希望のつくり方、そして隣接可能領域。
モヤモヤとしている、混沌としている。そのような状況において、進むべき方向を照らし出すような一筋の光を見出したい。そのような時に「希望」という言葉で表現することがあります。
ではいったい、「希望」とはどのようなものなのでしょうか。玄田有史氏の著書『希望のつくり方』を読むと、希望には「構成要素」があり、それらを組み合わせて「つくり出すことができるもの」と分かってきます。
一般的で抽象的な「希望とは何か?」という定義よりも、いま置かれた状況において自分を、自分たちの支えとなる「具体的な」希望。
それは誰かから与えられるものではなく、大きな労力がかかってもバラバラになっている、あるいは見えているようで見えていなかったピースを集めて自分で組み立ててゆく他ないのかもしれません。「盲信すること」と「希望を持つ」ことは異なるように思えます。
後ほど言葉を引くように、希望の構成要素は「気持ち(wish)」「大切な何か(something)」「実現(come true)」「行動(action)」の四つであると紹介されています。そして、それらを一つに集めて文章にすると「Hope is a Wish for Something to Come True by Action.」と表されています。
この文章は一つの物語、線になっていることに気がつきます。自分の行動によって変化を作り出すことができそうな何か。「動かせる変数を動かそう」とも読み取ることができますが、時として自分(あるいは自分たち)が直接働きかけることのできない要素を希望の中に含めてしまうと、それは希望というよりも「祈り」に近いのかもしれません。
ここでふと「隣接可能領域」という言葉を思い出しました。
人それぞれ、見えている世界の外側に見えていない世界が広がっている。その見えていない世界は見ている世界の境界、淵を探索して、少しずつ見える範囲が拡がることで見えてくるもの。
希望というのは最初から最後まで決まっているものではなく、行動によって見える世界が広がる過程で発展し続けてゆく概念なのかもしれません。
まずは見えている範囲でもよいので、考えすぎず縁を探ってみる。そのためにはまず自分の状態を観察して、大切な人や心許せる人と話をしたり、没頭することに時間を使ってみたり。心身がリラックスしている状態を作ることから、余裕・余白をつくることから始めることが大切なように思うのです。
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