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睡眠、休息、そして他力。

眠る。寝かせる。休ませる。

季節の変わり目のこの時期、日中と夜間の寒暖差が激しく体調管理が難しいと感じます。外気温に合わせた衣服の調整はもちろんのこと、睡眠の確保も大切です。

思えば、「寝かせる」「休ませる」という言葉は、日常生活の中で幅広く使われています。たとえば、料理をイメージしてみると、パン生地をこねた後に一定時間「寝かせる」「休ませる」と表現します。この時間は「発酵が進む」という重要な役割があり、人が何か手を加えているわけではありませんが、たしかに「発酵」という過程の中で酵母の力を借りた有価物が生み出されています。

眠る。寝る。休む。

これらの言葉にはどこか「積極性」を感じにくい印象があるように思われるのですが、むしろ自分の意思や自力への過剰を手放して、「他力」を引き出すという意味で積極性を見出すことが必要なように思います。

アイデアも「寝かせる」ことで無意識のふるいにかけられ、洗練されることがありますが、それもどこかで「他力」を借りていると考えることはできないでしょうか。

「すべてを自分ではコントロールすることができない」という視点で「睡眠」の役割や意味を捉え直してみるのも面白そうです。

それでは本題に入ろう。睡眠とはいったい何なのか?なぜ睡眠は大切なのか?(中略)少し違和感を覚える説明だが、ここで注目すべきは、「頭と身体が自然に断続的な休息をする状態」という部分だ。これをしない状態は、不自然な状態ということになる。誰だって、不自然な状態にはなりたくない。

ショーン・スティーブンソン『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』

定義の次は、睡眠がもたらすメリットについて知ってもらいたい。こちらのほうが重要だ。一般に、私たちの体内では、目覚めているときに異化作用(外から接種した物質を体内で分解する過程)が起こり、眠っているときに同化作用(外から接種した物質を合成する過程)が起こる。睡眠時は同化作用が活発になると言われ、免疫力、骨、筋肉の成長や再生が促される。つまり、眠ることで身体が再生され、若さが保てるのだ。

ショーン・スティーブンソン『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』

良質な睡眠をとると、免疫系が強化され、ホルモンバランスが安定し、新陳代謝が促進される。身体のエネルギーが増加し、脳の働きも改善される。睡眠を適切にとらない限り、自らが求める肉体や人生を手にすることはできない。絶対に不可能だ。私たちが暮らす社会では、睡眠はまったくと言っていいほど尊重されていない。それどころか、「成功するためには睡眠時間を削ってより多く働かないといけない」「死んでから好きなだけ眠ればいい」といった考え方が刷り込まれる。尊重されていないという表現では、はっきり言って生ぬるい。

ショーン・スティーブンソン『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』

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