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ただ 今を生きる

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シルバー 鋭い眼光 親分肌 しかし 人に慣れる猫だった

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オリバー 美しい顔立ち 警戒心が強かったが いつも傍にいた

オリバーとシルバー
どちらも 捨て猫
拾われた場所も時も違う
拾われた時は
飼い主も住む場所も違った
しかし
ひょんなことから 
ほぼ 毎日 共に過ごし
一緒に散歩をしたりしていた
二匹は 家族だった

シルバーの方がちょっと年下の男の子
人に慣れていた
まだ、生後数か月の時、シルバーは、
姪のよく遊ぶ公園のそばに住む 
小さい女の子に拾われたが
なぜか、その子に拾われた猫は 
きちんとは飼われることがないのか、すぐに死んでしまう。。。
それに気づいた姪が ある日 自分の家で
シルバーと名付け、飼い始めた。

シルバーは人慣れした、優しい猫だったが
なわばりを守る意識が強い猫だった。
なので、よくケンカをした。

一年に一度は大きな怪我をした
15歳の時、目を負傷した。
眼球が破裂した。
目玉をえぐり取らなければならないと
獣医から言われたが
その獣医は眼科が専門であった。
手術をすれば、もしかしたら大丈夫かもしれない、と言われ
手術を受けた。

手術は成功した。
猫の15歳といえば、人間にしてみれば後期高齢者だ。
退院してから、穏やかなを日々を過ごしていた。

秋の陽だまりの中でうとうとしている猫を見ながら
思った。
猫は 今を生きることの 達猫だと

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ただ 今を 生きている

左目を 負傷した 猫は
自分の左目に 刃を向けた 猫のことなど
みじんも 考えていない様子

後悔もせず 反省もせず
ただ 今を 生きている

むしむし くらくら する この炎天下
すずしい顔をして 体を伸ばし 
風に吹かれている

野の花も 空の鳥も 皆
美しく 清々しいのは
ただ 今を 生きているから

わたしも ただ 今を 生きていれば いいものを
過去に 戻ろうと したり
未来に 先走ろうと したりして
どうにも ただ 今を 生きることが

つまらなくて
息苦しくして
わからなくて

出来ないのです。

                        7/7/11 0:38a.m.

シルバーは その後 また 喧嘩をして けがをした。
背中を噛まれて 大きな水膨れが 出来た。
それが シルバーの最後の怪我だった。

シルバーの最後とオリバーの最後
死んだ場所と時と原因は違った
しかし
どちらもの最後の時も
今を生きる こと
今に死ぬ こと とは 何かを教えてくれた。

私が生まれてから ずっと 傍に 猫との生と死があった。
私は猫の助産師であり 助死師でもあった。
猫は私の助産猫であり 助死師でもある。

助産師 助死師(私的造語)とは
命が 生き生きと 生まれる時に 
命が 生き生きと 死に行く時に
寄り添い
見守り
共に 息を合わせる 存在。。。

雨が降り 気温が下がると 私は おセンチになり
台所の哲学者になるようだ。。。

10/19/2020

#猫 #今を生きる #詩 #寄り添う #台所の哲学者




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