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全日本プロレス派の私がプロレスリングノアに今戻った理由

「西尾君はB’zとWANDS、どっちが好き?」


二択で意見が真っ向に対立するものがあります。


小学校の頃、卒業を目前に控えたところで塾が同じで仲の良かったカオリちゃんからこんな質問をされました。


「西尾君はB’zとWANDS、どっちが好き?」

「稲葉と上杉、どっちが好き?」


今にして思うとああ、時代だなぁと思います。


B’zとWANDSって比較の対象になるような、そんな時期だったんだなぁと懐かしくなりますが、確かに当時この二つのバンドはよく売れていましたし、似たような時期に頭角を現してきたことも間違いないんですよ。


結構この二つってませた女の子からすると、どちらを支持する?っていうのは明確に別れていたんですね。確かカオリちゃんは「世界中の誰よりきっと」をよく聴いていた記憶があるので、WANDS派だったように思います。


へー、と思いながら、私はどちらかが凄く好きだったという訳ではなかったので、生返事で返したと記憶していますが、彼女たちがかなりの熱量で、そして自分が支持するものに対する味方を増やしたかったという意志を感じたのでした。


あと、即席ラーメンにおける「サッポロ一番、どの味が好きか?」議論なんてその最たるものです。味噌か、塩かというのは人によってかなり意見が別れます(醤油派も居ますが)。「昨日何食べた?」の劇中でもこの議論は出てきたくらいです。


ちなみに私はチャルメラ派なので、この議論は完全に蚊帳の外です。


この手の議論で思うのが、自分が支持するものって歳を重ねて変えられるものじゃないんですよね。もはやそれが自分を支えるアイデンティティになっていますし、他の何かでは代えがたいものなんですよ。


プロレスを否定することとジャニーズを否定することは似ている


でね。


色々と例えが出てきましたけど、今日の本題に入ると、プロレスにおける二択というのも存在するんです。


前にも少し話したかもしれないですが、私達くらいかそれよりもちょっと下の世代まではどこかで必ずプロレスにドハマりする時期ってあるんですよ。もうこれは、他に何も見えなくなるほど、ガッツリハマっちゃう。


男の子にとってプロレスって何にも代え難いものがあるんです。


女性からするとあんなのはショーで、しかも黒いブリーフみたいなのを身に付けた大の大人がわざとらしく起き上がってくるようなものを見ているなんていうことが信じられないと思われる方も少なくないと思うんです。


しかも、それを見ているのが男性ですからね。なんかちょっと幼稚で、馬鹿げているという視点になりがちじゃないかなと。


うん。

分かります。


だからちょっと、プロレスを好きだとか、好きだった、みたいなことって女性には言いづらいんですよ。え?みたいな反応ってどうしても出てくるし、そこで終わればいいですけど本気で叩き潰しにかかるような人も居ますからね。


それ言われちゃうとごめんなさいするしかない。でも好きなんだから仕方ないですよ。だから、女性の皆様にはこれは大目に見ていただきたい。


あれと同じです。

ジャニーズ好きな方に対して男性が冷ややかなのと。


あれも女性からするとあー、コイツわかってねーなー、いちいちうるせえよってなると思うんです。男性もジャニーズ好きな方に対して結構辛らつだし、それをヘタするとちょい馬鹿にした感じで出してくることありますからね。見ていて気の毒になることがあります。


仕方ないじゃないですか。

好きなんですから。

その感情って誰からも否定されるものじゃないと思うんです。


だから、プロレス好きな男性のことも、理解は出来ないかもしれないけど大目には見てほしい。…と言えば少しは通じるのかな。


まぁ通じなくても概念として抑えてくれたらそれでいいです。多分無駄にケンカしなくて済むので、色々と平和になると思います。あと、男性の皆さんは表立ってジャニーズ馬鹿にするのもご法度なので、ご注意ください。(そこかしこに好きな方は居ますからね…。)


全日本プロレス派と新日本プロレス派について


枕はかなりデカくなりましたが、プロレスの二択に関する話です。


私たちの世代からすると、全日本プロレス(通称:全日)派と新日本プロレス(通称:新日)派に明確に別れていたんです。


元々タッグを組んでいたジャイアント馬場が全日、アントニオ猪木が新日を立ち上げているということからも哲学が明確に異なることが分かると思います。


何しろ馬場は現役の末期に


「動け、馬場」


なんてネタにされながらもリングに上がり続けている訳です。コミカルもまた全日の魅力で、ラッシャー木村のマイクなんかも人気でしたからね。


でも、コーナーポストから脳天を叩きつけるような危険技の応酬とか、頭おかしいんじゃないのか?と思うような攻防があるんですよ。キャッチフレーズが「明るく、楽しく、激しいプロレス」ですから。


それに対してアントニオ猪木の新日は殺伐としている訳です。


タイガージェットシンが新宿で買い物中の猪木夫妻を襲撃して警察沙汰になったり、前田日明が長州力を顔面キックして無期限出場停止になったり、小川直也が橋本真也をリング上でボコボコにしたり。


これ、どっちが好き?

