠状態に

呼吸で体内に入った酸素は血中のヘモグロビンと結合して必要とされる組織や臓器にたどりつくと放出される仕組みになっている。この時、血液中の二酸化炭素濃度が不足していると結合が解けず、酸素が送られない。つまり酸欠状態になってしまう。これを「ボーア効果」という。

細胞呼吸のためには適切な二酸化炭素が必要

酸素よりも二酸化炭素が実は重要

にわかには信じがたいことだが、健康な体にとって酸素吸入は何の役にも立たず、組織や臓器への酸素運搬に効果はないとどころか、むしろ酸素不足の状況を作り出し窒息状態を招きかねない。
すなわち、スポーツ選手がプレーの間に吸入したり、時差ボケした旅行者が空港の酸素バーで 50ドル払う事は何の得もない。
ガスを吸えば酸素濃度は1,2%上昇するかもしれないが。それが酸素が不足している細胞に到達することはない。
酸素吸入が役立つのは、高所にいる人や重病人に限られる。しかし、たとえ病気の患者であっても長期的に酸素を吸入すると、いずれ肺が傷ついて赤血球が減少し、将来的に体が呼吸から酸素を取り込むことが難しくなる。

犬のマスク実験

イェール大学応用生理学研究所の所長ヤンデル・ヘンダーソンは研究室のテーブルに犬を一頭ずつ乗せ、喉に管を挿入し、顔にゴム製のマスクを装着させた。管の先端には、小さなふいごが付いていた。犬が吸う空気の量と頻度は操作可能となりふいごで空気を送るスピードをどんどん上げると、動物たちの心拍数がすぐに1分あたり40から200回以上に増えるのをヘンダーソンは観察した。やがて、犬たちの動脈は、大量の酸素が流れるが、それを取り除いてくれる二酸化炭素がほとんどないため、筋肉や組織、臓器の機能が低下し始めた。手に負えない痙攣を起こす犬もいれば、昏睡状態に陥る犬もいた。そしてさらに空気を送り込み続けると、酸素が充満して二酸化炭素が不足する余り、死に至った。

イェール大学の二酸化炭素濃度実験

生き残った犬に対してふいごのスピードを緩めながら、観察すると心拍数がたちまち元に戻った。それは血液中の二酸化炭素の量の上昇によってもたらされていたのだった。
そして今度は犬たちに、普段よりも少しだけ激しく呼吸し、心拍数が若干上がって二酸化炭素濃度がやや不足するよう(人間によく見られる過呼吸の状態)調整したところ、犬たちは苛立ち、うろたえ不安になり、目がどんよりとした。こうした状態に対してモルヒネなどの薬品を投与すると心拍数は下がるが、何よりもゆっくりと呼吸をさせることが回復に効果的であった。
「二酸化炭素は全身の主要ホルモンであり、すべての組織によって育成され、恐らくすべての他に作用する唯一のホルモンである」とヘンダーソンは、のちに書いている。
二酸化炭素こそ、実は酸素にもまして根本的な生命体成分なのである。

酸素の取り過ぎをチェックする方法

吸って吐いてというリズムで呼吸をし、吐ききったところで鼻をつまり息を止める。苦しくなったら終了。 
25秒が平均。もし20秒以下しかできない場合は、呼吸過多。
体が酸素を取りすぎていて、体内の二酸化炭素が不足している可能性がある。 40秒以上を目標に息止め訓練を続けるとよい。
普段から呼吸数をできるだけ減らし、1分間で6~10回を目安にする。

最近過呼吸を慢性的に繰り返す、「慢性過呼吸症(過換気症候群)が」増えている。そういった人たちにもこの息止め訓練は有効である。
食欲不振やパニック障害、強迫性障害に悩む人は一様に二酸化炭素が低く、息を止めることに非常に強い恐怖を感じる。
サザンメソジスト大学の心理学者。アリシアミューレによる刺激的な実験。パニック障害に苦しむ20名の被検者に、二酸化炭素が減少することを防ぐため、呼吸遅くして二酸化炭素を増やす単純なテクニックを導入したところ、めまい息切れ、窒息感が解消された。
「深呼吸をして」ではなく「息を止める」指示が効果的であった。

