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良い荷を肩に背負って歩く

寒い春が続く。
寒がりな私はまだ朝にはヒーターをつけて、毛布にくるまりながら着替える。

学生時代お世話になった先生から、一年ぶりのメールが届いた。
私は先生を、教授と呼ばずに先生と呼ぶほど慕っている。
先生の穏やかなやさしさは相変わらずで、キンキンの氷にぬるいジュースを注ぐように、ピリつく平日を潤してくれた。

先生は私が卒業したあと、私の通う関西の大学から関東の大学に移って、先生を続けているそうだ。
彼女が移り住んだという茅ヶ崎の写真は美しかった。
私は茅ヶ崎の読み方を最近まで知らず、ずっと「めがさき」と読んでいた、という話を友人としたことを思い出した。

先生はどんな時に私のことを思い出してくれるのだろうか。
そんなふうに、誰かが私のことを考える時を想像することがある。

生きていくときに、私の尊敬する人に恥じない生き方をしているか、時たま自分に問う。
正直、今も自信はない。これからもしばらく自信はつかないだろう。
全然足はふらつくし、口にする言葉もあいまいで、行先もまだまだ定まらない。
けれど、昔よりかは誇れる自分に近づけている気がする。
歩くたびに、色んな汚れを拾っては、風で流していく。
どんどん走って、色んなものを吹き飛ばして、透明になっていって、
そして、「なんだか気持ち良いね」って、その人々に思ってもらえる私でありたい。

春の海に行きたい。
凍えて丸めていた背中を思いきり伸ばして深呼吸したい。
穏やかな愛を浴びながら、少しずつ濁ってきた目をもう一度洗いたい。

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