見出し画像

【協力の教科書】『人に頼む技術』を読みました.

人に頼む技術』という本を読みました.

・頼み事をするのは,なんでこんなに嫌なの?
・できるだけいい気分で,人に動いてもらうには?

みたいなことが書いてあって非常に参考になりました.

以下に,内容をまとめました.

知っとくべき事実

1.人は頼み事をすると,苦痛を感じる

驚いたことに,人は頼み事をすると苦痛を感じるようです.実際,頼み事をすると,肉体的な痛みを受けたときと同じ脳の領域が反応するそうです.

この苦痛は,「社会的痛み」といい,以下の3つを脅かされることにより生じます(本書では5つ紹介されてましたが「頼み事」には以下3つで十分だと思います).

ステータス

頼み事により,集団内での自分価値が下がると思うことで,苦痛を感じる.例えば,「こんなこともできないの」とか「こんな直前に頼むなんて,計画性のない人だなぁ.」と思われそうな場合.

人とのつながり

断られたとき,拒絶されたと感じると,苦痛を感じる.

自律性

自分のことは自分でコントロールしたいという欲求を満たせないと,苦痛を生じる.

2.人は頼み事を断るときに,大きな抵抗を感じる

不親切な人と思われたくないため,人は頼み事を断るときに,大きな抵抗を感じる.
そのため,前に断られた相手のほうが,助けてくれる確率は高くなったりします.

3.頼み事は人間関係を良くする

面白いことに,頼み事をすることで,相手からの印象が良くなる場合もあります.
「その人を助けたということは,その人に対して好意を持っているはずだ」と脳が解釈するためです.

この原理の応用例として,敵対してくる人に,あえて相談することで,関係性を良くするというテクニックもあります.(ただし,相手がサイコパスのようなヤバい人の場合は,逆用されるので注意.)

他者との関係改善のために頼み事をする場合は,相手のリソース(時間,金,モノ)を食わない頼み事をオススメします.例えば,

・10分だけ相談に乗ってもらう
・相手がよく知っていることについて教えもらう
・人や文献を紹介してもらう

とかです.

4.主体的な人助けは,人をいい気分にする

実は,主体的な人助けは人をいい気分にします.なぜなら,一般的な人は「親切な人は良い人である」と思っているため,親切な行動をした自分は良い人であると感じられるためです.

一方で,人に頼まれたことをするのはダルく感じます.これは,人に指示されることで自律性が奪われ,やる気が低下するためです.

では,相手のやる気を奪わずに頼み事をするにはどうすればいいのでしょうか.

相手のやる気を下げてしまう頼み方

まずは,相手のやる気を下げてしまう頼み方を紹介します.

1.仕方なくやる感じになってしまう

やたらあやまったり,言い訳をすると,相手が仕方なくやる感じになります.
また,相手に貸しがあることを思い出させるのも,同様です.

ダメな例.
 「申し訳ないんだけど...」
 「本来,自分でもできるんだけど...」
 「本当はこんなこと頼みたくないんだけど...」
 「昔こんなことしてあげたんだから...」

2.「コントロールされている」と感じさせてしまう

「この頼み事を受けることで,あなたはこんな体験ができて,こんな素晴らしい感情になるでしょう」のように相手のメリットを決めつけて伝えると,相手にコントロールされていると感じさせてしまい,やる気の低下につながります.

メリットを伝えるときは,以下のように,一般論として伝えましょう.

「この活動は,〇〇のプラスになるといわれています」

3.頼み事の有効性を下げてしまう

頼み事を些細なことや,取るに足らないものだと強調すると,相手はその行動に「有効性」を感じないため,やる気が低下してしまいます.

ダメな例.
「5分もかからないはずだ」
「簡単にできるでしょ」

相手のやる気を上げる頼み方

つぎに,相手のやる気をあげる頼み方を紹介します.

1.「仲間意識」を刺激する

人には,同じ集団に帰属している人を助けたいという本能があります.この本能を活用するためには,「仲間意識」を刺激する必要があります.

「仲間意識」を刺激するポイントは,以下の2つです.

・「一緒に」というワードを使う.
・「共通の目標」や「共通の敵」を意識させる.

2.「有効性」を感じさせる

「有効性」を感じる行動ほど,人はやる気をだします.アスリートが辛い練習に取り組む理由は,辛い練習に「有効性」を感じているからです.

「有効性」を感じさせるポイントは,以下2つです.

・助けてもらう内容と,それがもたらす結果を明確に伝える.
・その後の経過を伝えると事前に行っておく.

3.相手の価値観にあった頼み方をする

人は,自分の価値観にあった行動をしたいと思っています.そのため,頼み事の内容が,価値観にあった行動であることを伝えることで,主体的に動いてもらうことができます.

例えば,ゴミ拾いのボランティアを募るときに,
健康に価値を感じている人なら,「ゴミを拾いながら,〇〇km歩く予定です」とかが刺さる.
人間関係の多様性に価値を感じている人なら,「毎回,様々な年齢,分野の人が参加しています」とかが刺さる.

頼み方のコツ

本書で紹介された,頼み方のコツをざっとまとめます.

1.頼む相手を限定する

助けられる人が多くいる状況だと,個々の人の,「自分が助けるべきだ」という責任感が薄くなり,結局誰も動かないことになったりする.

2.直接頼む

困っているアピールをしても,声をかけてもらえないこともあります.その理由は,相手側の心理にあり,

・助けを求めていないかも知れない.
・自分で解決したいのかも知れない.

といった考えが浮かぶため,声をかけづらいのです.

そのため,直接頼むのが堅実な方法です.

3.明確に依頼する

何をどこまでいつまでにして欲しいかを明確に説明しましょう.

4.妥当な量の助けを求める

相手も忙しいことを留意して,妥当な量の助けを求めましょう.

5.思ったほど助けてもらえなくても,しっかり感謝する

感謝をしないと,次に助けてもらえる確率が半減するそうです.

おわりに

本書を読んで,「助け合いの文化」って最強だなって思いました.

助ける側は,主体的な人助けで,いい気分.
頼む側は,頼む事による苦痛を減らせて,いい気分.

では,「助け合いの文化」ってどうやってつくるんだろう.
チームメンバー全員に本書を読ませれば十分なんだろうか.
「心理的安全」とかいうやつも関係してそうで気になる.

以上です.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?