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夢の農法に挑戦します!

東京中野区でままともや業を営んでいた14年間、ままともやファーム裏庭の林の手入れまではまったく手が回りませんでした。
こちらでの暮らしを始めて、改めて確かめてみると、裏の林は恐ろしい状態になっていました。藤などのつるが杉やヒノキに、大蛇の如くからみつき、まるで絞め殺そうとしているような状態でした。すでの枯れてしまい、倒木している木も少なくありません。このまま放置を続けたら、熱帯の樹木がアンコールワットのような遺跡を飲みこむごとく、ままともやファーム家屋も敷地も藤のつるや広葉樹の森に帰ってしまう。そんな恐ろしいイメージが頭をよぎりました。
この荒れ放題の状態で、伐採や整備を業者に頼めば、きっと大変な費用が必要でしょう。
とにかく、自力で出来ることから始めてみることにしました。
エンジンで円盤の歯を回転させるする刈払い機という機械で雑草や篠竹を切り払います。
杉などに絡みついていた藤のつるは、太いところは直径20センチ近くに成長していました。つるを見つけては爆音を上げるチェーンソーで切断していきます。
獰猛な機械を使った鬱蒼とした林の中での伐採作業は、肉体的にも精神的にもきつい作業でした。
でも、つるを切り、枝を落とし、雑草を刈るごとに、鬱蒼としていた林に少しずつ光が差し込んできます。
光が差すと、明るい「気」が充満してきて、それはなんともいえぬ達成感も感じさせてくれました。
一方で、切り倒した枝や倒木した杉の幹など、どんどん増えていく廃材をどうやって始末したらよいか、気がかりになっていきました。

そんな作業を続けていたある日、近くの大きな広葉樹をぼんやり眺めていたときのことです。
樹木は、地上に見える、幹の高さや枝の広がり同じだけ、実は地下に根を広げているという、昔どこかで聞いた話を思い出しました。
その大きな広葉樹を見ながら、森や林の地中は、地上部と繁茂と同じぐらい、ダイナミックな世界であることが、ありありとイメージとして感じ取れたのです。

全く人の手をかけなくても、森の木々は隆々とと成長を続けています。 それは、目に見える地上部と、深く根を張り巡らせている目に見えない地中部とのダイナミックなエネルギー循環によってもたらされている。

森や林では、毎年、新緑の季節に葉を青々と茂らせ、秋には紅葉した葉が地面に落ちていきます。 燦燦と降り注ぐ太陽エネルギーをたっぷりと浴びて、樹木は、光合成によって膨大な炭素を体内に固定、やがて炭素を固定したその葉は地面に落ち、積み重なり、やがて分解されて土となり、その土がまた植物を育む。

そんな連想から、昔耳にしたことのあった、「炭素循環農法」をネットで検索することに。

調べると、驚きの連続、この農法、農業に革命を起こすかもしれないと感じました。
きっと、まだまだ拙い理解ですがだと思いますが、私の知った炭素循環農法の概略はこうです。

基本的に畑に、籾殻や樹木のチップなど炭素成分の高いものを畑に、かなり多めに投入する。そこに、米ぬかや廃菌床(菌床栽培でキノコを収穫した残ります)なども蒔き軽く混ぜ合わせる。
原則行うことはこれだけ。
米ぬかや廃菌床についているキノコ菌に働きによって、畑にいれた大量の炭素成分を分解してもらう。分解してもらうことで畑はふかふかの土壌に変わっていきます。
この農法のすごいところは、キノコ菌の働きによって一旦いい状態になってしまえば、その後は、木材チップなどの木質材を畑に投入していくだけ。肥料は全く不要で、半永久的に豊かな実りをもたらしてくれるのだそうです。
驚くべきことに、連作障害も全く起きないそうです。例えば、レタスなら、その土地の気候さえが許せば、年3作でも4作でも連作可能。
さらに、虫による食害もなくなっていくそうです。炭素循環農法の解釈では、化学肥料の使いすぎなどで硝酸態窒素成分が過多となるなど、不健康な状態の野菜を人間に替わって食べてくれるのが、実は害虫だそう。つまり、害虫は、決して人間に「害」をもたらしているのではなく、人間にとって食べてはよくないを教えてくれているだけなのです。
もし、この農法が実現できれば、農薬や肥料にかけるお金は不要です。連作障害はなく、かつ年、何作も多作することができるので単位面積あたりの生産性が高まります。また、虫もつかなくなるということは、有機農家さんが大きな労力をかけている、防虫のためのネット張りなども不要になります。そして、土に投入するのは、籾殻、木材チップなど。これらの運搬の手間や費用必要ですが、原則産業廃棄物ですからタダでもらい受けることが可能なものばかりです。
そして、この農法で栽培された野菜は、農薬を用いないので安全なだけでなく、化学肥料の使用によってもたらされている過剰な硝酸態窒素もなく、微量ミネラルなどの栄養成分もたっぷり含まれた野菜になるそうです。
まさに、体を潤し、体を健康に保ち、野菜嫌いの子どもがいなくなる「おいしい」野菜に育つそうです。

お金をかけず、
手間を減らせて、
最高品質の農産物が出来ていく。

これを夢の農法と言わず、何と言ったらいいでしょう。

ままともやファームは、この農法へのチャレンジを開始しています!

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