見出し画像

読書の秋!読むだけじゃもったいない、対話する読書をしよう〜アクティブ・ブック・ダイアログのススメ

本を読むのが好きだ。

「読書とは、著者との対話である」

昔どこかの誰かがそんなことを言っていた。読書を通じて、著者の体験や意見を知り、自分の中で新しい知見を溜めていく。

だから本来、読書はひとりでするものなのだろう。

著者の意見を読み取り、頭の中で著者と対話をしながら思考を巡らせる。静かな部屋で大好きな紅茶でもすすりながら、時間に追われることもなくゆったりと。

しかしひとりで本を読み漁っていても、頭の中に著者以外の誰かがいることがある。

この本が伝えたいことはこの解釈で良いか、彼に聞きたい。これはあの人に教えてあげたい。これはアイツもきっと共感してくれるだろうな、とか。

読書をしているのに、ここに居ない誰かの事を考えてしまう。気がつくと、読書の経験を自分の中に溜めることではなく、誰にどう伝えるか、ということばかり考えてしまう。

そんな僕のような、「読書は誰かと共有したい人」にオススメな読書方法が「アクティブ・ブック・ダイアログ」である。

アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)とは?
アクティブ・ブック・ダイアローグ®は、読書が苦手な人も、本が大好きな人も、短時間で読みたい本を読むことができる全く新しい読書手法です。
1冊の本を分担して読んでまとめる、発表・共有化する、気づきを深める対話をするというプロセスを通して、著者の伝えようとすることを深く理解でき、能動的な気づきや学びが得られます。
またグループでの読書と対話によって、一人一人の能動的な読書体験を掛け合わせることで学びはさらに深まり、新たな関係性が育まれてくる可能性も広がります。
公式HPより)

アクティブ・ブック・ダイアログに取り組めば、本を読むという「ひとりごと」から、本を話すという「みんなごと」に変えられる。

アクティブ・ブック・ダイアログのやり方

詳しくは公式HPに掲載があるので、ここでは僕たちのやり方をざっくりと説明する。(友人とやっている方法は、公式を元にアレンジしたもの)

1.本を選ぶ
なるべく、専門知識がなくても読み進められる本を選ぶ。参加者全員が同じくらいの知識しかない本を選んだ方が、その後の対話が盛り上がりやすい。

またページ数にも注意する。参加人数に対してページ数が多すぎると、読むことに時間がとられてしまい、対話の時間がなくなる。

ちなみに、過去実施した中で一番盛り上がったのは、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』だった。

新書なので読みやすく、章立てもわかりやすいのでパートを決めやすい。内容を読み解くのに専門知識も不要で、全員が興味を持てる内容だった。

2.本を持って集まる
本を用意して、実施場所を決めて集合する。当日集合して読み始めるまで、一切中身を読む必要はない。

場所は、静かだけど話が盛り上がっても不自然にならない所がおすすめだ。最初はカフェで実施をしていたのだけど、先日最高に良い場所を見つけてしまった。

大学である。

大学は適度に静かで、適度に騒いでも問題ない。しかも、全員が同じ本をもって議論している、ってめちゃめちゃ意識高い学生っぽくないだろうか?(もう今年で27歳)

この前お邪魔した大学は、たまたまオープンキャンパスを実施していて、構内が保護者から高校生までたくさんの人で溢れかえっており、全く静かではなかった。

しかし賑やかな大学に怯むことなく、学食の片隅で僕らは同じ本を片手に読んでは対話をする、ということを6時間くらい続けていた。

隣でお昼ご飯を食べていた保護者&高校生も、夏休みにこんな学生がいるなんて、さぞ勉強熱心で向上心の高い大学だと感心したことだろう。
あんな先輩たちみたいになりたい!と帰り道に親子で会話していたかもしれない。

縁もゆかりもない大学だが、利用させていただいた恩返しくらいは出来ただろうか。

話が大分逸れたが、大学で実施するのはおススメ!

3.パート決めをする
集まったらまず目次を見ながら、各自が読むパートを決める。

ページ数を参加人数で割って、機械的に割り当てても良いし、章が多い場合には、各章毎にパートを決めて、章毎に1パートはあるように割り振っても良い。

4.読む
パートがきまったら、時間制限を設定して読む。

ただ読むだけでなく、後ほど要約を発表しなくてはいけないので、メモをとったりしながら読み進めるのがおすすめ。

時間制限を設定するのがミソで、制限を設けることで読書スピードはあがる。本の要所を掴みながら、斜め読みする力が磨かれるからだ。

また適宜、目次と照らし合せながら読み進めると、自分の読んでいるパートが本全体のどのような役割をしているかが分かるので、より理解度が高まる。

5.自パートの要約をシェアする
読んだパートに、どのようなことが書かれていたのかを要約してシェアする。

ここでは自分の解釈は入れずに、書いてあることをそのまま伝える。分からない言葉もそのまま伝えることで、他の人のパートに関連して理解が深まることがあるため、理解できていない状態でもシェアするのが良いだろう。

また他の人のシェアを聞いて、分からないことがあれば質問する。質問をすることで、話し手が見逃していた部分に気がつくことが出来て、誤読を避けることができる。

6.本の内容を元に対話する
本の内容をシェアしたら、お待ちかね(?)の対話タイムである。話のはじめは、疑問から入ると対話が盛り上がりやすい。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の時は、「美意識って結局なに?」「なぜこれから必要なの?」など、本のテーマに対する疑問を考えることで盛り上がった。


読み進める時のコツ

・要点を掴みながら読む
アクティブ・ブック・ダイアログでは、本の要約を発表するため、制限時間内で要領よく要点を掴むことが大切である。

何度も繰り返しているうちに自然とコツは掴めるが、
・「はじめに」だけはじっくり読む
・見出しや太字は理解しながら読む
・例示は読み飛ばす
の3点に気をつけるだけで、8割くらいは理解できると思う。

・知識を補いながら読む
本を読んでいると、知識があることを前提として話が展開されることがある。そんな時は、その場にいる人に聞くのが良い。

もしひとりで読んでいたら注釈を探したり、ググったり、分からないまま読み進めないといけないが、同じ本を読んでいる人がいるので教えてもらいやすい。
みんなで同じ本を読んでいるメリットは、最大限に活かそう。

読むだけじゃもったいない、対話して分かる本の魅力

僕らが行なっているアクティブ・ブック・ダイアログでは、1回に読む量は50ページくらいだ。しかしその量で、本一冊の内容が理解できる。

しかも「読む」ではなく「対話」にすることで、自分ひとりでは気がつけなかった気づきや考えを発見することもある。読んで終わりにならず、その場でアウトプットするので知識も残りやすい。

もちろん、ひとりで本を読むことも良い。今でも、アクティブ・ブック・ダイアログで読んでいる本よりも、ひとりで読んでいる本の方が圧倒的に多い。


それでも、「本で対話する」体験はおすすめしたい。本を媒介にして「誰かと話す」ことで、本の新しい面白さに気がつくことができる。

それは、「本を読む」ことが受動的にインプットする姿勢なのに対し、「本を話す」ことは能動的なアウトプットする姿勢になるからだろう。

ひとりで読んでいる時には気がつかなかった、本そのものの魅力に気がつくことができる。


この秋は、ぜひ友人や知人と「アクティブ・ブック・ダイアログ」に取り組まれてはいかがだろうか。

#日刊かきあつめ #秋といえば #本 #読書 #やり方 #対話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?