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クリスマスにドタキャンされ、仕方なく観た映画が悲惨だった話

今月もリレーエッセイを募集しました。



テーマは「クリスマスの思い出」ということなのですが、皆さんどんな思い出があるんですかね・・・?


昨日の投稿にも書いたんですけど、クリスマスを最高に楽しんで、いやー今年のクリスマスは本当に良かったよ!みたいなことを言っている方って今まで見たことが無いんですよね。


私自身最高のクリスマスって記憶が無くて、思い返すと母とケーキを作ったり、プレゼント貰って朝の3時から兄とゾイド組み立てたりとか、楽しいと言えば楽しいんですけど、まぁそんな程度のことなんですよ。


ただね。

最低なクリスマス、悲惨なクリスマスっていうと話は別になってきます。


これはね、幾つかありますよ。


しかしどうして、クリスマスって悲惨な方に話が触れていくんですかね?ふと考えてみると、クリスマス自体が多幸感あるイベントなので、家族や妻と過ごしているとまぁまぁ楽しくはなります。


だから楽しさが突き抜けない代わりに、人並みに楽しめないと幸福の偏差値が相対的に低くなるのでエピソードとして際立ってくる。まぁそういうことなんじゃないかなって思いました。


で、不思議とクリスマスって人並みに過ごそうとするとなかなかそうもいかなくて、一つボタンを掛け違うとそれが連鎖して、麻雀でいうところの満貫から跳満みたいな感じで悲惨のポイントが倍増する。


今からお話しするクリスマスのエピソードもそんなお話です。


この年自体があまり良い年ではなくて、生まれて初めて骨折したんですよ。

30前にして左手首を粉砕骨折しまして。


詳細は今度お話ししますが3週間くらい完全に職場から離脱しまして、しかも骨折の仕方がかなり話しづらいものだったので、本当に職場復帰しづらかったりしまして。


あと、全体的に自分の中でも職場的にも変な閉塞感がありまして。


上司の昇進に伴って私が翌年から職場で管理者になることも決まっていたりして、喜びというよりはもう不安しかなかったんですね。


仕事だけじゃなくて、プライベートでもなんか閉塞感しかないわけです。兄が実家を出たのもこのタイミングだったので、なおさら色々降りかかってくるわけです。別に誰も何も言わないんですけど、言わないからこそ色々考えるんですよね。


そんなタイミングでクリスマスです。


当時私は交際相手が居なかったもので、でも困ったことにその年のクリスマスイブは休みだったんですね。


これ、実家住まいのアラサーとしてはなかなか困るんですよ。


誰も相手が居ないからといって家に居ると両親がどう思うか分かったもんじゃないし、それを気にする自分もなんかいたたまれなくなるんですよ。


だから、これくらいの歳になってからは大体外でクリスマスを迎えることになるんですね。その方がお互いに色々と平和なんです。


ということでその年も確か、独身仲間の女性と約束して近所で過ごす約束をしていたんだと思います。私もその方も似た年恰好で同じ悩みを抱えていたので、ちょうど良かったんですね。


そんなこともあって、ちょっと記憶が定かではないですが、この友人と何度かクリスマスを過ごしているはずです。


ただ。

この年だけはちょっと異変がありまして。


どういう理由かは忘れましたが、直前でキャンセルになっちゃったんですよ。


それ自体は仕方ないことなんでどうこう言うようなものではないんですけど、困ったのは私です。


いやー、流石に「予定が無くなったから家に居る」なんて言ったら更に悲壮感出ちゃうじゃないですか。親も多分「ああ女の子と約束していてドタキャンされた可哀そうなアラサーなのね」ってなるんで、その日は腫物確定になる訳です。


アラサーともなると所帯を持っている人も多いし、独身でも誰かと大体予定を立てているし、今更誰とも予定を立てられないんですよ。


これはもう、仕方ない。

ひとりで何かしよう。


そこで考えたんですよ。

そしたらね、ちょうどいいものがあったんです。


「アバター」って映画なんですけど、当時ものすごく話題になっていて。


話題の中心って覚えている方も多いと思いますけど、その話題のキモっていうのは、3D上映だということでした。


3D自体は私が子供のころから存在する技術で、確かドラえもん映画かなんかでもチャチなメガネを付けてグオーン!って3Dが迫ってくるようなものは観たことがありました。


私が子供の頃って妙な技術が子供向け雑誌に掲載されていて、そういったものを実際に触れる機会ってあったんですよ。こするとカレーの香りがする紙とか。「つるピカハゲ丸君」の連動企画でそういうのあったなぁ。


ともあれ、10年ほど前に今更3Dで何がそんなに凄いんだ?

