【美術】横浜で現代アート トライアローグレポ

今日は美術展についての記録です。

概要

表題 トライアローグ 横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション
場所 横浜美術館(後日、愛知と富山へも巡回予定)
会期 11月14日から2月28日まで

公立美術館3館の「トライアローグ」(3者の対話)によって生まれた、20世紀の西洋美術の展覧会です。

意外に見ていなかった20世紀美術

20世紀ということで、いわゆる「現代アート」をたっぷり堪能できる、ボリューム大な展覧会です。ピカソ、ブラック、マティスなんかはこれまで見る機会がちょくちょくありましたが、ウォーホルのマリリン・モンローなんかは、もちろん存在は知っていたものの、現物にお目にかかるのは初めてでした。自分は、現代アート、よくわからないなあ…と思っていながら、そもそも見ていなかったことに気付きました。
この展覧会で、少しは20世紀の西洋美術について引き出しを増やせたかなと思います。

なんだか疲れた(いい意味で)

この美術展を見終わった後に、なんか疲れたなあ…と思いました。

ボリュームがすごかったのも一因ですが、現代美術ってこちらに思考を促してくるからかもしれない、等と考えました。

例えばギリシャ彫刻を見て「何これ」と思う人はいないと思います。明らかに、女神など、何を表現しているかがはっきりしています。感心するポイント(例えば、よくこんなに精巧に作れるなあ、等)も、ほとんどの人がすぐに見つけることができます。

上手だなあ。
綺麗だなあ。

自分の中での落としどころが見つけやすいのです。

ですがこの展覧会で見た作品たちは、一目見ただけでは何なのかわからないものもあるし、技術的には自分でも再現可能じゃないか?と思わせる作品も多数あります。

例えば、キャンバスに穴をあけたり、キャンバスを切り裂いたりして「空間」を表現したルーチョ・フォンタナさん。

キャンバスに穴を開ける、切り裂くなどは、技術的には私でも、私の娘でもできます。たぶん、ほとんどの人はできます。なので、

え、穴の開いた布が飾られてるだけ・・・何が「芸術」なの?

と、パッと見ただけでは思ってしまいます。

なぜこの「誰にでも作れるモノ」に価値があるか。

その「誰にでも作れるモノ」を「芸術」だ、と見つけたこと自体が価値あることなんだ!

と、この美術展で大量の「誰にでも作れる」作品に接する中で、実感することができました。

なので、作品=誰にでも作れるモノを見ただけでは、美しいとも上手いとも思えない場合が多いです。

すると、自分の中での落としどころ、この作品について自分はどういう気持ちを持てばいいか、どういうものとして、自分の頭の中にしまえばよいか、が、一見しただけではわかりません。

解説を読んだりしてやっと、「ああ、この人はこういうことを表現したくて、この目の前の作品を手掛けたんだな」と理解できます。

もちろん、一見して色彩が美しかったり、アイデアがわかるものもあるのですが、そのように、表現者の意図をくみ取ったり探ったり、理解したりという作業がいちいち必要なので、良く言えば刺激的、悪く言えば見ていて疲れる展覧会だと感じました。

初、マリリン

今回、アンディ・ウォーホルの「マリリン」を初めて見ました。教科書などではよく見ていたこのアートですが、これは実物を見て初めて魅力がわかる作品かもしれないと思いました。

広い空間に、そこそこの大きさ(図録によると92cm四方)の、様々な色で印刷されたマリリンが8枚、バンと飾ってあるのは、なかなかの迫力です。

教科書の中で平面的に印刷された作品を見るのと、空間に展示された作品として見るのとでは、印象がずいぶん異なりました。派手な色で、同じモチーフの絵が8枚並んで展示されていると、強烈に視覚に飛び込んで、訴えかけてきます。ウォーホルさんは、この目に飛び込んでくる感じを表現したかったのかな?等と思いながら、楽しく鑑賞しました。

また、8枚並びで見ることで、1枚1枚の配色にも目がいきました。
実物に近い配色のもの、白黒っぽいもの、肌が赤だったり現実的でないもの・・・これらの配色も、おそらく熟慮されているんだろうなあ…等と推測しながら鑑賞しました。

このマリリンも、「有名人の写真に色をつけただけ」なので、技術的には私にも作れます。
が、これを芸術として観客に提示したことが価値なのですよね。現代美術はいってみれば「アイデア勝負」なんだなあ等と、今更過ぎる感想を抱きました。

図録がすごい

今回は復習が必要だ!と感じ、図録を購入しました。

この図録が素晴らしいです。本のようになっていて、作品全ての丁寧な解説がついている、図録というよりもはや読み物のようなクオリティです。これを読めば、現代アートについてさらに詳しくなれそうだと思い、少しずつ読んでいます。
 
 また、買ってから気付きましたが、最近読んでいる美術マンガ『ブルーピリオド』の番外編も入っていて、美術好きのツボを押さえた構成だなあと嬉しくなりました。

まとめ

現代美術をたっぷりすぎるくらい堪能できる、素晴らしい展覧会です。現代美術好きはもちろん、なんか敷居が高いなあと思っている方にも、一度行ってみてほしいです。本当に様々な作品があるので、1つ2つはいいなと思うものが見つかるはずです。

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