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こころのレジリエンスとは何だろう?〜心が"折れる"という表現から考える〜
書籍『レジリエンスとは何か』で「人のこころのレジリエンスとは何か」という問いかけがなされています。
「悩みが尽きない」「心が折れてしまいそう」のような言葉が浮かんでくる、あるいは口をついて出てくることもあるかもしれません。
ふと「心が折れる」という表現は、心が「折れる」ような性質を持っているという前提が置かれていることに気づきました。もし心が「折れる」ものであるならば、心は「固い」「曲がらない」ものであるはず。ですが、心は硬いのでしょうか?
新しい環境に飛び込んだ時、人間関係においてすれ違ってしまった時など、「気持ちが落ち着かない」という形で、自分と環境の間に溝があると感じる場合、人は戸惑いながらも気持ちの溝を埋めようとする。それはつまり、「環境に適応する」ということ、心の形が変わってゆくことでもあります。
水は自由自在にどのような器にも瞬時に行き渡るように、人の心も自由に形を変えてゆく「やわらかさ」があるはずです。にもかかわらず、固くなってしまうから折れてしまう。とすると、心はなぜ・どのようにして「固くなる」のだろうという問いが浮かんできます。
「固」という文字を含む言葉の一つに「固執」があります。何かに固執してしまうと、人の心は固くなってしまうのかもしれない…と感じます。とすると「固執しない」あるいは「固執している自分に気づいて手放してゆく」と心は本来の「やわらかさ」を取り戻してゆくのかもしれません。
さて、世界では40年ほど前から、日本では10数年前から始まった心理的なレジリエンスの研究ですが、そもそも「人のこころのレジリエンス」とは何なのでしょうか?どのように定義することができるのでしょうか?実は、心理面でのレジリエンスに関する定義はいろいろあって、一つの決まった定義があるわけではありません。
心理学的なレジリエンスの定義として、「ストレスのある状況や逆境でも、うまく適応し、精神的健康を維持し、回復へと導くもの」というところは共通していますが、その「導くもの」は、「心理的な特性」「能力」「プロセス」など、いろいろな側面が対象として考えられていることがわかります。
「レジリエンス」の反対語は何でしょうか?「レジリエンス」はよく、「脆弱性」という言葉と対で用いられます。「脆弱性」(vulnerability)は、漢字を見ていただければわかるように、「脆く」「弱い」ということで、つまり「壊れやすい」ということです。何かあったときにすぐにぼろぼろと崩れてしまう、だめになってしまう、ということです。つまり、その反対語である「レジリエンス」は、「何かがあっても、すぐにぼろぼろと崩れてしまわない力」「困難な状況にも耐え、立ち直る力」と捉えるとイメージしやすいかもしれません。
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