インドは次なる製造業大国としてポスト中国になれるのか?

ここもとのインド経済に対する期待はグローバルに非常に高い。

理由としてはロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、独裁制国家の暴走が目立ち、ロシアを擁護する習近平独裁の中国に対しても、これまで製造業サプライチェーンをアウトソースしていた先進国企業が信頼を置けなくなっており、中国からインドに製造業サプライチェーンを移転する可能性が日々増大しているからである。
特に中国はここまでロシア寄りの姿勢を見せただけでなく、コロナ禍による上海ロックダウンなど無法っぷりを見せてしまったことや、米国からの制裁やその報復によって資産没収リスクも生じてしまっていることから、もはやこれ以上製造業サプライチェーンを中国に依存するわけにはいかなく、インドに移転するしかないと考える先進国企業が増加していることは、下記のようなアップルがiPhoneの製造をインドに移管しようとしている報道からもよくわかる話だ。

【参考ニュース】
アップル、インドでのiPhone生産を70億ドル強に3倍増-関係者

つまり、このまま中国からインドにどんどん製造業サプライチェーンが移転されていき、インドは次の製造業サプライチェーンの中心国・製造業大国としてポスト中国的な地位になるのではないかという期待が膨らんでいるわけである。
もし本当にポスト中国になるというのであれば、かつてリーマンショック前の時代に中国株が下記チャートのように暴騰したものの再来が狙えるのではないかと考えることも、自然な結論になるだろう。

リーマンショック前の好景気時に暴騰した中国CSI300指数

しかし、ここもとあまりにもインドが次なる製造業サプライチェーンの中心地になり、製造業大国としてのしあがるので、インド株は将来有望で買い!と断言する人が多いのが、どうも個人的に目がついてしまう。
特に昨今投資情報をYoutubeで煽るやり方をする人が増加する中、インド株について上記のようなストーリーを基に、インド株は有望と語る動画が急増している(2023年6月時点)ことがどうも個人的には気がかりであり、過大評価の可能性を懸念している。

今回はインドが本当に製造業大国としてポスト中国としての地位を築ける可能性と、逆にポスト中国にはなれない可能性というのを、それぞれ理由・ファクターを挙げていき、考察したいと思う。
最終的にこの記事では「インドは絶対にポスト中国になる!」「いや、インドは絶対にポスト中国になれない!」と断言するわけでなく、どれだけポスト中国になる可能性はあるのか・その条件は揃っているのか・現状でポスト中国になるために不足している条件は何なのか?というアプローチをしていき、最終的な判断は読者に委ねる形式を取りたいと思う。


・インドがポスト中国になれる可能性がある理由

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