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父の墓参り

昨年末、10年ぶりに父の墓参りに行った。
そのときのことは、saitaで連載中のコラムに書いたことがあるので、よかったらぜひ。

コラムには書かなかったけど、昨年の秋頃から父の気配というか、存在を感じることがあった。

私が普段、身体のメンテナンスに通うサロンのセラピスト道子さんは、体に触れると、その人の体からメッセージを受け取ることができる。
あるとき、背中の施術を受けていると、頭の中にまた父が現れた。

「あ、まただ」
と思っていると、道子さんが施術をしながら、
「お父さん……かな? 男の人を感じる」と言った。

す、すごい! 道子さんの能力はわかっているけど、やはりこうはっきりとその力を見聞きすると、やはり、「すごい」と驚く。
私は、最近父のことを感じるということを話した。
「何か伝えたいことがあるのかな? 何を言いたいのかわかる?」
道子さんは、「そこまではわからないんだけど、何か煙を感じるんだよね。お線香なのかな? ん~……、キャンドルかな? 何か火をつけてるイメージと煙のイメージがくるんだけど」と話してくれた。

その後、年末の帰省時に、夫が誘ってくれたこともあり、10年ぶりに父の墓まりへ。
なんとなく、心の中で父に話しかけてみたものの、まだ父に対しての気持ちの壁は高いままだった。

霊視の先生からの言葉

お墓参りをして、年が明けても、まだなんとなく父の存在がある。

「自分ではわからないから、宜保愛子さんのような人に、「お父さまが後ろでこう言っていますよ」とか教えてほしい」

なんて話していたら、そういう能力がある方を紹介してもらえることになった。

なかなか予約が取れないというその先生の予約が取れたのが2月の頭。
2月の中旬にその先生の鑑定を受けた。

父の話ではなく、私のこれからについて、私の後ろでどーん! と私を守る祖母の話。
その先生は、一方的に伝えたいことを話してくれる。

ふと、話しが途切れたタイミングで意を決して聞いてみた。
「あの……。私、ずっと父の存在を感じるんですけど」

そう話すと、先生が一気に話し出した。

「あなたを守っているのは、母方のご先祖さまが多いので、お父さまは肩身が狭そうに影のほうからあなたを見守っています。何か伝えるなんて、そんなえらそうなことを言える立場にない。俺は嫌われているからとおっしゃっています。ただ、俺のようにはならないでと。ネガティブな発信が多いですね。すごく不器用で真面目な方だったみたいです。あの……。お父さまはたばこを吸われていましたよね? たばこを吸っているときが唯一リラックスできた時間だったようです。なので、もしあなたがお父さまに心を開いて受け止めるという気持ちになれるなら、たばこを供えてあげてください。火をつけなくてもいいですが、煙がほしいみたいなので、もしよかったら火をつけてあげてください」

煙!!!!
道子さんが言っていたのはこれだったのか!!

いろいろとリンクして、驚きの連続。
父の情報は一切伝えていない。というか、私自身、父の情報はそんなに持っていない。
でも、私がわずかに知る父の情報と一致するものがたくさんあった。

それから半年が経ち、夏休みの帰省をしたタイミングで再び父の墓参りに訪れた。
今回は、娘と2人きりで。

駐車場からお墓まで歩くだけで汗だくになるほど暑い日。

「ママのお父さんのお墓参りにいこうか」と言うと、娘は、「いいよ!」と言ってお花を持ってどんどん前を進んでいく。

父のお墓の前に行き、なんとなく照れくさいような気持ちでいたら、娘が
「おじーちゃん、きたよー」と言って、お墓のまわりの草を抜いたり、お墓の上にのっている枯葉をよけたりした。

「私の娘で、あなたの孫です。すごく良い子だよ」

心の中で父に語りかける。

お花とお線香を供えて、小さなビールを開ける。
そして、父が吸っていたと記憶しているたばこに火をつけた。

線香より、たばこの煙がふわーっと広がった。

喜んでくれたかな。
私、もうあなたのこと嫌いでも恨んでもいないよ。

そんな言葉を心の中で伝えながら、娘と汗だくになりながらお墓参りを終えた。

私の人生で、初めて父と向き合って話せた瞬間だったかもしれない。

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