っていうのは確かにあったんですよ。


ただ、もうこの当時はアバターと3Dで話題が持ちきりなんです。

とにかくありゃあすげえぞ、と。


上映前からあの技術が凄すぎてオスカー全部取りそうでタイタニックを超えそうだとか、もうそれは映画の革命なんだとか、これを今のタイミングで体感しないと!みたいなことがはびこっていたんですね。


タイタニックを引き合いに出されるとこっちもそりゃすげえのか?ってなるわけです。


VHSのビデオが国内だけで600万本とか売れるわ、ディカプリオ以外は大体オスカー獲るわ、「親指タイタニック」っていう謎の映画すらちょいヒットするわ。あれを通過すると船の先端に載ると腕を横に広げたくなるし。


2020年代になるともうテレビや雑誌が発信するトレンドってそこまで影響はなくなっていますけど、恐らくマスメディアがガーっと私達消費者を煽りまくってこっちもそのテンションにワーッと乗っかることが出来た末期のトレンドなんですよ。アバターって。


そういう意味で私もダサいんですけど、乗っちゃったんですよ。

クリスマス、することなくなっちゃったし、これはアバターかなって。


両親には予定があることを伝えていたんで、その日はアバターを見に行きました。たしか新百合ヶ丘の夜の上映だったはずです。


あれだけ話題の映画で、なんか運良く予約できたんですよね。

直前なのに。


運が悪い中で、これは運がいいもんだ。

まぁそれくらいの帳尻は合わせてくれないとね。

神様も。


ただ、こういう経緯でアバターを観ることになったし、いかんせん一人なので、やれポップコーンとかデカいコーラとか、そういうものを準備する気にはなれないんですよね。


まぁそこは仕方ない。

案外長い映画らしいんで、サラッと見て、夕飯食べて、サラッと帰ろう。


薄暗い館内に入って、始まるのを待ちます。


ただね、ちょっと気になることが。

観客が殆ど入ってこないんですよ。


豊洲で働いていた頃に銀座のミニシアターでやってたセガール映画三本立てっていうどうかしている企画を観に行った時でも、「特命係長只野仁ザムービー」を観に行った時も、せいぜい10人は爺さん中心に居たんですけど、目視確認できる限りで私も含めて3人くらいしか居ないんです。


あれ?

まぁ幾つかのスクリーンで上映しているし、そもそも新百合ヶ丘辺りでクリスマスに映画見る人なんてそんなに居ないってことなのかなぁ…


そんな程度にしか考えていなかったんです。


ただ、上映開始してその理由がすぐに分かりました。









このアバター、2D上映だったんですよ。




後で考えてみるとメガネも渡されなかったし、確かに!ってつながるものはありました。



でねー、ライムスター宇多丸さんのアバター評を後で聴くことになる訳なんですけど、あれ、2Dだと別に普通の映画なんですよ。


正直なところ、3Dを楽しむためにストーリーが存在しているような映画なので、すんげえ面白い!って感動するような類のものではなくて、青い種族が出てきて、なんか闘うみたいなことが続くんですけど、恐らく3Dの2割くらいしか堪能できていない訳です。


3時間近くの間、私は2Dのアバターにお付き合いしました。

途中で出るにしても私には行くところが無かったですから。


頭に来ることに、同じ時間に終わった他のスクリーンは満員だったみたいです。


恐らくでしょうけど、2Dアバターを見たのは恐らく私も含めて全員間違えて観てしまったのではないかと思います。



ということで、クリスマスになると飛び出てこない青い種族のことを思い出す西尾なのでした。


皆さんはどんなクリスマスの思い出がありますか?

私のようななかなか悲惨なエピソードがある方も、楽しかった思い出がある方も、割と平坦な思い出しかない方も、これを機にクリスマスのお話をお聞かせいただけると嬉しいです!


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