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会わなくても済むこの時代に

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#今年を漢字一文字で」です。

今年1年を振り返るとトピックは山のようにある。その中でも一番大きいのは「大学院に入学した」ことだ。

さすがに大学院に通いだすと生活がガラリと変わった。とりわけ、仕事をする時間が短くなったことと、明け方まで酒を飲むことが減ったので、身体的に健康になった(と思う)。

今年から大学院に行くことにして良かった。昨年まではコロナの影響もありオンラインでの授業が多かったらしい。もちろん、そのおかげで今もオンラインで授業を受けることもできるのだが、やはり直接会って授業を受ける方が圧倒的に良い。

自粛が解禁されて、ようやく平穏な暮らしが戻りつつある2023年。とはいえ、以前と同じような状況に戻っているとも思わない。
会えない間に、会わなくても良いことは会わない、と出来るようになった。顔だけではなく、心にもマスクをしている人が多くなった。見えていなから複雑性は増していき、複雑さに耐えきれなくなったコトから、分断が起きているのではないか。

会わなくても成立する世の中で、もう一度ちゃんと会おう。『愛にイナズマ』はそんな映画だと思う。

(あらすじ)
26 歳の折村花⼦(松岡茉優)は、自分の家族を題材にした企画が注目され、幼い頃からの夢だった映画監督デビューが⽬前に控えていた。しかし無責任なプロデューサーに騙され、ギャラも貰えず、⼤切な企画も奪われ、花⼦は全てを失ってしまう。
失意の中、バーで知り合った空気は全く読めないが魅⼒的な舘正夫(窪⽥正孝)は問いかける。
「夢をあきらめるんですか」
「そんなワケないでしょ。負けませんよ、私は」
静かに怒りを滾らせ闘うこと誓った花⼦が頼ったのは、10年以上⾳信不通だった家族―“どうしようもない⽗(佐藤浩市)と兄たち(池松壮亮・若葉⻯也)”だった。

ストーリーはもちろん、豪華俳優陣の小気味良い掛け合いと、時代のブラックユーモアが沢山あって面白い。
この映画の石井裕也監督のコメントがまた良い。

コロナ禍になって3年、私たちはずっとマスクという仮面を被って生きてきました。
それが当たり前の世界だったのです。程度の差があったとしても、みんな本音や嘘をいくつもいくつも仮面の下に隠していたと思います。
それをひとつひとつひっぺがして、人が隠し持っている本当のものを見つめていくような、そんな映画を作りたいと思いました。
コロナ禍を経験したからこそ作れた、愛と希望に満ち溢れた映画になったと思います。
超豪華な俳優たちが時にマスクをし、時に素顔で、全篇いきいきと最高の芝居をしています。特に家族がみんなで集まるシーンは、一流の俳優たちの凄みに圧倒され、撮りながら笑い転げ、本当に幸せでした。

公式HPより

家族と会う。友人と会う。新しい人たちと会う。会わなくても済むことが多いこの時代にあえて会うことは、その人の本質を引き出して、さらには自分の本音も引き出してくれる。どれだけ情報技術が発達しても、そのことだけは変わらないのではないだろうか。

自分にとっての今年の漢字は「会」。ようやく色々な人たちに気兼ねなく会えるようになった。来年はどんな人たちに「会」えるだろうか。

それでは今夜も忘年「会」に行ってきます。

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