抗がん剤について優しくて詳しい解説 よく知って正しく対応しよう
がん治療で広く使われる「抗がん剤」という治療方法について、みなさんはどのくらい理解していますか。ここでは抗がん剤についてもう一度おさらいして、抗がん剤の副作用との付き合い方を考えてみましょう。
目次
抗がん剤は、「がん薬物療法」に使用される薬のひとつ。
抗がん剤はがん薬物療法に用いられる薬の一つで、がん細胞の成長や分裂を阻害することによって、がんの進行を遅らせたり、縮小させたりすることを目的とするお薬たちのグループ名です。アイドルグループやみかんの種類と同じで、その中に色んな種類のものがあります。
具体的に、４つくらいに分けられます。ただし、この分け方は考え方で変わるので、種類があるのかと理解していただければ幸いです。
従来型抗がん剤：がん細胞のDNAやRNAを標的にして、細胞の増殖を阻害します。これには、細胞毒性があり、正常な細胞にも影響を与えることがあります。
分子標的薬：がん細胞特有の分子や経路を標的として働き、正常な細胞への影響を最小限に抑えることを目指します。分子標的薬。
免疫療法薬：がんに対する体の免疫応答を強化または変更することによって、がん細胞を攻撃します。
ホルモン療法：特定のホルモンに依存して成長するがん（例えば、乳がんや前立腺がん）に対し、そのホルモンの作用を阻害することによって治療します。内分泌療法
多くの人が体験する嫌な副作用と対策
抗がん剤は抗がん剤はがん細胞を攻撃するために設計されていますが、同時に正常な細胞も影響を受ける可能性があります。これは、がん細胞と正常な細胞がいくつかの特徴を共有しているためです。抗がん剤は急速に分割・増殖する細胞を標的とするため、がん細胞に作用すると同時に、正常な細胞も影響を受けやすくなります。その結果、抗がん剤の使用に伴ってさまざまな副作用が生じる可能性があります。具体的には、吐き気や食欲不振の消化管症状、倦怠感、脱毛、免疫低下などが含まれます。
吐き気はがん患者さんの４〜７割が体験するそうです。吐き気を伴う抗がん剤を使うときには、吐き気どめなど副作用を軽くするお薬を併せて使うなど、副作用を少なくする工夫がされています。そのほか自分や周りの人が日常的にできる工夫についても書かれているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
脱毛については、残念ながらいまのところ絶対に効果のある方法！とニュースになるような方法はありません。ごめんなさい。専門的な機械で頭を冷やす方法などがありますが、こちらも抜けないというよりは生えてくるのが早くなるもののようです。
免疫や倦怠感については、食べられないことや体調が優れないことで体力が落ちたり、骨髄抑制といって血液の中の血球成分が減ってしまったり、理由は様々です。がん治療は免疫が落ちるからと心配されますが、そのレベルは日常生活に支障のない程度のものから、ナマモノや非加熱食品NGまで、大きく異なります。ですから「むやみに心配せず、病院での指示に従い、手洗いうがいをして、必要であれば人混みを避ける」ことを心がけましょう。
ネットで見た対策、チャレンジする前にに看護師に相談してください。
ネットには様々な副作用対策の情報が流れていますが、残念ながら正しいものばかりではありません。また、危険はないものの科学的に考えて効果も見込めないものもあります。せっかくのチャレンジですから、その方法は安全かどうかを確認し、効果的に試す方法を相談してみてください。
特に、皮膚トラブルに関するセルフケアは種類の見極めが大切です。静岡県立がんセンターが発行するこちらの資料に、肌や爪の変化について、原因・症状・ケア方法までわかりやすくまとまっていますので、参考にしてください。
https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2016/01/514003d0fe03fad5875856545be0b6af-3.pdf
大切なことは、副作用が理由の「不自由」を減らすこと。
残念ながら、いまのところ医療だけでは副作用を完全に防ぐことができません。がん細胞と正常な細胞の違いを最大限に活かし、がん細胞に対してより特異的かつ効果的な治療法を見つける研究が進行していますが、まだ完全にがん細胞への選択的な治療法が確立されていません。したがって、現在の抗がん剤はがん治療の一環として使われていますが、その際に副作用にも注意が払われています。副作用自体は無くせませんが、それによる不便なことや嫌なことを減らし、あなたらしい生活を続けることが大切です。
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