っていうのは男の子たちの考え方が出るんです。


ただ、最近「プロレス芸人」という括りで語られるときは大体新日の話になります。これは、特集を組んでいる「アメトーーク」が新日を長く放送しているテレビ朝日の番組であることが大きく影響しているかと思います。


更に言うと、最近Amazon PrimeやYoutubeでプロレスについて語っている有田哲平さんが新日本プロレスファンだからというのも大きいです。


全日と新日は二大派閥のように見えて、語られるのは新日の方が大きかったりするのですが、かく言う私は全日派なんですね。


総合格闘技が年末の茶の間を占拠し、新日が客の不入りや経営面でゴタゴタしていた2005年ごろに全日の流れを継いだ「プロレスリングノア」という団体が東京ドームで大観衆を集めていた時期もあり、確かに人気はあったんです。


どうも私は軍団抗争とか「ぶっ潰してやる!」みたいなことを大の大人がやっていることに子供の頃から今一つ入り込めなくて、恐らくそれは女性がプロレスを冷ややかに見る視点に近しいものだと思うのですが、場外のスキャンダラスよりもリング上のことを楽しみたいらしいんですよ。


多分それは全日を見ていたから、新日に否定的になっていたという部分が強いと思うんです。


旧:全日のノアの凋落と、新日本プロレスへの浮気心


ただ、2009年にノアの社長であり看板レスラーだった三沢光晴さんが試合中の事故の影響で亡くなるという大事件が起き、そこからノアは長きに亘る迷走期に突入してしまいます。


それと時同じくして新日が大胆な世代交代を果たし、新規ファンを獲得して一気に形勢逆転。もはや新日のライバルはノアではなく、海外No.1のWWEというところまで来てしまいました。


私はプロレスが好きですが、ここまでノアが迷走し続けて、次の時代の基軸が打ち出せていない状況が続くと流石に揺れることになる訳です。


ましてや本当か嘘かよく分からない話として、ノアの経営やそれに付随して色々と醜聞がまことしやかにささやかれるどころか大手を振って闊歩するような、そんなヤバい状況まで出ちゃっていて、結局何が本当かは分かりませんがファンとして大いに冷めてしまったのは事実で。


そんな中で、さぁどうする?

となっている中で、まぁまぁYoutubeなんかで新日の試合見られるんですよ。


そうなると、見ちゃうんですよ。

新日を。


うん。

クオリティは高いし、絶対これは楽しい。

新しい時代の新しいプロレスをしている。


危険技の応酬ではない形で、体も削ぎ落してコスチュームも黒ブリーフからはだいぶかけ離れたスタイリッシュなものになっている。


素晴らしいと思うんです。

プロレスもここまで来たか、と。


ただ、新日にはYoutubeでチラチラ見るに収まっちゃうんです。

それは、私は元々全日ファンだからです。


やっぱり、違うんですよ。あと、元:全日ファンとしての意地というか、意固地な自分がそこは変えられないと言い張っているんです。自分の中の歴史が、ここで新日に行ってはいけないと引き留めるのです。


じゃあチラチラ見るのはいいのか?と思うのですが、ギリギリそれは浮気じゃないラインらしいんですね。それは自分の中での都合の良い哲学になるのですが。


グレートオーカーン選手だけはちょっと例外なんですが、結局この10年あまりの間、浮気と浮気じゃないラインをせめぎ合いながら、それでも新日には行かなかったんです。恐らくそれは、私の中で決めた二択に対するこだわりだったんですよね。


ノアは変わって復権してきたけど、それは案外どうでも良かった


そんな中でようやく、サイバーエージェント体制になる中でノアが浮上のきっかけを掴みつつある。


そして先日記事にしましたが、拳王選手という実に私好みなレスラーが登場した。反骨ユニットを率いているのに、クソが付くほど真面目で誠実。しかもそんな彼が、散々「カラオケなんて歌わねえ」なんて煽っておいてなにわ男子を熱唱する。とにかく彼が面白くて仕方ない。



一気に私はノアに戻りました。

まだ会場には行けていないのですが、さすがにこれは見てみたい。


ただ。

ここまで哲学がどうとか、意地がどうとか言っているんですけど、気づいたことがあるんです。


今のノアって、全然全日じゃないんですよ。


私が嫌っていた軍団抗争が物語の基軸になっていますし、殺伐としたやりとりもあります。ノアの生え抜きの選手なんて半分も居ないですし、ハードヒットではありますが昔ほど危険技の応酬もありません。


この話の流れで本来用意していたのは「やっぱり二択となると、子供のころから慣れ親しんだ哲学があるものに人は帰っていく」っていうところだったんです。


でもね。

全然そうじゃないんですよ。


意地も哲学も、愛着ある器が今魅力的であればどうでもいいんです。


だってね、今度正月にノアでビッグマッチがあるんですけど、そのカードが


武藤敬司VS中邑真輔


ですよ?


彼ら、両方元々新日本プロレス出身なんですよ。しかも新日の人気を支えた功労者です。だから、新日出身の二人にノアの興行が支えられているなんてなったらノアファンからしたら悔しいし、頭来ると思うじゃないですか。


でもね、私、超喜んでいるんです。


何故か?

愛着あるノアが復活して、最高に盛り上がるカードが用意できているからです。


もうそれ以上、何を求めますか?

何も要らないですよ。


自分とはつくづく都合のいい人間だと思います。散々理屈をこね繰り返して、最終的に辿り着くのが「愛着ある団体が盛り上がっていればそれでいい」なんですから。


多分、哲学を重んじて離れていく人も多いと思うんです。何が大事で、何が大事じゃないかは人それぞれですから。


ただ、私にとって大事だったのは、二択の中でもその器の部分だったんです。それはもう、理屈じゃないんですよ。理屈を超えたところに全日、ノアという器がある。そんなもんだと思うんです。


理屈を超えたところまで楽しいことが消化できれば、案外理屈はどうでもいい。結局人間にとって大事なのは感情的な部分なのかもしれないということが「全日か、新日か」という二択の終着点として結論づけられた気がします。


自分の心の整理が出来たから今はすがすがしい。

さぁ、ノア観よう。

また一つ楽しみが、増えてしまった。


■11/05 Stand FMで配信しました。

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■今日の記事

こういうこだわり、いいですね。
値段じゃないところに愛着が出てくるというのは、素敵ですよ。


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