【ちえ子】Howl(DL版同人誌)

 創作BL漫画です。DL版で全2巻。神様×不憫受けです。

 直哉は義父から暴力をふるわれ、学校では友達だと思っている相手から軽視されています。神社へ迷い込み、いけにえとして神様(ミツツキ)に陵辱され、深く傷つきます。しかしながら、ミツツキが人間の身勝手さに怒り、憎しみ、傷つくことへの恐れから冷たく当たることを理解した直哉は、彼の寂しさに共感し、自分と同じだと気づきます。ミツツキもまた直哉の純粋な思いに戸惑いながら、癒され、また人間を信じようとしていく、神社の再生と互いが必要不可欠な存在となるファンタジーBL作品です。

 私は不憫受けが大好きなのです。傷つけられて、絶望しながらも決して利己的にならず、一瞬間の幸せな思い出や優しくされた出来事を小さな灯火として胸に秘め、生き進む姿に、心の底から良かったと思えるのです。

 ちえ子先生は、まさにそういう人・世界を表現されています。互いが必要不可欠な存在となる、と書きましたが、幸せな結末の後に二人は家族になります(子供が生まれます)。誰からも、所属している場所からも必要とされない、軽侮される疎外感を知っている二人に大きな幸福が訪れることは、読んでいるこちらも幸せな気持ちにしてくれます。

 今回「Howl」の感想を書いていますが、実は「曇りのち雨ときどき涙」から先生の作品にはまりました。「曇りのち雨ときどき涙」は私の大好きな不憫受け現代版です。完結していないと感想が書けないのですが、ちょっとだけ。不幸な境遇で人から誤解されやすく、傷つけられる前に相手を傷つけてしまうことで不安定な自分の存在を生かそうとする高人(受け)から目が離せません。続きがとても楽しみです。



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