なぜデフレをやっつけるのはインフレをやっつけるのより難しいのか?
2021年以降、これまでデフレであった世界が突然としてインフレに転じ、さらに今までデフレを克服するために政策金利をゼロにし、量的金融緩和で国債を大量に購入していた先進諸国が、気づけばインフレ対策のために米国:5.25%、EU:4%など2010年代では考えられなかった政策金利水準になった。
しかし、この高金利政策によって2024年2月現在、既に米国をはじめ、先進各国のインフレ率は中央銀行がターゲットする2%への正常化への道のりが見えている。
この状況を見ると、インフレは2021年頃から本格化していったが、2024年2月時点で正常化が見えていることから、インフレ克服までにはせいぜい4~5年程度でできるということがはっきりしてきた。
一方で、日本の不動産バブル崩壊とリーマンショック以降の経済を考えると、デフレを克服するには10年以上かかったことがわかってきたし、デフレを克服するために通常ではありえないような非伝統的金融政策や財政支出をしてきた。
このことから、デフレをやっつけるのはインフレをやっつけるのより難しいことが明らかとなってきている。
しかし、なぜ同じような貨幣的現象なのに、デフレよりインフレをやっつけるのが難しいのかというのは意外と知られていない話であると思う。
もちろんデフレの時は政策金利0%という下限があり、金融緩和に限界があるという話はあるが、それだけでは説明できない部分がたくさんあるわけで、今回はこれについて、きちんと言語化していってまとめていきたいと思う。
さらにそういったことを考えると、2024年2月現在において発生している中国のデフレというのは未だ克服目途が立っていないわけで、その部分についても言及していきたいと思う。
1、インフレ・デフレという貨幣的現象の基本構造を今一度振り返る
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