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今回の一冊「一流の育て方」

11月10日に行われた3回目となるカジュアル読書会の一冊は、ムーギー・キム氏とミセス・パンプキン共著「一流の育て方」でした。著者であるムーギー・キム氏は京都生まれの在日韓国人3世です。慶応後熟大学総合政策学部の出身で、4か国語(日本語、韓国語、英語、中国語)を操るマルチリンガルでもあります。更に慶應義塾大学卒業後もINSEADというビジネススクールで修学しMBAを取得しています。このように輝かしい経歴を持つ超一流のムーギー・キム氏を育て上げたのが母親で共著者のミセス・パンプキンなのです。実体験をもとに書かれたこの1冊には「20年後子供が親に感謝する子育て」のエッセンスが詰め込まれており、2016年発売5カ月でなんと16万部を売り上げたベストセラーです。

今回はこの一冊を通して「母語と優位言語の違い」「子供の視野の広げ方」「言語はコミュニケーションツール」これら3つのテーマが浮上しました。

母語とは
母語ってなんでしょう?自分の国の言語でしょうか。親が話す言語でしょうか。それとも一番流暢に話すことのできる言語のことでしょうか。実はこの「母語」の定義はひとつに定めることは難しいのだそう。本会では「親と子がコミュニケーション取るにあたって使われる言語」として話が進められました。

母語と優位言語の違い
「母語と優位言語は違う」と主催者の趙あきこ氏は言います。母語の定義に関しては諸説あり一言で「これが母語」と断定することは難しいよう。下記のURLの記事にはケース別で様々なタイプの事例を挙げながら、 母語が必ずしも優位言語になるわけではないことや、また優位言語が必ずしも一つの言語に留まらないこと、読み、書き、会話などの能力別によってさらに優位性が枝分かれすることなど、意外と奥の深い母語について語って頂きました。是非一度目を通されて、ご自身のケースに当てはめて考えてみてください。新しい発見があるかもしれません。

【母語とは】母語って何?母国語との違いは?簡単そうでじつは難しい母語の定義について

子供の視野の広げ方
親であれば子供にはいろいろな世界を見てほしい、視野を広げてほしいと思うものです。親にできることはなんでしょう。習い事に通わせてあげる、色々な場所に率先して連れて行ってあげる、本をたくさん買ってあげる…。子どものことを想ってしてあげることの全ては最終的に視野を広げる助けとなるのでしょう。しかし現状は子どもの送迎、やめたがる子どものモチベーションアップ、時間のやりくりなど、親の方ばかりに負担が大きくなり思うような習い事ライフを送ることができない、と頭を悩ませる親も少なくないのでは。本書の中の「視野を広げる」の項目で、このようなことが書かれていました。

・親の努力が子供の視野の広さを決める

・親自身多様な視点や価値観を尊重できるよう「自分は無知で視野が狭い」という謙虚な現状認識を持つことが大切である

・己の無知を知ることが視野を広げて自分を知るための一歩

これを読んだとき「どれだけ与えたか」ではなく「どれだけ努力したか」で決まるのか、と思わず唸りました。習い事をさせるのはいいものの、時間も手間も面倒も増えて自分の時間は削られる一方、感謝されるどころかやめたいと言い出す始末…こんな渦中にいると時間とお金を無駄にしているのではと思いたくもなるもの。しかしこうして試行錯誤して向き合っていく過程にこそ意味があるのだと著者は教示しています。

言語はコミュニケーションツール
国際結婚の家庭であれば、母親の母語と父親の母語のバランスを意識しますし、国際結婚でなくても海外に身を置いて入れば現地の言葉に触れる機会は当然出てくるので、その教育方針についても考えさせられます。母語以外の第二言語が何語であれ、言語教育を早い段階で始めることのメリットについては、多くの文献で示されています。しかしここで改めて意識しておくべきことがあります。それは「コミュニケーションツールとしての言語教育であること」です。
言語教育に熱心なるのはとてもいいことですが、それが「勉強でいい成績を取るための教育」にすり替わってはいないでしょうか。
バイリンガル、マルチリンガルの家庭であれば、使っている言語に優劣の差が出てくることに心配を抱く親も少なくないはずです。しかしここで親が焦ってストイックになってしまったり、家庭教師を雇いだしたりと、本来のコミュニケーションツールとしての言語教育から脱線してしまうと、子どもに無理が生じてきます。その結果、特定の言語を使いたがらなくなり返って逆効果になってしまうことも。そんな事態に陥らないように、親がその意識を常に持っておくことが大事だと言えます。

今回選ばれたこの「一流の育て方」書店でよく見かけたけど、まだ手に取って読んだことはないという方も多いのでは。実は私もその一人で今回を機に内容を知ることができ、もっと知りたいと思いました。

ちなみに著書の「ムーギー・キム氏」本書のほかにも「世界中のエリートの働き方を一冊にまとめてみた」という本も出していてこちらも累計100万部突破の大ベストセラーとなっています。
そんな超一流エリートなキム氏、さぞお高くとまっているのかと思いきや、実はとてもくだけたキャラの持ち主。少しさかのぼりますが、討論バラエティ番組「ここが変だよ日本人!」に出演していました。記憶に残るバラエティ番組のひとつでしたよね。
そんな彼が大切にしていることが「感謝する習慣」なのだそう。そんなの当たり前と思っていても、いつのまにかするっと抜け落ちてしまうのが感謝の念というもの…。当たり前なことほど難しいものです。
やはり誰にでもどんなことにでも感謝できる人というのは、きっとその恩恵も大きいのでしょう。子どもへの教育指南本としてだけではなく、親として成長できる要素も盛り込まれているという印象を受けた一冊でした。

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