パパじゃなくてお兄ちゃんと呼んで

ある人に、二人でいる時は時はお兄ちゃんと呼んでほしい、と頼まれたことがある。
白髪もあってお兄ちゃんっていう年でもないけどな……と思いながらも、呼んだら喜んでくれるし、わたしはそのためにいるので、とりあえずお兄ちゃんと呼ぶことにした。
その時にふと思ったのだけど、ひょっとしてロリ趣味というのは、男性間でもオープンにしづらいものなんじゃないですか。

その人はお医者様だったので、外に出れば先生と呼ばれて、たくさんの部下(お医者様でも部下と言うのかな?)がいて、それはもう堂々とした人で。日焼けもしているし筋トレが趣味だし、わたしも初めて会った時は少し怖いぐらいの印象を持ってたぐらいだった。
しかも、見せてもらったプライベートの写真に写っている知り合いの女性方はみんな高身長で髪も明るくてハーフのような派手な顔で、六本木で5秒に1度はぶつかる港区女子そのものだった。
でも、本人は童顔の「女の子」が好きで、高身長にも興味なし。黒髪ボブが一番好きで、15歳と結婚できないから一生結婚しない、と常々言っていたやべーやつだった。

確かに、身近な友人知人が集まるパーティーなんかで周りがサイバージャパンのような女やトロフィーワイフを連れてきている時、自分だけが黒髪ボブの童顔ダサ女を連れていたら、性癖モロバレ。何より他の港区女子たちから「そういうのが好きなんだ〜」って目で見られるのが、アーー!!恥ずかしい!!!「未熟な女が好きなお前自身もだいぶ未熟」と言われているのと同じ!!つらい!!!!!!

ここでわたしに「お兄ちゃん」と呼ばれることで満足するような、普段まわりの人には言えないような好みの女を追求し発散して日常に帰って行く人もいると気付いたその時、突然ものすごい使命感が燃えてきた。
いや風俗かよ、みたいなツッコミを入れたくもなるけどパパ活と風俗って大体一緒だしそういうことだよな!
わたしは今、この人の日常を守る大事な使命を背負っている……!ミスなんかしたら、最悪病院が傾くかもしれない……!なんとしてもこの人のお兄ちゃん欲を満たしたい!!
そこからは、ペットボトルの蓋を開けてもらう、高いところのものを取ってもらうなどはもちろん、トイレが我慢できないよ〜><と慌てたり、コップを倒して涙目でお兄ちゃんに謝ったりもした。今思えば、逆に漏らしたほうが良かったかもしれない。
とにかくありとあらゆる手でその人のお兄ちゃん欲を満たそうとした。

その日の帰り道は、なぜかわたしも満ち足りた気持ちで「いや〜〜〜やり切ったわ」みたいなテンションでお風呂に入ったりした。

お兄ちゃんと呼ばれて幸せそうだったあの人の顔全然好きだし、これがあるからやめられねえ〜〜と思いながら眠りについた日の話でした。

明日もがんばるぞ〜。

ままべ