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チャクラ農法カカオによるCO2削減効果について

エクアドルアマゾンのチャクラ農法では1ha(100m×100m)あたりの炭素貯蓄量が206トン(WINAK組合の場合)で、カカオ単一栽培の農園では1haあたりの炭素貯蓄量が85トン。2.4倍の炭素(C)を貯留しているということになる。この炭素貯蓄量は、土壌、落ち葉、根っこ、地上の植物の合計である。

1haあたりのアリバカカオの収穫量は、WINAK組合が317kg、単一栽培の農園が839kgとすると、2.6倍程度の収穫量の差がある。チャクラ農法では、カカオ以外にも数十から100以上の作物を同時に育てることで、伝統に根付いた多様な目的が果たせるようになっている。販売用ではカカオ以外にプラタノ、グアユサ茶、ユカなどがあり、自給自足用の食料、医療用の植物、木材、工芸品、儀式など多用途が小さなチャクラ農園の中で充足できるようになっている。多様性に富むオーガニックのチャクラ農園は、その分カカオの収穫量は単一栽培のカカオ農園と比べて低くなる。

炭素と二酸化炭素の循環は常に行われていて、チャクラ農園の炭素貯蓄量206トンという数字は、過去の累積の炭素貯蓄量である。近くの熱帯雨林の炭素貯蓄量が1haあたり334トンとされている。
カカオやチョコレートを選ぶ時には、チャクラ農園(伝統的なアグロフォレストリー)、単一栽培カカオなど農法によって、二酸化炭素削減量が大きく変わるのだ。
炭素1単位は二酸化炭素に変換すると3.67となる。気候変動の主要因である二酸化炭素に数字を置き換えると、チャクラ農法では1haあたり759トン相当のCO2が放出されずに蓄えているとも言える。カカオの単一栽培だと312トン相当のCO2だ。
チャクラ農法は、単一栽培カカオと比べると1haあたり447トン分(759-312)の二酸化炭素削減に貢献したと言える。チャクラ農園(伝統的なアグロフォレストリ)カカオを購入することで、エクアドルアマゾンの農家が単一栽培よりもチャクラ農法を選ぶ動機に繋がり、気候変動に対してもポジティブな影響が広がっていくことになる。

447トンのCO2削減はどの程度の貢献になるのかというと、日本人一人当たりの二酸化炭素排出量を1780kgとすると251人分の年間の排出量に相当する。
WINAK組合や、チャクラ農園の年間の二酸化炭素吸収・炭素貯蓄量に関して
はまだ研究データがないためこれからの課題である。

雑な計算ではあるが、カカオの収穫量と炭素貯蓄量を考慮すると、チャクラ農園のカカオは単一栽培カカオに比べてカカオ1kgあたりで見れば約6.5倍の炭素貯留に貢献しているとも言えるかもしれない。

(Oswaldo Jadán,2015)
「Influence of tree cover on diversity, carbon sequestration and productivity of cocoa systems in the Ecuadorian Amazon」, BOIS & FORETS DES TROPIQUES, December 2015.
(Bolier Torres,2022)
「Estudios sobre medios de vida, sostenibilidad y captura de carbono en el sistema agroforestal Chakra con cacao en comunidades de pueblos originarios de la provincia de Napo: casos de las asociaciones Kallari,Wiñak y Tsatsayaku, Amazonía Ecuatoriana」
(Jadán,2012)
Influencia del uso de la tierra sobre almacenamiento de carbono en sistemas productivos y bosque primario en Napo, Reserva de Biosfera Sumaco, Ecuador. Revista Amazónica

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