【勉強】開発学講座を受講して学んだこと
イギリスで開発学(International Development)を学ばれているサロンメンバーさんが開催してくださった【オンライン開発学講座】(計6回+イントロ)を受講し,本日最終回を迎えました。
とても学びの多い講座だったため学びっぱなしではもったいないと思い,講座を通じて学んだことを自分なりに咀嚼してまとめたいと思います(約4700文字の長文になってしまいました)。
↓忙しい方のためにまとめはこちら↓
(各論から学んだこと)
① 根底にあるのは Global North と Global South のパワーバランスの不均衡
② 社会正義と倫理的消費の基準を持つ
③ 実際に行われている活動を知ってあやかる
(講座全体を通じて共通で大切なこと)
① まずは知ること。
② 思考停止せずにクリティカルシンキングを繰り返すこと。
③ 継続性のある行動をとること。
▶︎ これまでの私
まずは講座を受ける前の自分の状態について改めて振り返ります。
開発学講座を受ける前は,今思うと恥ずかしくなるくらいに何も知りませんでした。『地球温暖化』くらいはわかるし,『フェアトレード』『ヴィーガン』『オーガニック』という言葉は聞いたことがあったけれど,その言葉が持つ意味や背景にある重大な問題については全く知らなかったし,考えたこともありませんでした(『フェアトレード』→ よくわからないけど公正な取引が行われているのか,『ヴィーガン』→ 宗教とか意識高い系の人の話かな,みたいな感じ)。『ファッションレボリューション』にいたっては初耳でした。
ファッションを例に挙げると,結婚してからはブランドに全く拘らなくなり,今は無印良品かファーストリテイリングのお店(ユニクロ,GU)くらいでしか服は買っていません。『こだわり』がないからです。ただ思うのは,『こだわり』がなかったのは何も知らなかったからなだけで,『労働搾取が行われて作られた服』であることを知っていればもちろんそのような服は買わないと思います。背景を知ることで『地球や社会に対して配慮されている服を買おう』というこだわりは持つことができる,と今は思えます。
そんな僕に一つ救いがあったとすれば,『知ろうと思う気持ち』があったことだと思います。そんなわけで,幸運にもサロンメンバーさんがオンライン開発学講座を開催するというツイートに出会った時に『受講したい!』と手を挙げることができました。
▶︎ 各論から学んだこと
前述の通り全くの無知であった僕は,毎回ショッキングな事実を知らされることになります。学んだことを事細かく書こうと思うとキリがないので,ここでは各回のトピックから学んだことを自分なりに咀嚼して再構築してみます。
① 根底にあるのは Global North と Global South のパワーバランスの不均衡
なぜ世界では不平等や不公平が起きているのかを考えてみると,先進国(Global North)と発展途上国(Global South)のパワーバランスの不均衡が浮かび上がってきます。先進国の人々が消費するものを安く作るために,発展途上国の人々が血と涙を流しながら苦しんでいるのです。
先進国の人々が資源を手に入れるために,途上国では住む場所・神聖なる土地を奪われている人がいます。
先進国の人々が安くコーヒーを飲むために,途上国では不当な児童労働・人権侵害が行われています。
先進国の人々が安い服を大量消費するために,途上国では深刻な労働搾取が行われています。
このように,現在世界で起きている問題の根底には『社会的弱者/Vulnerable People』が犠牲になっている事実があることを学びました。
② 社会正義と倫理的消費の基準を持つ
パワーバランスの不均衡を招いている要因について勉強しようと思うと膨大にありそうなので,まずは自分の価値基準を設定するために『社会正義』と『倫理的消費』という概念を念頭におく必要があると考えました。
『社会正義/Social Justice』とは,日本国語大辞典には『世間一般の通念から考えて正しい道理。法の下の平等、同一労働に対する等しい報酬など。』と書かれています。僕は開発学における社会正義を『不平等や不公平をなくし,平等・公平な社会を実現するための正義』と解釈しました。
この正義は当然個々人によって変わってくるものと思いますが,個々人が自分なりの社会正義について考えをもって,行動に移すことが大切だと思います。
例えば電気自動車の開発を例に取ると,『途上国で現地の人を低賃金で働かせ,大量の水を消費し,生態系にも大きな影響を与えてまで得られた資源を使って作られる電気自動車は本当にエコと言えるのだろうか?』ということを考えることが大切です。
何が正解かという話ではないので,考えた結果,電気自動車を買っても買わなくてもいいのですが,自分なりの社会正義に従って考え行動することが非常に重要だと思います。
続いて『倫理的消費/Ethical Consumption』とは,デジタル大辞泉では『環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費すること』と定義されています。
開発学の文脈では,『消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり,そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと』といえるようです。ここで考えなければならないのは,作る側のみならず買う側にも責任があるということです。
無理解に『大量生産・大量消費』の恩恵に預かるのではなく,消費者としての責任を果たすために,倫理的に間違ったことと向き合いながら行動することが求められていることを学びました。
