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でも信じてる。

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。今回のテーマは「#最近読んだ漫画」です。

「漫画よりも映画派」でやってきたのだが、ここ最近漫画ばかり読んでいる。
移動時間などスキマ時間に見るのにちょうど良く、つい色々な漫画に手を出してしまう。それに最近は凝ったテーマ、凝った内容の作品が多く、面白さだけでなく気づきをくれることが多い。

先日べみんさんに薦めた『チ。』も正にそう。そして作者である魚豊さんの最新作が先日完結したのでこちらを紹介したい(べみんさん見てる~?こっちもおススメだよ!)

『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』

高卒フリーターで働く主人公が「自分が不幸なのには何か理由があるはずだ」と考えを突き進めた結果、陰謀論にのめり込んでいくラブコメストーリー。読んでる途中には「ラブストーリーなんて嘘だろ・・・」と思ったが、それでもラストは痛く苦しいほどにラブストーリーであった。

主人公は社会的に裕福な方ではなく、言動からもお世辞にも頭が良い方とは言えない。それでも自分の人生に真剣になろうとしていて、そして陰謀論に心酔していく。その過程は何ともリアルで、読んでいて、恥ずかしいような冷笑するような、複雑な気持ちを覚える。(だけど続きが気になって読み進めてしまう。)

つい読み進めてしまうのは、現実の世界でも起こっているのではないかという空気感-行き過ぎた「原因」と「結果」を求める思考、そして自己責任論-を主人公に感じてしまうからだろう。

更にこの漫画は前作の『チ。』を読んでから読むと、なおオモシロイ。
(チ。がどんな漫画かは、べみんさんの記事をご覧ください

『チ。』
→世間が常識だと思っていること(≒天動説)が偽りで、真理を信じて突き進む主人公

『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』
→世間がウソだと思っていること(≒陰謀論)が事実で、常識を疑って突き進む主人公

どちらの主人公も周囲から批判を浴び、理由や原因、論理的に説明をするように求められる。「何故そんなことを言うのか?」と。彼らは「わからない」と言う。「でも信じてる」と。
現代に足りない空気感はこういうことではないだろうか。

そんな『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』は、たった30話で終わる。これは打ち切りとかではなく、作者の魚豊さんが元々決めていたそうだ。

「映画みたいなボリュームの漫画を目指したいなあとは思ってます。」
「単純に映画監督の作品を追っていくと、「同じ監督の作品だけど、テイストが全然違う。だけど、どこか根底には共通したテーマがある」というのが見つかっていく。そういうのに憧れるので、僕も長い1作品を描き続けるよりは、パキッと作品を終わらせて、どんどん新作を描いていきたいという気持ちがあります。」

『チ。』の作者・魚豊氏が生んだカルト的人気の連載デビュー作、『ひゃくえむ。』――『チ。』にも通ずる“作品に込めた想い”を聞く

道理でめちゃくちゃハマるワケだ。漫画は一回読むのに短いが、面白い作品ほど話数が多くなって、映画どころか大河ドラマ並みに長くなる。面白くて丁度良い長さ、そのスタイルもハマった一因だと思う。

さて話か少しそれたが、『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』の主人公が陰謀論にハマっていき、最終的にどうなってしまうのか?
それは是非、本作を読んで確認してほしい。

本当に面白いのかって?
「わからない」
「でも信じてる」

文章:真央
編集:アカ ヨシロウ

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