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娘とマサルくん10。

今回は、娘とマサルくん。
ついに私が・・・というお話です

ようやく私と娘の仲が復活し
私が知っていたこと、
目をつぶっていたこと、
いろんな話の答え合わせが
できてくることに
悲しみと呆れと複雑な気持ちで
本当にいっぱいだったわ

職場でも、
最初は誰よりも好印象で
積極的に目立つマサルくんは
早くからオーナー達や
指導ディレクターから
可愛がられたものの
頑張りの持続ができないことや
見かけ倒しの部分も
見抜かれていたらしく

いつしか私の知らないところで
少しずつ評判を落としていると
耳に入っていたのよね
とにかく、最初や入り口は
いいんだけど~
だんだんバケの皮がはがれ
相手の印象を悪くするのは
恋愛に関しても
同じだったのかもしれないわ

先日、バレンタインに
それでも娘はマサルくんへ
手作りのチョコレートを
作っていてね
マサルくんと一緒に
娘がご飯を食べた時に
立ち寄ったお店で
「ちょっと待ってて」
そう言って
チョコレートを入れる箱を
ちゃんと用意していたのよね

チョコを渡す、とは
言わなかったらしいけど
またしても!!
会う会わない、会える会えない
という約束決めのやり取りに
マサルくんの雑な返信と
娘の気分が悪くなったことで
行き違いが起きてしまったそう

その後、どうやら娘から
返信が来ないマサルくんは
ムカついたんだろうな
即日、娘のSNSを
削除されたとそう聞きました

ほほーーーなるほどね

マサルくんは近いうちに
お友達と台湾へ旅行するのと
新しいバイト先に入ったと
そうウワサを聞いていたので
旅行楽しみで
バイト先も楽しくて
目先のことで
浮かれていたんだろうね
きっと当たってると思うわ

ーーーーーーー

それから数日後。
久しぶりに職場へやってきた
マサルくん。

おはようございまーす、と
私と普通に挨拶したものの
どこか敬遠されてる感は
あったんだけど
私は普通にしていたはずで
きっと「舞さん大丈夫だ」
と思われたでしょう
しかし私の腹は決まっていた

注文が入り
「お手伝いしましょうか?」
と私に声をかけてきてくれて
「じゃ、お願いしようかな」
それでも何もなく
「元気だった?」なんて言い
娘の話題にもならなかったわ
もう話すチャンスはないかな
そんな気持ちもよぎったり
したんだけど

チャンスは私が先に
仕事を上がる直前にやってきた
偶然2人だけになった瞬間。

「あ、マサルくん
 ちょっといいかな?」

『あのさ、娘からSNSを
 削除されたって聞いたけど』
『・・・・・・・それは・・・あの・・
 返事が来なくて・・・その・・・』
と言いかけた時に

『っていうかさ
 もう我慢の限界
 だったんでしょ?
 白黒つけたかったんでしょ?

 白黒??
 だったら真っ黒で結構!!』
と、たたみかけた

 『あの日、娘はあなたのために
 チョコレートを作っていたけど
 夕方から少しずつ具合が
 悪くなり・・・40度超えの
 高熱を出し、夜中に運ばれて
 そのまま入院してしまったの』

『え・・・・・・』

『人の話っていうのは
 最後まで聞いてみないと
 わからないよねぇ~
 
 いろいろ娘が世話に
 なったわねぇ・・・ありがとう

 またご縁があれば
 それはまたその時。

 たださ、娘はあなたに
 今まで何かした??

 連絡つかないことも
 あったかもしれないけど
 あの子はただただ
 学費を稼ぐために
 頑張って働いているだけ
 のことでしょ??

 とにかく、もういいから。
 本当にありがとうね

 ・・・・・上手にチョコレート
 作っていたわぁ・・・
 箱は(一緒に行った)
 あのお店で
 買ったらしいわね・・・』

すると
それまでの顔色とは
完全に変わりきった
マサルくんは
 『また・・・ご縁があれば・・・
 身体だけは・・・本当に
 大事にしてほしいです』
そう言って緊張が走り
私に軽く頭を下げ
そそくさと持ち場に
戻っていきました

その後も私が仕事を上がるまで
彼の目が意気消沈して
かなり動揺していたのは
私からもよく見えたわ

おそらくマサルくんは
SNSを削除したということを
娘と揉める予定を
想像をしていたでしょうね

残念でした
そうはいかねぇ~よ

SNSを削除した??
元カノのおばあさんの
葬式に行くような奴が
なんでそんな簡単に
娘をシャットアウトできんの?
また娘とゴチャゴチャしたって
同じことのくり返しだし

だいたい娘は
入院しちゃったんだよ!
もちろんそれは
言われなきゃわからないけど
相手のことを知らずして
元カノに対して
ずいぶん冷たくしてくれたわ

幕開けさせたのは私。
だから、幕引きも
私が責任取ってしたのです
娘をこれ以上
傷つけられちゃたまらない
娘も息子も
私の大切な唯一の宝物だから。

正直、スッキリはしなかった
だけど胸はスッとした
「これで良かったんだ」
感情も怒りもぶつけず
淡々と話せたと思うわ

そのまま時間になり
マサルくんの姿が
見えなかったけど
私はそそくさと着替え
仕事を上がってね

ドアを開け帰ろうとしたら
『舞さん!!』
声がして振り返ると
マサルくんだった

あくまでも仕事のことを
聞かれて答えたら

『これから飲みですか?』
笑顔でマサルくんは
そう私に聞いて

『え?娘、入院してるけど』

『あ、そっか・・・』

『じゃ、おつかれさま!』

ドアを閉めて
小走りに帰ろうとした私が
「娘が入院してるっていうのに
 私が飲みに行く?
 どんだけアホなんだ!」
心の底からマサルくんを
“憎みきれないろくでなし”
と思ったことは
私と娘だけじゃないかも
しれないわね(笑)

その後もマサルくんから
娘へラインが来ることは
もうありません
おそらく周りの仲間から
『ウソじゃね!?』
そう言われてるかもしれないね
最初にウソをついて
こうなってしまったのは
マサルくんのほうです
そして、信じるか信じないかは
あなた次第です

家に飾っている2人の写真。
泊まりにきた時の歯ブラシ。
まだそのままに
ず~っとしてあります
もう戻ることもないことは
とってもわかっています

だからといってね
感情と勢いで投げ捨てるなんて
私はもうそんな年頃じゃ
ないわけでね
それだけ2人を大事にしたいと
お義母さんとして
温かく包んでいたのですよ

さて、マサルくんへ
家族でお世話になったわね
本当にありがとう~
あなたがもっと大人になり
いいお父さんになると
信じて疑わなかった私がいて
理想と夢を見ていました

おかげさまで
娘は退院し元気になりました
マサルくんが
次に職場へ来るのは2週間後。
でも新しいバイトが楽しくて
だんだん会う機会も
なくなっていくと予想してるけど
いつもと変わらず
きっと私は
時々会う彼を仕事仲間として
改めて仲良く楽しくできると
そう今は思っています

娘とマサルくんシリーズ
読んでもらえて
ありがとうございます~
ちっぽけな恋愛だったけど
書き切れない青春は
チョコレートの味がしました

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