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コロナ禍とストレス

古いデータではありますが、アメリカの精神科医、ホルムスとラーエが、
人々にとって重大なストレスになる生活上の変化を、数量化して表し、
この変化による危機を克服して、再適応するために要する努力を
量的な単位として測定しました。
それは生活変化単位と呼ばれ、生活変化単位の高いものほど、
ストレス値が高いことになります。

ストレス値

拘禁、生活条件の変化、個人的な習慣の変更、労働時間や労働条件の変化
など、コロナ禍を考えながらこの表を見てみると、
感染拡大に伴う出来事が、いかに私たちにとって重大なストレスとなっていたか、
改めて実感されます。
仕事によっては、職を失う、仕事・職業上の方針の変更、仕事上の責任の変化、
借金やローンのトラブル・・・様々なトラブルが重なったことと思います。

ほとんど全ての人に、一斉に重大なストレスが押し寄せてきて、
なんとか、新しい生活様式でやってきたこの1年でした。

子どもの場合は、大人に比べて不安対処能力が未熟な上に、
こうした環境の変化だけではなく、
情報を正しく把握出来ないことによる不安が大人以上にあり得るし、
親や教師といった自分の環境を整えてくれるはずの大人が不安定になっている、
ということによるストレスも強かったことでしょう。
いつクラスター発生するかわからない学校生活が続くという
これから先の問題もあります。

この1年間で、不登校の子が増えました。
私の印象ですが、この1年間は外来で聞く陰湿ないじめも多かったように感じます。
社会の問題は、子どもたちの心に現れているように思えます。
まだまだ終わらないコロナ禍で、私たち大人はコロナ禍に伴う問題をなかなか解決できません。
アウフヘーベンしようと工夫することが大切なのは前提として、
問題を抱え続けるストレスが続くことを踏まえ、
一人一人が自分自身のストレスケアを考えることが、
ひいては子どもたちの心を守ることにつながるのかなと思います。

コロナ禍で、私たちは多くの機会や暮らし方を失いました。
そのストレスの大きさは先に提示した表に示したとおりです。
失った悲しみときちんと向き合い、
新しい生活様式の中から新たな発見を見つけて悲しみを癒やす時間を
未だに持てていない大人が多いことが、
子どもの心の問題が増えていることにつながっているような気がしています。


写真は香川県直島にある草間彌生さんの作品です。

コロナ明けに訪れたい場所のうちの1つです。

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