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古代ギリシャの女性詩人サッフォー

古代ギリシャの女性の詩人として有名なのはサッフォー(サッポー)ですが、詳しいことは分かっていません。紀元前7、6世紀に生き、レスボス島で生まれたことや貴族の娘たちに詩や音楽を教えたことが知られています。また、同性愛者であったという伝説もあり、そこからサッフィズム、レズビアン(レスボス人)などの言葉が生まれました。サッフォーの詩は「アフロディテ頌歌」など完全な作品2編のほか、多くの断片が残存しています。その中から取り上げます。

彩り豊かな玉座におられる女神アフロディーテー
策略を綯(な)うゼウスの娘御、あなたに祈ります
悲しみと苦しみで私の心を
つぶさないでください、女神様

どうぞ私のもとに来てください
以前にも他の時に、私の願いを遠くで聞いて
黄金造りの父の館を去り
来てくださったことがあるならば

あなたが車に乗られると美しい鳥たちが
黒い大地へと車を曳いてきた
翼を強くはばたかせ
大空から天と地の間を通り

たちまちここに着かれて、尊い女神よ
不死の御顔に微笑みを浮かべ
あなたは問いかけられた
今度は何が起こったのか、何故呼ぶのかと

憑かれた心の私が何をして欲しいとそんなに望むのか
「今度は誰なのサッフォー
お前を恋するようにさせるのは
誰がお前を傷つけるの

もしその娘が逃げているのなら、まもなく追うようになるでしょう
もし贈物を拒むなら、自分から贈るようになるでしょう
もし恋していないなら、まもなく恋するようになるでしょう
たとえそれを望まなくても」

今すぐ私のもとへ来てください。辛い憂いから私を救ってください。私の心がかなえたいと憧れる願いをかなえてください
どうか私に加勢してください    

(古澤ゆう子訳)
ギュスターヴ・モロー「岩の上のサッフォー (Sapho sur le rocher)」(1872年、18.4×12.4cm 、水彩・紙。ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム所蔵)。


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