【水樹ミア】獣によりて獣と化す

 待ちに待ったミア先生の新作です。引っ越しも落ち着いてようやくこの前ゆっくり読むことができましたので、感想をあげたいと思います。

 年の差で両片思いのファンタジー作品です。読んでいる最中、何回、最後のページまでめくろうと思ったことか。左側の紙量が減っていくのに、なかなか両思いだと気づかないアルドとユノの恋の行方にやきもきさせられました。ハッピーエンドと分かっていても、すれ違う二人の心情や環境と事情によるもつれ具合が、思い合っているのにかけ違っていく恋模様と絡み、本当にはらはらしながら読みました。

 好き合っているのに儀式として身体を重ねていく。これがまた切なくて、アルドの狡猾な部分、臆病な部分、根底にあるユノを大切に思う気持ちは心が震えます。同時に執着攻めなので悶えます。ユノはアルドが自分の母親を好きだったのだと誤解して、叶わない恋をひた隠しにしています。

 お互いに好きだと告白したら解決するけれど、立場や環境からそう簡単にはいきません。ミア先生の作品の醍醐味である、複雑に入り組んだ事情が存分に生かされたストーリーでした。WEB版とは別時代のお話で、この作品単品でももちろん楽しめました。儀式の描写の濃さ、耳と尻尾が生えてくるもぞもぞ感はこちらの方が上回っている気がします。

#読書感想文 #商業BL





この記事が参加している募集

#読書感想文

191,671件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?