独裁国家の経済成長はなぜ止まるのか?

独裁国家の典型例である中国について、これまでGDPにおいて米国を抜くのは時間の問題だと言われていた。
しかし、昨今の実質GDP成長率の低下とデフレによって、2023年の中国の名目GDP成長率は4.6%と、米国の名目GDP成長率6%前後を下回ってしまい、現状では米国のGDP金額を抜く可能性は急速に消えつつある。
しかも中国の経済成長率の落ち方は現在進行形で進んでいることを考慮すると、さらに名目GDP成長率が低下する可能性があり、そうなるともうほぼGDP金額で米国を抜く可能性はほとんどなくなることを意味する。

【参考ニュース記事】
米国、世界一の経済大国の座は盤石-中国に対しGDPリード拡大

しかし、なぜこれほどまでに中国の経済成長率は落ちたのだろうか?
その理由として色々観察していると、独裁国家という要素が大きくマイナスに効き始めているのではないかと考えている。
一般的に、中国が台頭するまでは経済が大きく成長するには「民主主義国家」であることが大前提と言われていた。
しかし、中国が台頭していく中で、「独裁国家の方が効率的な経済政策ができるのではないか」という議論が台頭していき、段々と経済成長において「民主主義国家である」という必要条件に疑問がもたれるようになっていた。
しかし、今こそ再び「高度経済になるには民主主義国家になること」が必要条件であることを声高に主張したいと思うので、今回はnoteで記事にしてまとめてみようと思った次第である。

今回の記事の構成としては、まず独裁国家とはどのような国家を指すのかというのをきちんと定義し、その後独裁国家の経済成長というのは最初のうちは良くても徐々に逓減していき、最終的に先進諸国入りする前に完全に成長が止まってしまう原因を3つの観点から述べたい。
そしてその3つの観点から考えた時に、中国経済はそれに当てはまるのかというのを書いていきたい。


・独裁国家の定義

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