【橘華印】恋の音が聞こえたら

 うしろのあらすじを読まずに読み始めました。都(受け)が恋人から別れを切り出されるシーンから始まり、生い立ちのために陰があるにもかかわらず明るくふるまうところが健気です。支倉(攻め)との出会いも最初のシーンに入ってくるので、いったいどういう展開になるんだろうとドキドキしながら読みました。

 事件の犯人はネタバレなので書きませんが、この作品は家族愛もテーマだと思います。不仲だった両親、都を支える兄の存在、愛には色々な形があると考えさせられるお話です。子供扱いされて怒る都が支倉を好きになり、兄への羨望や恋への不安に揺れ動いたり、事件を解決しようと懸命になったり、一途なところが可愛くて好きです。

 恋の行方以上に、事件の真相がなかなか明らかにならず、気になりすぎて一気読みでした。支倉はちょっと怜悧な感じがしたけど、一生懸命な都にほだされていく、言葉足らずな攻めです。(愛の行為は雄弁です。大事な部分です。)

 後日談ないのかな…都のお兄さん達の恋模様も気になります。殺人事件の絡む作品で情報量が多いにもかかわらず、しっかり読ませてくれる物語でした。

華家 | メロンブックス https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/circle/index.php?circle_id=38606


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