口呼吸の害悪

そして「口呼吸」は消毒も濾過もされていない生水を飲む位、害悪がある。

1970~1980年代に行われたアカゲザルの鼻孔をふさぐ実験

サルの閉塞実験

6か月~2年間に渡り、シリコンを詰められたサルたちは口が開いたままになり、歯並びが悪く、あごが長くなった。

著者自身が自ら24時間、鼻を閉塞させて寝たところ、いびきが1300%増加し(一晩で75分)。睡眠時無呼吸の発生件数も4倍に増えた。
10日間続けると、いびきが4820%に増加し、酸素濃度が85%を下回る(正常値は「96〜99%」)ほどとなった。

3.3秒毎に濾過も加熱も加湿もされていない空気が口から入ってくる。
口呼吸では体の水分が40%も多く失われる。
舌を乾かし、喉をヒリヒリさせ、肺をむかむかさせた。

口呼吸は諸悪の根源。

血圧が上がり、歯列がゆがむ。気道が変形し、いびき(無呼吸症候群)を引き起こす。喘息もADHDもいびきも口内の閉塞と関連があるとさえ言われている。
貴重な唾液を不足させ、口臭の原因となったり、歯の脱灰化を阻止し虫歯を引き起こす。
安静時の舌の正しい位置は上あご。鼻呼吸をする際、私たちは舌をこの部分にぴったりと密着させている。ところが口呼吸を続けると、これができなくなる。

https://mirai-iryou.com/2019/12/10/cep_course3/

口呼吸は鼻呼吸に比べ外敵から守るブロック機能が脆弱。
上咽頭に炎症が続くと。炎症物質が全身を駆け巡り。遠く離れた腎臓関節、皮膚などに炎症を引き起こすことがある。
IGA腎症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息花粉症などのアレルギー性疾患や膠原病などさまざまな免疫系の病気を引き起こす。また、上咽頭は自律神経の調整にも関わっておりめまいや吐き気、胃の不快感や便通の異常、全身の倦怠感や鬱など自律神経症状も引き起こす。

舌の正しい位置~舌の根元まで上あごにつき、歯にぎりぎりつかない


歯並びが美しく、噛み合わせが良い口元を作るためには口の機能が発達し、顎が充分に成長することが大切。特に上あごの成長に深く関わっている。口の中は外側を頬の筋肉、内側を舌筋で囲まれており、こうした筋肉の影響を強く受ける。普段から舌が上あごに密着していれば、上あごは広がっていく。口呼吸で「落ちベロ」になっていると上あごへの力が不足して成長が抑制される。そして下あごは噛筋の影響を受けるので、噛む力が弱かったり、噛む回数が減ると成長が抑制される。この結果、不正咬合が子供たちの間で増えている。唇を開閉する力も弱くなり。出っ歯や受け口になりやすくなる。

口呼吸が続くと姿勢が悪くなる

小児92人を対象に口呼吸をしているグループと鼻呼吸をしているグループに分けて比較した研究では、口呼吸グループが優位に姿勢が悪いという結果が得られている。
我々人間は二足歩行で体重の約10%もあると言われる重い頭を支えている。この頭を支えているのは背骨や筋肉であるが、この筋肉には舌も含まれる。
舌全体をしっかりと上あごにつけると頭が安定し、ダンパーの役割を果たす。首は背筋が伸びる感覚を得られる。
一方で、口呼吸が習慣になっている人は舌があごから常に離れているのでダンパーが効かない。ダンパーが外れると、重い頭がフラフラと安定せず体幹が崩れ、姿勢が乱れてしまう。

