日本史授業脚本「32.国会開設の勅諭」
国会期成同盟による民選議会の即時開設要求&開拓使官有物払い下げ事件の政治スキャンダル。この場面で伊藤博文が打った手は?
一つ目は「議会の即時開設派である大隈重信を政府から追い出した」こと。大隈の主張は政府内では完全に少数派ですから、いい機会だったかもしれないですね。
二つ目が今回のテーマである「国会開設の勅諭」です。
明治時代には「勅諭」とか「詔」がよく出されますよね。受験生はあまり気にしていないかもしれないですが、日本史を知る上で超重要なので知ってもらいたいことがあります。
政府や議会が定める「ただの法令」と、天皇のお言葉である「詔」や「勅令(勅諭)」には天と地ほどの重さの違いがあるということです。
天皇の言葉で伝えるということは、「国民に本当に理解してもらいたいこと」なのです。
「国会開設の勅諭」は10年後の議会開設を約束する勅諭です。
つまり、この約束は「絶対」なのです。
しかも、天皇がどんな思いでその約束をするのかまで述べている。
すなわち、ただの命令ではなく、国民にしっかり理解してもらいたいということです。
10年後の議会開設を100%約束するので、それまでは焦らず待って欲しいというお願いです。
天皇の言葉ですから、このお願いも国民にとっては重いんですね。
日本国民と天皇は、このような信頼関係で成り立っているので、「詔」や「勅諭」が出ると日本人はピシッと治まるのです。
面白い国民ですよね。恐怖ではなく畏敬によって治まるのですから。
逆に、これだけ天皇が心を込めて話し掛けた言葉に反し、さらに反抗する人たちには、政府が厳しい「法令」で取り締まります。
今回で言えば「集会条例」ですね。これは弾圧ではなく、「優しく言われてるうちにちゃんとしろよ」ってことです。
言うなれば「公共の福祉に反する」人たちと見なされるということです。
日本らしい、統治のしかたと国民感情を理解できるテーマです!ぜひ、心を動かす授業にしましょう。
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