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つながりの多様性、他力、レジリエンス〜色々なものに頼ることができるということ〜
「復元力」を意味する言葉、レジリエンス。ゆらぎや撹乱が起きたときに、しなやかに受け流しながら自己を保つ力強さであり、再生や回復とも重なる概念です。
後ほど言葉を引くように、レジリエンスの要素の一つに「多様性」があります。ここでの多様性とは「多様なつながり」であり、「色々な物に頼ることができる」ことを意味します。
つながりが複数ある場合、いずれかが途絶えてしまったとしても致命傷には至らない、あるいは生活が大きく毀損することはない。むしろ、つながりの一部を自ら切り離して、新しいつながりを作る余白とすることさえできる。
レジリエンスは自分の力だけでなく、「色々なものに頼る」という他力にも下支えられている。自立するとは「自らの力で生活を成り立たせる」という意味合いに取られることが多い印象がありますが、自分は他者との関わり合いの中で生きていて、自らの力"だけ"で生きていることはまずありません。哲学者ルネ・デカルトの「我思う、ゆえに我あり」という有名な言葉になぞらえて「我関わる、ゆえに我あり」と唱える方もいます。
インターネットなどの技術の発展により、物理的な距離や時間の制約を超えてつながりを作る現代社会においてこそ「レジリエンス」は高まってゆくと思われる一方、たとえば大きな自然災害の発生時において復旧や復興が遅々として進まない状況を目の当たりにすると「レジリエンス」の発現における「つながり」の多様性はあくまでも必要条件であって十分条件ではない、と感じます。
一般的に、生態系などの分野でレジリエンスの要素としてよく挙げられるのは、「多様性」「モジュール性」「密接なフィードバック」です。
「多様性」がレジリエンスをつくり出すというのはわかりやすいでしょう。たとえば、震災などで数日間停電しても、ガスや薪や太陽光発電など多様なエネルギー源が使える状況なら、それほど困らないでしょう。
自分のアイデンティティが「〇〇会社の××部長」だけだったら、会社が倒産したり失職・左遷したりすると、ぽきっと折れてしまうかもしれませんが、「夫であり、父親でもあり、地元の少年野球チームのコーチでもあり、同窓会の仲間のひとりでもあり……」とさまざまな「自分」を持っていれば、「どれか一つがうまくいかなくても、全体が倒れてしまうことはない」強さを持つことができます。
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