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子どもの偏食には・・・

発達特性のあるお子さんをみていると、偏食の相談を受けることが多いです。
感覚過敏があり食感が苦手で食べられない、

初めての物を不安がって食べようとしない(嫌いだと思い込んでしまう)、

吐き出した、美味しくなかったといった嫌な体験をしてしまって、二度と食べたがらない、

とにかくこだわりで、特定のものしか食べられない・・・
お子さんによって理由は様々です。

そんな子どもたちも家庭や学校で、色々な物をあらゆる調理の仕方でトライしているうちに、

少しずつ食べられるものが増えてくる、というケースが大半です。

ただ時間はかかりますし、しっかり食べられるようになるまでは、栄養面の心配が当然出てきます。

そこで私がお勧めしている調理の工夫についてご紹介します。

① 極端な偏食で鉄不足が心配な場合
鉄の調理器具を使うことをお勧めします。
一日に必要な鉄の摂取量は、大体、

未就学児が4~6mg、6~9歳 6~9mg、
10~15歳 男児10~12mg;女児 13~14mg、
15~17歳 男児 9.5mg;女児 10.5mg
17歳以上 男性7.5mg;女性 10.5~11mg (妊娠中や授乳中は増量)
となっています。
(厚労省 鉄の食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4aq.pdf )
鉄鍋を使うと味噌汁1杯で3mgの鉄を摂取できるため、

朝食と夕食に味噌汁を作るだけで6㎎の鉄分摂取ができます。
ホウレン草やレバーなど、食事からの摂取よりも、簡単で確実です。
ただ、鉄鍋はやや重くて使いにくいという難点があるので、私のお勧めは鉄玉子です。
鉄玉子は、南部鉄で作った玉子の形をした鉄の調理用品です。
鍋ややかんに鉄卵を入れて調理をすると、鉄鍋と同じように鉄の摂取が期待できます。
この時にお酢を食塩や食酢の添加で鉄の溶出は増えるというデータもありますので、味付けに工夫をするとより鉄の摂取ができるかなと思います。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/36/1/36_39/_pdf 

② 肉嫌いの場合
肉嫌いの理由には、うまく噛み切れない、脂身のにおいが苦手、などの理由が挙げられます。

肉が嫌いだけど鶏肉は食べられる、という子が多く、

その場合は豚肉や牛肉の脂身の問題かもしれません。

脂の少ない部位を選んで、細かく切って調理をしたり、

ひき肉を煮込み料理やスープに入れて脂身の少ない状態から慣れていったり、

などとして、少しずつ肉の美味しさに気付いていけるとよいと思います。

③ 野菜嫌いの場合
野菜嫌いの理由はいくつかあります。
シャキシャキ感などの歯触りが嫌、

繊維が残って飲み込めなくなるから食べたくない、

野菜のえぐみ・苦味が嫌、食わず嫌い・・・などなど。
歯触りや繊維の問題なら、

野菜を切る際に繊維と垂直方向に切る・みじん切りにする、

野菜炒めの時、炒める前にレンジで軽く火を通してから調理をする、

スープはポタージュスープにする、といった工夫が役に立ちます。

(私はレンジを使うのが面倒なので、フライパンで野菜を炒める際に、蓋をして弱火で2分程度放置します。これで子どもの食べやすい柔らかさになります。)
茹で野菜の場合、十分に火を通すためにも、少量で効率よく野菜を食べるためにも、

圧力鍋を使って栄養素の流出を減らす工夫もお勧めです。
野菜のえぐみや苦味が嫌な子には、

野菜スープなどの煮込み料理で、トウモロコシやカボチャを入れてあげると、

全体に甘みが行き届くので食べやすくなると思います。
食べたところで「キャベツ食べられたね!」とにっこり伝えてあげると、

食わず嫌いを克服しやすいですよ。

年少のお子さんには、苦手なものを食べたときにご褒美シールを貼るのも一案です。


野菜を食べられなくて困っている!という時の栄養補給には、

ベジブロスが便利です。
ベジブロスは野菜出汁のことで、ファイトケミカルが豊富だと言われている野菜の皮や根っこなどを使って作ったものです。
スーパーでベジブロスパウダーが売られているので、

簡単に使うことができますが、自宅で作ることもできます。
作り方は、野菜の皮や種、根っこ、わたなどのくず両手一杯分を、よく洗い、

水1lと酒小さじ1と一緒に鍋に入れて煮込みます。

沸騰後20分弱火で煮込み、ざるで濾したら完成です。
これを味噌汁やスープ、煮物など、水の代わりに使うと、

簡単に野菜からの栄養素を摂ることができます。
ブロッコリーの茎など苦味の多いものは控えたほうがいいですが、

ほとんどの野菜のくずは使えます。

子どもの食べ物嫌いは、本能的に警戒する気持ちや

味覚の発達段階で美味しいと実感できない、といったこと、

感覚過敏なども影響しています。
できるだけ食卓を楽しい雰囲気にする環境の工夫も重要です。

集中しやすいようにテレビを消したり、

食卓の周りの子どもが気になりやすいものを片づけたりということで、

うまくいくこともあります。
また、食に興味を持つために、料理のお手伝いをしたり、

プランター栽培などで野菜を自分で育ててみたりするのもお勧めです。

料理ネタの絵本を読んで聞かせるのもいいですね。



川谷医院系列のドンマイが2020年夏にオープンしたcafē bon courageは、

食育をテーマとしたカフェです。https://donmai.co.jp/cafe.html
五感で楽しむランチはテイクアウトもできます。
ご家庭で食育の機会を作るお手伝いができるかと思いますので、

どうぞご活用下さい。


川谷医院 https://kawatani.jp/

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