商品を買うにあたって考慮すべき要素は膨大にありそうですが,まずは『社会的考慮』『人権』『環境配慮』『動物福祉』の4つの視点を意識してみると少し自分の考えが明確になりそうです。
開発学で取り扱われている問題のほとんどには正解がないし,正義の形は置かれている立場・環境によって変わるので,自分なりに『社会正義』や『倫理的消費』の定義や基準をもっておくことが非常に重要であると感じました。
③ 実際に行われている活動を知ってあやかる
世界で起きている既存の問題に対して,『社会正義』や『倫理的消費』の考えに基づいて実際に生まれてきた解決策が以下のような活動であると自分なりに理解しています。
『SDGs』『フェアトレード』『パリ協定』『ヴィーガン』『オーガニック』『ファッションレボリューション』
個人的には,世界における不平等や不公平の問題は一人で立ち向かうにはあまりにもテーマが壮大すぎると感じるため,まずは社会的に行われている活動を知り,その活動にあやかることが良いのではないかと思っています。
例えば,フェアトレード製品にはパッケージにフェアトレード製品であることを示す認証ラベルがついているので,そのような製品を手に取ってみることから始めるのが良いかと思います。
(参照)
・SDGsとは(外務省)
・フェアトレードとは(FARETRADE JAPAN)
・フェアトレードの認証ラベルについて(NGO ACE)
・パリ協定について(外務省)
・Food Wastage Footprint Impacts on natural resources Summary Report(Food and Agriculture Organization of the United Nations)*英語です
・ファッションレボリューションについて(FASHION REVOLUTION JAPAN)
▶︎ 講座全体を通じて共通で大切なこと
① まずは知ること。
② 思考停止せずにクリティカルシンキングを繰り返すこと。
③ 継続性のある行動をとること。
まずは何よりも世界でこのような問題が起きていることを『知ること』が大切だと感じました。知らなければ調べることもできないし,当然行動することもできません。しかし,知るきっかけさえあれば,その背景には自分の倫理観や正義を見直さなければと強く思えるような問題が蔓延っているため,行動を起こさせるに足る十分な動機になりえると思います。簡単なことではありますが,これがなければゼロも等しい非常な重要なことだと思います。
また,問題を知った上で常に考え続けることも大切です。前述の通り,正解や決まった形の正義があるわけではないので,クリティカルシンキングを継続して自分なりの解釈を深めていくことが貧困問題や環境問題などのクリティカルな問題を解決に導く術だと感じました。
最後に,行動に移すことの重要性ですが,一時的に感化されて行動を起こすだけでは世界は変わらないと思います。もちろん世界で起きている問題の解決にダイレクトな答えを出すことも大切ですが,それが継続できなければ元の世界に戻ってしまいます。そのため,自分の中で継続できる行動が長期的には重要になると感じました。正直に言ってしまえば,牛肉は食べたいし,お気に入りのチョコレートを食べたい時だってあります。これは0/100の話ではないので,持続可能性/Sustainability と自身の心の豊かさ/Wellbeing のバランスを考えて,自分の中で継続できる範囲でルールなどを決めて取り組み始めることが大切だと思います。
講座で一緒になった方が『牛肉や牛乳は家で飲まないようにして,外食の際にだけ牛肉と牛乳はOKにしている』というマイルールを聞いて,無理がなさそうだし,地球に優しい,とても素敵なルールだなと感じました。
▶︎ 今日から始めること
すぐに取り組み始めることとして,以下のようなことを考えてみました。まずは継続できるところから始めて,知識を増やして自分の考えを深めつつ,より大きな行動に繋げていきたいと思います。
① コーヒー豆はフェアトレード製品を買う。チョコレートは極力フェアトレード製品を買う。
② 自分が使っている服屋の生産に関する取り組みについて調べる(まずは無印良品,ファーストリテイリングから)。
③ 映画『Thank you for the rain』『ブラッド・ダイヤモンド』『美味しいコーヒーの真実』『ザ・トゥルー・コスト』を見る。
▶︎ 参考
参考までに,先生が授業の教材として紹介してくださったYouTube動画を記憶と記録の限り以下にまとめます。講座を通じて学んできた問題の一端を知れるのではないかと思います。
・Wealth Inequality in America(アメリカの貧困格差)
・Can extreme poverty ever be eradicated(世界の貧困の状況)
・The Real Avatar: Mine - Story of a Sacred Mountain(インドの鉱山開発)
・Maxima Acuna, 2016 Goldman Environment Prize, South and Central America(ペルーの金鉱山開発)
・Rana Plaza Collapse Documentary: The Deadly Cost of Fashion(ラナプラザの悲劇)*ショッキングな映像を含むので閲覧注意です。
先生,7週間大変お世話になりました。人として成長できたと感じています,ありがとうございました!
本記事に関しまして,皆様の忌憚ないご意見をお待ちしております。
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