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大人になれないと、ナマハゲになるぞ

今回の日刊かきあつめテーマは「#成人式」である。

成人式はとうの昔に終わっている。来年には30歳になるのだが、はたして自分は大人と言えるのだろうか。

成人式を迎えたあの頃は、30歳はめちゃくちゃ大人だと思っていた。だけど30歳を目前にしてみれば、成人式を迎えたあの頃と何も変わっていない。体重が少し増えたくらいのもんだ。

自分から意識していかないと、大人になることは永遠にないのかもしれない。もし大人にならず、子供のまま親になってしまったら。きっと社会から弾かれてしまう。


なぜなら、親から子、子からその子へと受け継がれてきた「大人らしさ」が社会を円滑にしているから。

大人らしさとは、仕事をする、お金を稼ぐ、家族を大切にする、社会に貢献する、人を育てる・・・などの子供にはできない、大人にできる行動ともいえる。

成人式を迎えるということは、子供の立場から大人の立場になるということだ。

とはいっても未だに私だって自覚はない。だけど自分から大人になっていかなくてはいけない、と意識した映画が、『泣く子はいねえが』である。

(ここから映画のネタバレがあるので注意!)

主人公のたすく(大賀)は大人にもなりきれず、親にもなりきれない、どこにでもいる青年。地元に迷惑をかけたことがきっかけで妻・ことね(吉岡里帆)は娘のつむぎを連れて出て行ってしまう。

一度は地元から逃げ、東京で新しい生活を始めたものの、やはり妻と子のことが忘れられず、気持ちを入れ替えて地元に戻る決意をするが、そう簡単には認めてもらえず・・・というお話だ。

この映画のキーになるのは「ナマハゲ」である。ナマハゲは神の使いで、大晦日に家庭をまわり、親の言うことを聞かない悪い子をさらう。(ざっくりした解説)


ナマハゲは子供を良い方向に導く役割であり、お祭りは子供から大人になるための儀式でもある。そしてナマハゲにさらわれそうな子供を守ることが親の役割でもある。

ナマハゲ祭りを通じて、子供は大人になり、親になったら子供を守る。その循環からはみ出たところで子供を大人に導くのがナマハゲという存在だ。



物語のラスト、たすくはナマハゲの衣装を着て、再婚したことねのもとに向かう。「泣く子はいねえがああ」と涙声の雄たけびを上げて。

ことねの再婚相手の男は優しいイケメンで、家を見る限りしっかりと稼ぎもありそうだ。発表会のシーンで、ことねに対しても、つむぎに対しても深い愛情を注いでいるのが良くわかる。ことねの再婚相手はしっかりした「大人」だった。

たすくは親になれなかった。社会からもはみ出てしまった。ナマハゲの面を被ってででしか娘に会えない。大切なものを取り戻そうどんなにもがいても、一度失ってしまったら取り戻すことはできない。

成人式をむかえたからといって大人になるわけではない。早く大人にならないと、大切なものを失う可能性がある。

この映画は「大人にならないと、ナマハゲになるぞ」と教えてくれているのではないだろうか。

大人とは何かを考えるきっかけとして、成人式をむかえる人も、大人になりきれていない人にも見てほしい映画である。


編集:らいむ

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