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やっぱり愛がある人の仕事は違う

セレクトショップに努めているときは、もうファッション熱がひどいというか、仕事に対して鼻息の荒い時期でもあった。自分で言うのもなんだけどものすごい頑張っちゃっていた。何がどうなるわけでもなかったけど、「自己実現」っていう言葉が好きだった、今から、16年前くらいの話・・・

びっくりwあれ~そんなになるんだ、子供が中学校卒業しちゃうくらいまで育っている期間とは。まぁそんな昔の話なんだけど。

正直に言って、その時のわたしほどお店を愛し、ファッションについてオタクのてっぺんにいた人間はいまい。と言ってみる。

毎日情報を仕入れて、それをお客さんと共有してまた情報を仕入れて、休みの日にはリサーチもかねていろいろな話題のお店に行った。ショップがクローズした後に試着室を借りて世界の一流ブランドに袖を通して着心地を確認する。そうやって社販で購入するのは新作だが、次々に購入してはお昼は豆乳一本だけ。これ全てファッション系のセレクトショップでの話である。

私が勤めていたのは、知る人ぞ知るというマニアックなショップだったけど、業界では有名でめちゃくちゃかっこいいことをやっていた。それはなにかというと、「売れること」に傾倒していなかったのである。媚びないことこそがオトナの洗練されたファッションだった。そして一着20万だか30万だかのジャケットは、わたしのようなオタクの説得でお客様のお手元へと渡るのである。※正直そんなには売れないけど。

ファッション業界はとても華やかでキラキラしていてあたかもモテ系が主流かと思われるであろうが、本当にファッションを愛しているのは私たちのような媚びない笑わない、非モテのグループであったと思う。そこで気づいていたことがある。


愛がある人の仕事は違うなということだ。


セレクトショップでは、主に年に二回の展示会で春夏・秋冬と仕入れをする。取り扱いブランド、というのはお店のイメージを決める大事なラインナップなのでどても慎重に行い、かつ取り扱いブランドの全コレクションを買い占めるわけにもいかないので、ショップのシーズン予算に応じてそれぞれのメーカーによっての仕入れの割合を決めるのである。


例えば、メインのAブランドに関しては予算○○○円大きくとる
Bブランドに対しては、先シーズンの調子が振るわなかったから様子見で予算○○○円と少な目

という風に、ひとつのブランドの仕入れにかけられる金額は変わってくる。洋服などのアイテム一点一点がその中での貴重なセレクトなのである。

ショップの仕入れに関しては、【バイヤー】が担当することになっているものだが、小さなショップゆえに社長とオーナー(夫婦)がバイヤーも兼ね、海外での買い付けを行っていた。

オーナーのほうが女性で、業界でファンが多く、彼女目当てでのお客様はもちろんスタイリストさんや編集部とのつながりが深かった。ご自身のもつカリスマ性というのもあったとおもうが、人に対する愛情がものすごい深かった。オーナー人気はそこから来ていたと思う。

これはシーズンのコレクションのセレクトにもものすごく表れていた。限られた予算の中で、お客様の傾向も含めてだが「そのブランドらしい」セレクトをピックするのである。これはブランド=メゾン側から言うと本当にうれしいことなんである。

自分たちののコンセプトや傾向を組んでくれて、モノづくりに対して理解してくれてるなっていう愛情が感じられると、正直お取引金額が少なかろうがなんだろうが、大事にしたいお客様になるのではないだろうか。

こうして愛情ベースのセレクトがされたショップで、おのずとわたしたちショップスタッフも、メゾン側の意向を汲んで接客するようになった。訪れるお客様は、世界の一流ブランドのコレクションの縮図がそこで見れた。わたしたちショップスタッフが意気揚々と洋服の持つ世界観についてお話しする。きっとアミューズメントパークにいるような感覚で楽しんでいただけたのではないだろうかw

バー○ーズニューヨークなどの大手セレクトショップとラインナップが被ることもあったが、普通ならお客様をとられてしまうかもしれない不安というのは付き物なのかもしれないけど、ほんとうにバーニー○のセレクトは愛がなかった。だから、負けねぇ、とおもっていたし、たぶん負けてなかった。

ここでかみ砕いて説明してみると、大手のバイヤ―さんは組織に組み込まれた中で仕入れた商品が売れる・売れない、の責任を負っている。メゾンの意向を汲むよりも大事なことは、商品が売れ残らないことである。なのでそういう意味で自分本位のセレクトとなってしまうのだと。そんなのお客様からしてもつまんないだろうなぁ。

もっとかみ砕くと、自分本位とはいったがお店のお客様が好みそうなものに忠実なのだということだ。それが、商品を売れ残さないこと。お客様目線は大事だけどでは何故このブランドを扱っているのか?売れるブランドだけ扱ってればいいじゃん。せっかく大手で、予算もたくさんもらってバイヤーしてんのに、チンケな仕事してんなと思っていた。(当時の若造が生意気でスミマセン~)売れる売れないは、マーケテイングや販売チームが考えることだ。

※大人の事情でうまくいかないこともあるのは大人になって分かったw

こうやって、そのブランドを愛してセレクトしているかどうか・・・愛情をもってメゾンとお取引しているかは必ず伝わり、いい連鎖を生み出すものなのである。東京のファッションのどまんなかに携わっていたい!と飛び込んだこの小さなショップで、ほんとうに仕事をするうえで大事なことを教えてもらった。

いま、フリーランスでたくさんの方とお仕事のお取引をさせていただく機会があるけれど、ほんとうにこの人とのお仕事やりやすい!と感じるひとは、やっぱり愛情ベースなんである。こちらの意向を汲んでくれて、理解してくれているのがありがたい。寄り添うって本当に大事だ。末永く磨き合っていこうぜ、という気持ちになる。

逆に何か物足りなさを感じるのは、このひとたぶん手狭でやってそうだなと感じたり、言いたいことが伝わらないのはお互いにとってストレスで、共通言語が足りないのだ。それにはここに愛情という二文字があれば解決するのだとおもっている。

16年まえに得たこの感覚が、やっぱり本物だったとかんじるのである。


著・ふじなわまどか

日本ギフトアレンジメント協会公式ホームページ

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