コーヒーについての四〇〇字「カリブレーション」
開店準備が整うと、すぐにコーヒーが欲しくなる。
お客様より先に店主である自分のためにコーヒーを淹れることに少しばかり後ろめたさを感じつつも、カリブレーションだと自分に言い聞かせて私はエアロプレスを取り出す。
今日のコーヒーはアリピオ・ズニーガ。私の肝入り。
コロンビアのピンクブルボンをアナエロビックで仕上げたユニークなオリジン。
フローラルかつトロピカルなアロマが心地良く、ベリーや柑橘、さらには乳酸系の酸が複雑に絡み合い、様々なキャラクターを見せながら、最後の一口まで淀みなく飲みきれるクリーンなコーヒーだった。
私はカップを置き、目を閉じて果てしなく続くハチミツのような甘い余韻に浸る。
開店時間はとっくに過ぎている。
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