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声、響き、そして時空。

今日は「組む東京」で開催された「シャツとことば」に足を運びました。ふとしたきっかけで企画を知り、心惹かれて。直感を大切にすると、予期せぬ出会いが運ばれてくる。そんな風に思っています。

朗読家の岡安圭子さんによる「注文の多い料理店」をはじめとした宮沢賢治作品の朗読は、宮沢さんの言葉が紡ぐ色彩豊かな情景が目に浮かぶようで、何とも言えない贅沢なひと時。

書かれた言葉を声に出すと、文字では表せない温度、時間、質感が重なる。ていねいに語られる、みずみずしい言葉のシャワーがこだまし、天井高く広がる空間が満たされてゆく。

世界的な物理学者アルベルト・アインシュタインは、「特殊相対性理論」において時間と空間が一体となった「時空」を見出したわけだけれど、音の広がりはとても「時空的」。

耳を澄ませる一人ひとりと目を合わせながら、ていねいに言葉を届ける岡安さん。インスピレーションで「この言葉は、この方に届けよう」と決めておられたとのこと。朗読会の終了後に、届けたい言葉のメモを一人ひとりに渡されておられ、目を閉じて聴き入っていた方への配慮もとても素晴らしい。

ルーツをたどれば、言葉は「声」から始まっている。声の届く距離はわずか数メートルだけれど、その人の存在を確かに感じられる実感を伴っている。

声となった言葉は、文字の記号性が緩められ、直感的で身体に響いてゆく。そんなことを思っています。




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