アナトミートレインのうちディープフロントライン(DFL)は、下腿の後脛骨筋に始まり、舌骨筋群まで繋がる筋膜ライン


また「アナトミートレイン理論」では、舌の筋肉は足の底の深層から始まり、ふくらはぎの後ろ、太ももの内側、骨盤、背骨、頭蓋骨の底、咀嚼筋までつながってい、体の筋膜構造の軸となっている(ディープフロントライン)。その筋肉は体軸をなすインナーマッスルであり、解剖学的に観ていくと、頸部深層筋、胸膜、横隔膜、大腰筋、股関節の内転筋、膝窩筋、脛骨筋と連動している。舌の位置を正しく置くことで体全体が引き上げられ。体感が安定し、姿勢が正しくなる。
一方で運動不足で筋力が落ちれば、舌の筋力も低下すると考えられている。

あなたの舌は大丈夫?舌力チェック

①舌だし


Ⅰ類 口蓋垂、口蓋扁桃が見える
Ⅱ類 口蓋垂の先端が見えない 口蓋扁桃が見えない
Ⅲ類 口蓋垂の根もとが、かろうじて見える
Ⅳ類 口蓋垂がまったく見えない 軟口蓋も見えない

舌を思い切り下に突き出し、喉の入り口がどこまで見えるかをチェックする。これは「マランパチ分類」と言われ、睡眠呼吸障害を見つける簡易検査としても知られている。
Ⅲ類、Ⅳ類では、睡眠時無呼吸症候群である確率が2倍以上。また、一段階上がるごとに睡眠中の1時間あたりの呼吸の停止や低下の回数が5回増加する。

②パタカテスト(オーラルディアドコキネシス)


「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間または10秒間発音し、その回数を数えることで、口の機能を評価する。

口腔機能低下症の検査として行われている。

「パ」口唇を閉じたり、開けたりする能力のチェック。
測定値が悪い場合、食べこぼしや滑舌・発音が悪くなる。

「タ」舌の前方部分を上に上げる能力のチェック
測定値が悪い場合、食べ物を口の奥に送り込みにくくなり、食事に時間がかかる。満腹感を感じ栄養失調の原因となる。

「カ」舌の奥を持ち上げる能力のチェック
測定値が悪い場合。飲食の際、むせたり、誤嚥を引き起こす。

呼吸は自分で変えられる

「地球上で最も深い男」ヘルベルト・ニッチ

地球上でもっとも深い男


「深い呼吸=健康」という観点で考えると、女性は男性より分が悪いし、年齢を重ねるにつれて肺活量が少なくなってしまう。しかし、チベットの修行僧が昔から知っていたことで。西洋の科学が今発見していることでもあるが、必ずしも衰退の一方、通行路ではないということ。
内臓は柔軟性があり、ほぼいつでも変化させることができる。
フリーダイバーはそのことを誰よりもよく知っている。数々の世界記録を達成したヘルベルト・ニッチは14Lの肺活量があると言われている(平均的な男性の2倍以上)。ほかのフリーダイバーたちも最初からそうだったわけではない。意志の力で肺を、大きくした。
自身の内臓を劇的に変化させる呼吸法を独学で身につけた。ウォーキングやサイクリングなどの適度な運動でも、肺のサイズを最大15%増大させることも明らかになっている。

脊柱側弯症を治した10代の女性

カタリナ・シュロートは生まれついての脊椎側湾症でベットの上か、車いす生活が予期された。当時は治療法がなかったからだ。
しかし、16歳の時に風船を観察したことにヒントを得て、鏡の前に立ち、体をひねって片方の肺に息を吸いこみ、もう片方の肺には空気を取り込まないようにする訓練を始めました。次にテーブルの上で体を横向きに投げ出し、胸をアーチ状に前後に曲げて胸郭を緩め、あいたスペースに息を吹き込む矯正呼吸法を5年間続け、ついに自身の脊柱側弯症を治してしまう。それだけでなく、治療施設を作り、医者が匙を投げた脊椎湾曲症の患者を集め、呼吸の力で次々と治してしまう。

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