【連載旅小説】繭 #5
「真結さんがそこまで言い切れるのは、なにか理由があるの? そういう思いにさせてる根本には何があるの?」
真結さんは一度目を背け、のどかな山の稜線に目をやった。
鳥が数羽、ちょうど羽ばたいていった。
「私はあぁいった映像や資料を見ても、あまり強いダメージを受けません。事実として冷静に受け止めています。あぁいったものや戦争遺跡や遺品、あるいはアウシュヴィッツのような強制収容所を見学して、ショックやダメージを受ける、という話をよく聞きますが、私は言うほどダメージを受けません。冷