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子どもが心の問題を抱えたときに、まず親がすべきこと

子どもが学校に行けなくなった、暴言を吐くようになった、
昼夜逆転するようになった、これまで取り組めていたことができなくなった・・・
突然我が子がこうした心の不調を抱えるようになり、
学校の先生や保健室の先生、スクールカウンセラーといった
これまでそこまで話すこともなかった人達と、
子どものことや家庭のことを話すようになり、
そして、受診を促されて医院のHPを開き、このブログを見た・・・
という読者の方が多いと思います。

こうした状態の時、まず親御さんにしてほしいことは、
「ご自身の時間を確保する」ことです。

子どもに寄り添う時間を作るために、自分の睡眠時間や一息つく時間を削っていませんか?
皆さん、「今は子どものことが最優先なので仕方ない」とおっしゃいます。
確かにそうです。
その通りなのですが、心の問題はすぐに片付くものではありません。
だからそのうち、自分の時間を削っていることが、
ボディブローのように自分の心に響いてきます。
徐々に疲れが溜まり出すと、
つい、「いい加減にしてよ」という気持ちを、
まだまだ回復できない子どもにぶつけてしまいます。
そうなると、子どもは「わかってくれない」と自分の殻に閉じこもったり、
「お父さんやお母さんに迷惑をかけてしまっている」と自責の念にかられたりと、
負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません。
心の余裕がない時に、子どもが情緒不安定になっていると、
冷静に対応することが難しくなり、つい苛立ちをぶつけてしまいます。
冷静になれないと、きつい気持ちを誰かにぶつけたくなってしまうので、
夫婦喧嘩も起こりやすくなってしまいます。

ですから、自分の休息時間を削って子どもの時間を作るのはお勧めできません。
そこで、すぐに出来る事は、家事の見直しだと思います。
必ずやらないといけないこと、家族で分担できること、
アウトソーシングできること、家電に頼れること・・・
1から見直して、減らせる家事を減らすことで、
子どもと向き合う時間を捻出して下さい。
全てを親だけで行おうとせず、頼れるところは、親戚、
ファミリーサポートやベビーシッターと、色んな人の力を借りることも時には重要です。

それでも難しい分は、長期戦を見据えて、
仕事の勤務時間の調整を図ることも必要になるかと思います。


私自身、育休からの復帰後、自分の睡眠時間を削って家事や自己研鑽を行っていたので
体調を崩すことが続きました。
そのときは身体がきつく、自分の気持ちにゆとりがなくて、
つい子どもに強い怒りをぶつけてしまったこともありました。
家事の時短、アウトソーシング等、
自分でないとできない事以外は減らした上で、
それでもうまくいかなかったため、現在は外来枠を減らさせて貰っています。
(そのために、新患も減らさざるを得ず、予約待ちのお時間を頂くことになってしまいましたが・・・)

やりたいことは沢山ありますが、全てはできません。

余裕がない時は、自分にしかできないことだけに専念することが大切だと思います。


大学の医局に所属していたとき、先輩ドクターから
「あとで振り返って笑えないことは、ヘルプが必要だということ」
と教わりました。
子育てをしていると色々な事があり悪戦苦闘の毎日ですが、
大半はあとで振り返って、笑い話になります。
そうではない出来事に直面した時は、今の自分たちのやり方だけでは対処できない、ということです。
その時は、抜本的な見直しが必要です。

親だからって、何でもこなせるわけではありません。
そんなに完璧な背中ばかり見せなくてもいいのです。
自分の子どもが心の問題を抱えたときは、
原因を追及するあまりに、
これまでやってきた子育てに対して否定的な気持ちを抱き、
子育ての自信を喪失することもあり得ます。
つまり、親も傷ついているのです。

ですから、子どもと一緒に、親自身もゆっくりと過ごせる時間を作ることが大切です。

時々は、全く家事をしないNO家事デイを作ってのんびりする事もお勧めです。
家族みんなでスペシャルな休日を考えるのもいいですね。
みんなで一緒に汗を流したり、ボードゲームでエキサイトしたりといった、
親子で感情を共有する時間が、心のエネルギーを満たしてくれます。
感情を共有することで楽しめた子は、それを友達との間で再現したいと自然と思うようになり、
一歩踏み出す勇気を出すことができます。

もし、親御さんが疲れ果てて、子どもと向き合い一緒に感情を共有することができないのであれば、
ご自身の受診をお勧めしています。
子育ては、自分の生い立ちと重ね合わせることも多く、
人によっては辛い気持ちを繰り返し抱かせることがあります。
子どもが心の問題を抱えると、なおのこと、ご自身の気持ちも不安定になりやすいです。
気持ちを整理する場としても、ご自身がカウンセリングを行うことは有効だと思いますので、
無理されず、ご自身の心のケアを行って下さい。

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