【美術】ミレーから印象派の流れ展
もうしばらくはなかなか出かけられませんが、美術展レポートです。
概要
標題 ミレーから印象派の流れ展
場所 そごう美術館
会期 2020.12.19-2021.1.24
作品は豊富
標題に違わず、
・ミレーをはじめとした写実主義
・印象派前夜(ヨンキント、ブーダン等)
・印象派(モネ、ルノワール等)
の「ミレー~印象派」展示もありましたが、興味深かったのが、さらにその後の芸術家たち、具体的には
・セリュジエ(ナビ派創始者のひとり)
・シダネル(アンティミスト)
なんかの作品展示もされていたことです。時代的には割と幅広く見られました。
学び1 ヨハン・ヨンキント
ヨンキントという芸術家、全く記憶になかったのですが、あの超有名なモネが師と仰いだ方とのことです。
同じくモネの師と言われるウジェーヌ・ブーダンは前から好きで、発見すると嬉しいくらいなのですが、ヨンキント氏は今回の展示で覚えました。
確かにモネに影響を与えていそうな、自然光をたっぷり取り込んだ作風で素敵でした。
静岡県立美術館のリンクに彼の解説が載っていたので、リンクを貼っておきます。
http://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/_archive/collection/item/O_93_863_J.html
学び2 ルミニズム
展示の中で、エミール・クラウスの「リス川にかかる霧」という絵が気になりました。帰って調べると「ルミニズム」なる聞きなれない単語が。
wikipediaで調べたところによると、次のような特徴がある作家、作品だそうです。
・1850年代から1870年代のアメリカ絵画の様式
・光や大気の微妙なニュアンスを意識して描いた風景画
・「空気遠近法」や筆触を残さない滑らかな光の効果を利用した画法
・概して動きのない静かな情景であり、水平線が強調され、滑らかな光に包まれていることが多い
・ルミニズムは、光の効果を強調するという点では印象派と共通
・ルミニズムは、対象を詳細に描くが筆触を残さない手法をとるが、印象派では、対象の詳細の欠如と筆跡を重視することを特徴としている点で二つのスタイルは著しく異なっている
印象派や、遡ってターナーの風景画とも似ているような作風だけど、もっと明るい雰囲気でした。
印象派登場以前、1850年代には存在していたルミニズム。
印象派の活動が当時の芸術の都・パリで花開いたから注目されがちですが、イギリスのターナー、アメリカのルミニストのように、印象派っぽい作風は、実は他の国でも同じような時期に登場していたんだなと思いました。
肝心のミレーは?
タイトルにもなっているミレーの作品もいくつか展示がありました。でも、いわゆるミレーっぽい、暖かみのある落ち着いた作品は少なかったかなと感じます。
広告にでかでかと載っている、このnoteのアイキャッチ画像でもある作品「冬、薪集め」は、表情がほとんど読み取れないし、輪郭線が見られるところはむしろちょっとゴーギャンぽいようにも見えました。色もかなり暗めで不穏な感じです。
でもミレーっぽい絵がないからつまらないというのではなく、モーゼに見せかけた自画像なんか展示されていて、当たり前だけどミレーも自画像を書くんだなと思うなどしました。
いわゆるミレーっぽい作品、実物はないかわりに、「種まく人」「落穂拾い」等の代表作が等身大パネルで展示されていました。
ずいぶん前に国立新美術館で拝見した「晩鐘」という作品もあって、あぁこの本物をお目にかかれたのは本当にありがたいことだったんだな、と思いだし感慨深かったです。
ミレーの作品は落ち着きとあたたかみがあって、見ていると心が和みます。日本では人気のある画家だそうで、山梨県立美術館にミレーの作品がたくさんあるとか。行ってみたいです。もっというと、子育てが落ち着いたらパリで美術に浸かる旅行がしたいです。
建築の重要性
今回、ある意味で展示以上の発見は、建築が気分に与える影響の大きさでした。
この展示をみるために初めてそごう美術館に行ったのですが、端的に言うと、美術館そのものにはテンションが上がらない感じでした。どんな感じかと言うと...
そごう6階の売り場の端に突如出現し、ロゴもロッカーも特に工夫はなく、美術館の構えだけをみると区立美術館のようでした。
お店の並びにあるので、なんというか、美術館独特の非日常観がありませんでした。
最近、サントリー美術館や三菱一号館美術館など、建築が素敵な美術館を訪れる機会が多かったので、特に物足りなさを感じたのかもしれません。
展示は悪くない、むしろ良かったので、俗な表現を使うともっと「稼げる」美術館になれると思うのですが...。
これまで建築とか内装とかそこまで注意を払ってなかったのですが、それらがお客さんの気分に与える影響って大きいのだなぁと改めて思いました。
まとめ
いわゆるミレー目当てで行くとちょっと違うかなと思います。でもミレー、印象派以外も幅広く作品を見られておすすめです。
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