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マレーシアの街に響く「アザーン」

マレーシアには全国に、「モスク」や、「スラウ」とよばれる礼拝所などの宗教施設が数多くあり、モスクは約6,500カ所あり、1万8,000カ所を超える礼拝所があります。
そして、これらのイスラム教の宗教施設では、1日5回ある礼拝時間になると「アザーン」が鳴り響きます。
異教徒である私たちも、思わず厳粛な気持ちになり、心に深い感銘を与えます。
「アザーン」とは何なのでしょうか?

観光客に人気の「ブルーモスク」

大音量で流れるアザーン

アザーンとは、イスラム教における「礼拝時間の呼びかけ」のことです。
イスラム教徒は、「コーラン」に啓示された、さまざまな教義や決まりを守らなければなりません。
その中でも、イスラム教徒の義務として課せられている5つの行為を「五行」と呼びます。
そして、「サラート」と呼ばれる、1日に5回の礼拝もそのひとつです。
そのため、礼拝時間をアザーンによってイスラム教徒に知らせているのです。

モスクのミナレットから流れる

イスラム教のモスクには、「ミナレット」と呼ばれる塔があります。
礼拝時間を知らせるために街中で響き渡るアザーンは、モスクにある、このミナレットから流れているのです。

モスクのミナレット

ミナレットの高さや形状は、地域やその時代の建築様式によって異なりますが、初期のイスラム世界においては、ミナレットはイスラムの権威の象徴となっていました。
「ミナレット(Minaret)」の語源は、アラビア語で「火・光を灯す場所」を意味する「マナーラ」だとされており、その国の言語によってミナレットの呼び名も異なっています。
マレーシアでも、モスクが多い地域では、各モスクのミナレットから流れるアザーンが、重なりあい、合唱のようになり、より荘厳な響きが感じられます。

アザーンの内容

アザーンは、文言もイスラム法上のスンナ(慣行)で規定されているため、勝手に内容や言語を変えることはできません。
そのため、国は異なっていても、アラビア語で唱えられています。
その内容は、「アッラーは偉大で、アッラーのほかに神なし」と言う内容を、繰り返し、ゆっくりと伸ばして朗唱して、3~4分程度かけながら唱えます。
細かな内容や言葉については、『TAiRA(たいら)in Malaysia』さんの、こちらの記事に詳しく書かれていますので、ぜひ確認してみてください。

礼拝時間

1日5回の礼拝の時間は決まっていますが、実は一定ではありません。
以前「ラマダン」の記事で紹介したように、イスラムの多くの行事は、日の出と日没の時間によって決められるため、日々変わっているのです。

1日5回の礼拝時間は、おおよそ以下の通りです。
「ファジュル(1回目の礼拝)」:明け方から日の出まで。
                マレーシアでは午前6時前後。

「ズフル(2回目の礼拝)」:正午から昼過ぎまで。
              マレーシアでは午後1時過ぎ。

「アスル(3回目の礼拝)」:昼過ぎ(2回目の礼拝)から日没まで。
              夕方5時過ぎ。

「マグリブ(4回目の礼拝)」:日没から夕焼けが消えるまでの間。
               夜7時過ぎ頃です。

「イシャー(5回目の礼拝)」:就寝前に1日の最後の礼拝として行なわれる。夜8時過ぎになります。

礼拝の仕方

礼拝するときには、体を清めなければなりません。
「ウドゥ」というお清めを行い、 定められた順序に従って、手、足、顔などを水で洗い清めていきます。
礼拝は、なるべく集団となって列をつくり、キブラ(メッカの方角)に向かって、コーランを読誦しながら行います。

アザーンは生声?

驚くべきことに、アザーンは録音されたものではなく、基本的には「ムアッジン」と呼ばれる朗唱の担当官がライブで行っています!
中には、素晴らしい「節回し?」で朗唱する方がいて、思わず聞きほれてしまいます。
なんと、このアザーンの朗唱の抑揚を競う世界大会まで開かれているのです。

マレーシアに来られた際には、「アザーン」を通して、ぜひ、イスラムの文化を感じてみてください。
宗教がもっている神秘性、奥深さを感じることができますよ。

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